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第3回 Pen編集部 佐藤俊樹氏 第4章 男はSHISEIDO MENで顔面を武装しろ。

<店主前曰>

何度も言うように、人生の醍醐味は出会いに尽きる。サトウ・トシキとわたしの出会いは、若いトシキからのラブコールだった。わたしの処女作「甘い生活」を読んだトシキが、Penで幻のバー、「サロン・ド・シマジ」の連載を思い立った。編集長に掛け合い了解を得て、サロン・ド・シマジにやってきた。トシキのアイデアは素晴らしかった。タイトルを「サロン・ド・シマジ」にして、有名無名の客たちとバーマン・シマジとの洒落た会話や、あうんの呼吸を醸し出す物語を毎回綴ってくれないか、というものだった。当時トシキは32歳だった。出版界にはまだまだ若い才能のある編集者がいるものだ、とわたしは感心した。
 早いもので連載は1年とちょっと過ぎた。そんなわけでトシキはいちばんサロン・ド・シマジに通ってくる。早朝、ゲラを持ってくるついでに極上のシングルモルトを一杯引っかけていく強者である。マスターの葉巻に燻されているうちに、気がついたらトシキもシガーラバーになっていた。男の人生は上質なシングルモルトとシガーの味の「知る悲しみ」を知ったら、一人前だとマスターはいつも言っている。それからもうひとつ一人前になるために大切なものがある。それはSHISEIDO MENを知ることだろう。少年老いやすく、朝、目が覚めたら汚いジジイになっていた。なんて取り返しがつかない悲劇に陥らないように、いまからSHISEIDO MENで顔面をしっかり武装すべきである。これは美しき「知る悲しみ」である。

シマジ 杉本さんは資生堂に入って何年になるんですか。

BC杉本 ちょうど9年目です。

シマジ じゃあSHISEIDO MENが世に出たときなんだね。

BC杉本 そうです。

シマジ むかしMG5って大衆相手の男性化粧品が出たときは画期的だったよね。いまでもMG5を使っている大好きな先輩がいるんだ。おれはMG5は卒業してSHISEIDO MENを使っているけどね。高いもので1つ12,000円するが、肌への投資としては安いんじゃないか。トシキ、知ってるか、女性のものは3万円台なんてゴロゴロあるんだぜ。

BC杉本 ありますね。

シマジ 知らないのは亭主ばかりなりなんだ。

トシキ でも男性の肌と女性に肌には、玄米と白米くらいの差があるんじゃないですか。

シマジ やっぱり白米は高くつくか。

BC杉本 サトウさんはPenでどういうお仕事をなされているんですか。

シマジ トシキ、ついに肝心の質問がやってきたぞ。トシキの自己PRの時間だ。

トシキ 「サロン・ド・シマジ」の連載だけなら天国なんですが、際だった面白い特集を作るために、うちの編集者たちは日本全国はもとより世界各国を飛び回り取材しています。

BC杉本 素敵な職業ですね。そのときはカメラマンと一緒なんですか。

トシキ Penは高品位なグラビア雑誌ですから100%有能なカメラマンと一緒ですね。杉本さんやぼくが生まれる前、立木先生とシマジさんは名コンビを組んで、よく海外ロケに行かれたらしいですよ。

立木 トシキが話すとまるで古い戦前の話に聞こえるけど、ついこの間の出来事だったんだよな。

シマジ おれたちの熱い青春時代のことを語らせたら、止まらないから今日はやめるけどさ。

立木 そうだ。シマジ、今日はトシキにしゃべらせろ。

シマジ トシキ、おれは何度も聞いているけど、あの米ソの宇宙開発のちがいの話、あれは傑作だ。杉本さんに大阪に持って帰ってもらう土産話として差し上げたらどうだ。おまえの体験談を聞こうじゃないか。

BC杉本 ありがとうございます。

トシキ いまは米ソ仲良く一緒に宇宙に飛んでいますが、むかしは両国間で熾烈な闘いを繰り返していたんです。まず人類ではじめてロシアがボストークでガガーリンを宇宙に飛ばしてアメリカ国民のドギモを抜かせた。それから今度はアメリカが人類初の月面着陸に成功した。そのときソ連の国民が腰を抜かした。そんなシーソーゲームのように宇宙開発戦争が長い間続いたんです。そんなわけでぼくは宇宙特集を組むために、まずモスクワに取材に飛んだ。ロシアのすごいところは、ソユーズロケットをカザフスタンから50年間くらい飛ばしているんですが、じつに30年以上死亡事故を起こしていないんです。聞けばそのシンプルな設計は約50年間変わっていない。一方、アメリカのNASAはご承知のようにアポロ計画でもディスカバリー計画でも何人も宇宙飛行士を死亡させています。 面白い象徴的なエピソードがあります。時が流れて両国の宇宙ステーションをドッキングする時代がきました。米ソの宇宙飛行士が宇宙の彼方で会うんですね。アメリカ人の飛行士がNASAが開発した自慢のボールペンを差し出して言ったんです。
「これは宇宙船のなかでも書ける特殊なボールペンなんだ。すごいだろう」
 ボールペンのカートリッジのなかに窒素ガスを注入して開発された画期的なボールペンだった。そうしたらロシアの飛行士が言ったそうです。
「おれたちは50年以上、いまだこの鉛筆を使っている。なにが悪い。折れたら削ればいいんだよ」
 アメリカのNASAはボールペンにまで高い開発費をかけて無駄な研究をしていたんですね。

シマジ 面白いでしょう。アメリカは文明に溺れて、馬鹿な真似をしていたんだね。

トシキ そうですね。アメリカは進化に溺れてしまっていたんです。アメリカの白い宇宙服はNASAが1着、たしか10億円もかけて作っているんです。それを着るのに、ものすごい時間がかかる。一度着ると、脱ぐのにまた時間がかかる。着るのも脱ぐのも1人では出来ない。一方、ロシアの青いラインが入った宇宙服は着るのが簡単で、うしろをバカンと開けて潜り込めばいい。いまでは信頼性はロシア製のほうがはるかに高いんです。その宇宙服を開発した研究者が82歳でまだ生きているんです。少なくても5年前まで第一線で働いていました。この人はいまだコンピュータが使えないんです。いまはアメリカ人もロシアの宇宙服を着てカザフスタンから宇宙に飛んでいるんです。

シマジ ロシアには定年がないんだな。優秀な研究者は死ぬまで現役で働いているんだね。

トシキ そうなんです。そんなわけで宇宙開発戦争の軍配はある意味ロシアに上がったんです。

シマジ そんなアメリカの原子力発電を買ったんだから、日本は以て瞑すべしだな。

トシキ 原発に関してはロシアもチェルノブイリで大失敗をしでかしていますがね。

シマジ 宇宙開発はこれからどうなるんだろうね。

トシキ どんどん民間が参入してくるでしょうね。リチャード・ブランソンのバージン・ギャラクティックなんて、いつでも宇宙に飛び立てる状態らしいですよ。上空100キロまで飛んで行って、周回軌道に乗らずに無重力状態を味わってそのまま帰ってくることが出来るようです。

シマジ すごいね。

トシキ あともう少しでそういう宇宙の旅が実現可能になるでしょう。

立木 おれやシマジはどうせそのうち死んだら、天国に昇って行くんだろうから、そんな宇宙の旅なんてしなくたっていんじゃないか。

シマジ そうだね。

立木 待てよ、シマジはいままで隠していた大罪が全部ばれて、地獄に落ちるかもしれないから、生きてるうちに乗ったほうがいいかもな。

シマジ でも天国より地獄のほうが面白い人間や怪物がうじゃうじゃいるんじゃないかな。タッチャン、天国に行ったらきっと退屈するよ。

立木 死んだらシマジと別れておれは静かに暮らしたいんだ。ほっといてくれる。

トシキ そうだ。忘れていた。杉本さん、男性化粧品には首まわりにつける商品はないんですか。

シマジ おれの知る限りSHISEIDO MENには首まわり用ってのは聞いたことがないな。

BC杉本 女性用はありますが、男性用はございません。

トシキ 多分これから開発されるでしょうね。

シマジ 時代が変わり男ののど仏がチャーミングポイントになるかもな。

立木 勘弁してくれ。おれ、シマジののど仏をアップで撮るのかよ。

シマジ おれたちそこまで生きていないかもよ。

トシキ いやおふたりは元気に生きていますよ。そうだ。ぼく、明日から、また沖縄の追加取材に行かなくちゃならないんだっけ。杉本さん、今度はSHISEIDO MENをフルセットで持って行きますね。

BC杉本 紫外線のダメージをリセットするUVスポッツシューターをお忘れなく。わたしもそろそろおいとまして大阪に帰らないと。

立木 杉本さん、もう帰っちゃうの、寂しい。

BC杉本 はい、今夜、女子会があるんです。

立木 おれ、ついて行きたい。女子会の子全員の写真を撮らせてよ。もうシマジの濃い顔ばかり撮るのは飽きちゃった。

シマジ 杉本さん、この叔父さんは女子を撮らせたら日本一なんだよ。

BC杉本 はい、存じ上げております。

シマジ トシキ、沖縄から帰ってきたらSHISEIDOの売り場に行って肌をチェックしてもらいな。

トシキ はい、そうします。

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