Back to Top

第5回 中野 モルトバー South Park 二方治・美紀夫婦 第3章 「遊戯三昧」こそシマジの人生哲学だ。

撮影:立木義浩

シマジ:では、毎度お馴染みの質問をするのが恐縮ですが、吉村さんはどうして資生堂に入ったのですか。

立木:仕方ないだろう。その質問が終わらないとこの仕事は終了しないんだから。

吉村:喜んでお答えいたします。わたしがまだ小学生のときでしたか、近所の美容師さんに「なんでこの仕事を選んだんですか?」と尋ねたことがあるんですが、そのとき美容師さんからは「いちばん好きなことではないから」という答えが返ってきたんです。詳しく聞きますと、「いちばん好きなことは別にあって、それを一生の仕事にするのではなく、むしろそれをこころの支えにしているんです」と言われたんです。これにはもちろんいろんな受け取り方をする人がいると思いますが、ともかくわたしの頭のなかにはそのことがずっと印象深く残っていました。そして自分の性格を考えると、1つのことに集中するより、むしろ幅広く世界を見て複合的に自分を高めていくのがよいと思いました。就活も分野を絞らずに進めてまいりました。

シマジ:なるほどそれで資生堂を選んだんですか。

吉村:資生堂は日本を代表するリーディングカンパニーであることと、身近な知り合いがすでに働いていたこと、それと家族のすすめもあって決めました。それから本社が東京にあるというのも田舎出身の自分には魅力の1つでしたね。

シマジ:資生堂の採用選考はかなりレベルが高いと聞いています。吉村さんは優秀な学生だったんですね。

吉村:いえ、それほどでもありません。

シマジ:いまは広報部に在籍されているんですよね。

吉村:はい。広報部におりまして企業広報を担当しています。毎朝の新聞のチェックやリリース作成も業務の1つなので、おかげさまで以前より新聞を毎日丁寧に読むようになりました。

シマジ:もう少し具体的にお話してくれませんか。

吉村:はい。主に新聞の担当をしていまして、トップ・経営戦略・商品&マーケティング・研究開発・人材・CRSなど多岐にわたる分野で、マスコミを通じて資生堂の姿を世の中に伝えていく仕事です。それには資生堂の魅力を伝えたいという愛社精神と、会社を外から見る冷静な目の両方が必要だと感じています。

シマジ:いまの仕事は自分から希望して勝ち得たポジションなんですか。

吉村:いえいえ。異動は通常のジョブローテーションでしたので、自ら希望したわけではないんですが、毎日沢山の方とお会いしてコミュニケーションができるこの仕事は、本当に愉しいです。自分ひとりでは思いもつかないようなヒントが沢山転がっていて、新たなアイディアややりたいことが見つかる、とても魅力的な仕事です。

シマジ:何年くらい広報部の仕事をなさっているんですか。

吉村:わたしが資生堂に入社しましたのは、2007年です。それからすぐに大田区・世田谷区エリア、そして川崎エリアのドラックストアの営業担当になって、2011年に広報部に異動してまいりました。

シマジ:では今年で6年目なんですね。ちょうど脂が乗ってきていまがいちばん面白い時期ですね。

吉村:いえいえ、まだまだこれからです。この仕事は同じ案件が1つもなく、常に新しい仕事が待っています。そのたびに悩み、周りの力を得ながら進めていくのですが、会社の動きや会社を取り巻く環境がもの凄いスピードで変化するなか、資生堂の未来を創るこの変革期に、手探りではありながらも企業の成長に関わることができたらと、こころからやりがいと誇りを毎日感じています。また社内の人材を巻き込んで、新聞記者さんとともに資生堂の記事を作っていくことに、大変ながらもやりがいを感じています。一方的に資生堂が発信したい情報だけを伝えるのではなく、社会性や資生堂を取り巻く環境を鑑みて、戦略や商品が社会や資生堂にとってどのような意味を持つのか、社内外に伝えるべきキーメッセージはなにか、限られた時間内で効果を最大化するにはどう動くべきか、などを考えるようにしています。広報は広告ではないので、こちらの思い通りにならないことが沢山ありますが、イメージした記事が掲載されると、頑張ってよかったと高揚感を感じます。

シマジ:広報部に配属が決まったときの会社から教わったことはなんですか。

吉村:それは「社会、マスコミ、資生堂の三方よし」の精神でいけば、みんながハッピーになれるのだと教えられてきました。ですが、社内でも部門が変われば考え方もちがいますから、そこをどう納得してもらうかは、わたしたち広報担当者の腕にかかっていると思います。論理的思考、アイディア力、専門知識、コミュニケーション力など身につけるべきスキルは沢山あります。わたしは自分が一歩でもスキルアップすることで会社の成長に貢献できたらと思っています。いまは一緒に働くメンバーに恵まれていて、誰かが大変なときは、みんなが「なにか手伝う?」と自然に声をかけあう社内風土があるんです。

シマジ:それは幸せな職場ですよ。それじゃあ、吉村さんは毎日出社するのが愉しいでしょうね。

吉村:はい。おかげさまで。それから以前は1冊本を読むのにも時間がかかっていたのですが、広報部で働くようになって、いまでは前よりも早く読めるようになりました。あとレストランでメニューを見ているときなどでも、職業病ですか、ついつい間違いを探したりしています。

シマジ:だから、先程からこの二方さんの作ったパンフレットを仔細にご覧になっていたんですね。間違いがありましたか。

吉村:アッハハハ、1字も間違いはありませんでした。

シマジ:二方さん、よかったですね。

二方:ホントによかったです。これからまた刷り直しなんてなったら大変なことです。

吉村:あっ、いけません。わたしとしたことが、二方さんのお肌チェックを忘れていました。二方さん、こちらにきてここにお座りになってください。二方さんは55歳と仰っていましたよね。

二方:はい。ぼくが55歳で妻は38歳です。

立木:アッハハハ。この際奥さんの歳は関係ないだろうね。でも面白い。

吉村:ということは二方さんは西暦1961年生まれですよね。

二方:はい。まちがいありません。妻は西暦1978年生まれです。

立木:アッハハハ。二方さんはじつに面白い人ですね。この際まったく関係ないことを2度も言うのは、ジョークの方程式かもしれないね。なあシマジ。

シマジ:しかも真面目にとぼけて言うのがユーモアがあっていいですね。ジョークは人生の潤滑油ですからね。

吉村:お肌チェックの結果を発表します。Dでした。

シマジ:55歳でDは素晴らしいんじゃないですか。しかも昼間はサラリーマンをしていて、夜はバーで奥さんを助けているんですから、睡眠時間も短いのではないですか。

二方:好きなことをやっているので苦にはなりませんが、寝るのはついつい3時ごろになってしまいますね。

シマジ:朝は何時に起きているんですか。

二方:7時には起きないと会社に間に合いません。

シマジ:たった4時間の睡眠ですか。

立木:シマジは毎晩何時に寝るんだ。

シマジ:わたしは深夜の2時ですかね。1時ごろにはベッドに横になって1時間くらい本を読んで眠りに着きます。

吉村:そして朝は何時に起きられるんですか。

シマジ:だいたい10時ですか。

立木:お前は8時間も惰眠をむさぼっているのか。その間トイレには何回起きるんだ。

シマジ:トイレには一度も行きませんよ。毎日爆睡しています。

立木:それは76歳では異常だよ。すぐに病院に行って診てもらいなさい。

シマジ:そうですかね。なんだか医者に自分の健康を自慢しに行くみたいですね。

立木:そんなことはない。絶対異常に決まっているよ。

シマジ:行ってきます、行ってきますよ。今度の取材のときに正直に報告しましょう。

新刊情報

神々にえこひいきされた男たち
(講談社+α文庫)

著: 島地勝彦
出版: 講談社
価格:1,058円(税込)

今回登場したお店

サウスパーク
東京都中野区中野2-1-2 宮園コーポ B1F
Tel: 03-3229-6133
>公式サイトはこちら (外部サイト)

PageTop

このサイトについて

過去の掲載

Sound