中国医学のさまざまな養生(治療)法
病気の治療を行う場合、西洋医学には薬などを服用する内科的治療と、手術などの外科的治療の方法がありますが、中国医学の場合は、中医薬を処方する以外にも、薬膳、鍼灸、推拿、按摩、気功といったさまざまな養生(治療)法が存在します。
中医薬は日本の漢方でなじみがあるように、患者の状態に合わせて生薬を処方する方法です。一つひとつの生薬にはそれぞれの効能・作用があり、古来から伝承されている配合量で組み合わせて用います。
薬膳は、薬ではなく日常の食事から健康を維持するという考え方です。食物の中には「気・血・水」の流れを整えて弱った内臓のはたらきを助けるような薬効作用をもったものもありますので、そうした食物を日常的に取り入れることで、体内の環境を良好に保ち、病気を未然に防ごうというものです。「医食同源」という言葉があるように、中国では病気を予防するための食事療法というものが非常に発達しています。
鍼灸、推拿、按摩というのは、気の流れる通路沿いにあるツボに対して鍼や熱、指圧などの物理的な刺激を加えることによって、乱れた気の流れを整えるという方法です。目には見えないエネルギーである「気」を不調の原因と捉える、東洋医学ならではの治療法です。
気功は、「気」を養うことによって免疫力や自然治癒力を高め、健康の維持と病気の予防をめざす健康法です。その方法は体操のように体を動かすものや、座禅のようにじっと動かないで行うものなどさまざまあり、中国では2000を超える流派があると言われています。また自分で自分の気を高める「内気功」の他、内気功で養った気の力を外に出して、他人のために気を与える「外気功」もあり、中国の病院では外気功による治療も行われています。
気・経絡・経穴(ツボ)
中国医学には、鍼灸や推拿、按摩といった、皮膚表面に物理的な刺激を加えることによって体の中を流れる気のエネルギーを整え、病気を治療するという療養法があります。ではなぜ皮膚表面を刺激するだけで、体の中の病気を治療することができるのでしょうか。
気は、全身をかけめぐっている目には見えない生命エネルギーです。そのエネルギーが通っている道を経絡といい、図のように何本もの経絡が体中をかけめぐっています。(経絡も、図には示してありますが、血管のように目に見えて実在しているものではありません)
体内に不調がおきると、エネルギーである気は、流れる量が不足したり、過剰になったり、途中で滞留したりと、スムーズに流れなくなってしまいます。すると不調のサインが関連した経絡を伝わり、経絡上の特定のポイントにこりや痛みが現れます。この特定の反応点が経穴、いわゆるツボと呼ばれるものです。
このように体内のどこかに不調があり、そのシグナルとしてツボにこりや痛みが現れたとき、その部分を押す、揉む、鍼でさす、お灸で熱を加えるなどの刺激を与えると、その不調を改善することができます。それはツボを刺激することによって、滞っていた気の流れがスムーズになり、気のエネルギーが経絡を伝わって体内のアンバランスを調整し、からだ本来の抵抗力、自然治癒力を高めることができるからです。

実際のツボ刺激の効果について、一例をご紹介します。
手にはたくさんのツボが集まっていますが、親指と人差し指の間、水かきの部分を手首に向かって押したときにズーンと響くところがあります。ここが合谷(ごうこく)と言われるツボです。
この合谷を刺激した前後の上半身の皮膚表面温度を見てみると、ツボを押した後は顔は黄色く変化している部分が多くなり、温度が高くなっています。また、お腹、とくにおへそのあたりは青く温度が低かったのが、白く変化し温度が上昇したことがわかります。
このようにツボへの効果的な刺激が、体全体に良い影響をもたらすのです。






