Back to Top

第6回 浅草 BAR DORAS 中森保貴氏 第4章 ゾクゾクと心震えるテイスティング体験の話。

撮影:立木義浩

シマジ:中森さんが凄いのは、コニャックの作り手のフランス人と家族ぐるみのお付き合いをされていることだと思います。日本人が取引先の外国人の家に泊めてもらうくらい親しくなることは、なかなか稀なことだと思いますね。

中森:はい。ギィ・ピナール・コニャックのローラン・ピナール家とは特別な関係です。ローランさんが奥さまを連れて来日されるときは、必ずこの店に寄っていただいていますし、日本滞在中にローランさんが主催される「ギィ・ピナール・コニャック・セミナー」ではわたしもお手伝いをしたりしています。

シマジ:先程飲んでみましたけど、ギィ・ピナールのコニャックは、マイナーと言えばマイナーですけどじつにまろやかで美味しいですね。

中森:ホントですか。嬉しいです。わたしはこのコニャックをもっと多くの方に知っていただきたいんです。シマジさん、お荷物になるかと思いますが、これを1本お持ち帰りください。ギィ・ピナールの貯蔵庫で直接ローランさんにボトリングしてもらったものです。

シマジ:いいんですか、そんな貴重なコニャックなのに。

中森:どうぞ。これは2年前にDORAS開店10周年記念ボトルとして詰められたものです。

シマジ:思い出しました。あの『旅するバーテンダー』のなかで、中森さんがローランさんと貯蔵庫のなかで試飲する場面がありましたね。次々とテイスティングしていきながら、グラスにわずかに残ったコニャックをローランさんが樽の上にかけるシーンがありますが、感動しましたね。あれはコニャックを元に戻してあげる気持ちの表われなんですね。

中森:そうなんです。シマジさんも何度か経験なさったと思いますが、いろいろな樽からテイスティングしていますと、なかにはゾクゾクっと心が打ち震えるような樽に出会うことがありますよね。まさにそんな出会いを果たした樽を記念ボトルにすることに決め、ボトリングぎりぎりまで熟成してもらったんです。極めて少量生産の、しかも日本には輸出されない樽のコニャックをローランさんが分けてくれるというんです。思わず目頭が熱くなりましたね。

シマジ:凄くよくわかります。これぞ究極のえこひいきでしょうね。ではこの貴重な1本をいただいて、伊勢丹サロン・ド・シマジに持って行こうと思います。そして中森さんに今日教わったレシピをお手本に、将来メニューに載せるためのカクテルをヒロエバーマンと一緒に作ってみますよ。

中森:近々わたしも伊勢丹サロン・ド・シマジに伺わせてもらいます。

シマジ:ぜひお待ちしております。

立木:シマジ、そろそろ資生堂からいらしたお嬢をインタビューするころじゃないの。彼女はさっきから退屈しているよ。

シマジ:安藤さん、ごめんなさいね。バーマン同士があなたそっちのけで、夢中で話し込んでいて申し訳ありませんでした。

安藤:いいえ、とても面白く聞いていました。どの世界でも一芸に秀でるってことは大変なことなんですね。

シマジ:では早速ですが、安藤さんは世の中に数多の職種や会社があるなかで、どうして資生堂を選ばれたんですか。

立木:いつもながら凄く門切り型の質問でいいね。

シマジ:タッチャン、茶々を入れないでください。お願いします。

安藤:真面目にお答えしていいんですよね。

シマジ:はい、真面目にお願いします。

安藤:学生時代、アパレルの販売のアルバイトを経験したこともあり、毎日のファッションを考えることがすごく愉しくて、服装がバッチリとキマッたときは1日がとても愉しく過ごせるような感覚も経験していました。また、サロンのヘアモデルの経験を通じて、ヘアメイクやメイクアップをしてもらうことによって、いつもと少し違う自分に出会えることもとても嬉しく、なかなかメイクを落とせなかったことがありました。そんな経験から、人をワクワクさせることができるファッション業界か美容業界に行けたらいいなあと、興味を持ち始めました。また、学生時代はバスケット部に所属していたんですが、怪我が多くて4回も手術をしたこともあり、大学2年で部活は辞めたんです。ただ両親にはそれまでずいぶんと心配をかけたので、社会人となる上は自慢の娘として安心して見守ってもらえるよう、信頼性の高い企業に勤めたいと考えていたんです。

シマジ:なるほど。

安藤:もう一つ申しますと、わたしは姉の影響を結構受けているんです。子ども3人を立派に育てながらワコールのBAとして働いている姉がわたしの憧れでしたので、女性が長く安定して働ける企業はどこだろうと探しました。資生堂の企業研究を進めるにつれ、SLQ(資生堂ライフクォリティー)パーフェクトカバーのような活動も知り、わたしも手術の大きな傷跡があるので、資生堂のCSR(社会貢献活動)にも共感するところ大で、第1志望として入社を希望しました。

シマジ:でも資生堂に入社するのは相当難しいはずなのに、第1志望の夢が叶って入社できるとは、安藤さんは幸せですね。

安藤:はい、おかげさまで。感謝しております。

シマジ:いまはどういう仕事をなさっているんですか。

安藤:大阪、名古屋の百貨店営業をしておりまして、週に2日~3日は出張生活です。主な業務内容は2つに別れています。1つ目は、百貨店の店頭のBC(ビューティーコンサルタント)の人事体制やモチベーションアップ等のマネージメント業務、店頭でのトラブル対応と売り場環境を整えることです。2つ目は、お得意先さまの媒体掲載やイベントの企画、折衝、推進等、店舗ごとにマーケティング展開を構築することです。わたし自身、デパート営業本部に所属してデパート営業担当をやっております。

シマジ:入社して何年目なんですか。

安藤:2013年4月入社ですので、丸4年が経ちました。いままで沢山の業務に関わらせていただきましたが、一緒に働く方たちから信頼をいただけるようにようやくなってきたかなと感じているところです。じつは今年の7月から担当の百貨店が変わり、環境が大きく変化しました。そんなときいままで担当していた売り場の責任者から「安藤さんはその場しのぎの嘘をついたりせず、誠意を持って担当してくれていたので信頼していました」とわたしの上司に話してくださったことをあとから聞き、とても嬉しく思いました。また7月から新しい売り場に行きましたら、以前一緒に働いていたBCの方がおりまして「アンちゃんだったら大丈夫。よかった」と温かく迎えてくださったのも本当に嬉しかったですね。

シマジ:なるほど。安藤さんはまさに順風満帆の船出をしていますね。

安藤:これからも、初心忘れず、で成果を出していきたいと思っています。

シマジ:いまの安藤さんには悩みなんてほとんどないでしょう。

安藤:それがあるんです。

シマジ:どんな悩みですか。「乗り移り人生相談」で取り上げましょうか。

安藤:遅刻はいままでしていませんが、毎朝、予定通りの時刻にどうしても起きることができないんです。「あと5分・・・」と繰り返し、気がつけば1時間以上予定を過ぎて、驚いて飛び起きては大慌てで出社するといったありさまです。入社2年目を迎えたとき、朝に弱いのは低血圧が原因かと考え、血圧が上がるように毎晩の晩酌をこころがけました。でもその結果は、血圧はとくに変わらず、ただ酒量だけが増えるという失敗に終わりました。

シマジ:そうですか。でもそれは失敗ではありませんよ。大人になった証拠です。だから安藤さんは、今日も軽々と飲んでいたんですね。

安藤:あっ!大事なことを忘れていました。中森さんのお肌チェックをしなければいけませんでした。

立木:大丈夫。みんなよく忘れることがあるんだよ。

シマジ:果たして“浅草の黒豹”の判定はいかに・・・?

安藤:出ました。Dでした。

シマジ:こんなに日やけしてDとは珍しいですよ。今日資生堂からいただくSHISEIDO MENを使えば、もしかしたらすぐCになるかもしれませんよ。明日から使ってみてくださいね。

中森:はい。今日はありがとうございました。

新刊情報

神々にえこひいきされた男たち
(講談社+α文庫)

著: 島地勝彦
出版: 講談社
価格:1,058円(税込)

今回登場したお店

BAR DORAS
東京都台東区花川戸2-2-6
Tel: 03-3847-5661
>公式サイトはこちら (外部サイト)

PageTop

このサイトについて

過去の掲載

Sound