第12回 ゲスト講談社 生活文化局 局次長 原田 隆氏 第4章 ついに発売「アカの他人の七光り」。

<店主前曰>

やっと先日『アカの他人の七光り』が発売になった。作家にとって初刷りが書店の店頭に並べられているのをみるのは、運動会で自分の子供が駆けっこしているのをみているような気がする。坊や、速く走ってくれよ。後ろをみなくてもいいんだ。ただただ前へ走ればいい。そんな気持ちで自分の本を眺めて、つい2,3冊買ってしまう。昨日の午後は、恵比寿駅の有隣堂をはじめ、渋谷の東急本店の丸善リブロと銀座の教文館と神田神保町の三省堂に”息子”の走りっぷりをみに行った。なかなか南伸坊さんのユニフォームがよく似合う。いいか、坊や、目立つように走るんだぞ。

シマジ ハラダはすでにSHISEIDO MENの愛好者だから、いまさら使い方を教えることもないしな。

ハラダ ぼくはシマジさんが毎回おっしゃる通りの使い方を毎日しております。先ほどもいいましたが、じつは内心Cを狙っていたんですよ。

シマジ 気持ちはわかるね。

立木 ハラダは偉いんだから、シマジの担当編集者なんてしないでゆっくりふんぞりかえって編集者人生を過ごせば、Cだったかもしれないね。

ハラダ どうも、シマジさんの毒を知ってしまうと、そう簡単には離れられなくなってしまうんです。

立木 その気持ちもよくわかる。

ハラダ これは南伸坊先生のイラストです。そっくりでしょう。

立木 いや、本物以上にいい男に描けている。きっと伸坊先生はおれの写真も参考にしてくれたんだろうな。考えてみるとここ2年間、おれがいちばん撮った被写体はシマジかもしれない。

水井 この連載は来年も続くそうですね。

シマジ そうなんです。タッチャン、4月からの来年度はイケメンシェフとイケメンバーマンを相手に対談することが決まったんだ。またよろしくお願いします。

立木 シマジもよく考えるね。夜仕事してもSHISEIDO MENを使えば、こんなに肌はしっとりと妖しく輝くという話になるんだな。

シマジ それに今度資生堂が開発した肌チェックの新兵器も登場するんだよ。

ハラダ それはどういう新兵器なんですか。

シマジ ちょっと顔の肌にくっつけただけで肌年齢が出てくるんだぜ。

ハラダ それではいつものA,B,C,D,E,F,のほかに、肌年齢もチェックするんですか。

シマジ そうだよ。しかもそのマシンが格好よくてハンディーなんだよ。

水井 そうなんです。今日は間に合いませんでしたが、もうそろそろSHISEIDOの店頭に置かれますので、ぜひ、読者のみなさまもお試しくださいませ。

ハラダ 新宿伊勢丹のサロン・ド・シマジに行くついでにSHISEIDOにこっそり寄って計ってもらおう。面白そうですね。

シマジ それはウソ発見器みたいなものだよね。わたしは38歳ですといっても、現実年齢は45歳と出ることもあるだろうからね。

ハラダ ぼくはやっぱりこっそり行きたいですね。シマジさんのような年齢不詳の人はぜひみてもらったほうがいいですよ。

立木 そうだよ。60歳と出るかもしれないし、80歳と出るかもしれない。72歳じゃつまんないじゃないか。

ハラダ この表紙は何歳にみえますかね。

水井 60代後半でしょうか。

立木 どれどれ。これはよく描いてもらっているからな。あっ、序文の一部がここに載ってるじゃないか。ハラダ、おれには小さくて読めない。朗読してよ。

ハラダ シマジさん、いいですかね。これは買って読んでいただくまで秘密兵器として隠しておいてたんですがね。

シマジ ここまでみせちゃったから、まあいいじゃないの。

ハラダ 今回はシマジさんと運命的に巡り会い、部下になってしまった男の悲しい物語なんです。

水井 へぇー、面白そう。

立木 そんなに勿体ぶらなくてもいいじゃないの。朗読してよ。シマジの部下でいちばん悲しい男といえば、トモジに決まっているじゃないのか。

ハラダ さすがですね。そこまでお見通しなら読みましょう。本文は長いですからオビだけの抜粋で勘弁してください。
「シマジはホメる人だ。
森羅万象、老若男女、古今東西、土木建築、焼肉定食、何でもホメる。意味が分からなくてもとにかくホメる。善人をホメ、いわんや、悪人をや、だったりする。
「オモシロイぃ!」「スゴイねぇ!」「ヤルねぇ!」という言葉 が、自動的に出てくる。
この無差別ホメ攻撃、意外と効果抜群。対外的には、作家、有名人、企業の重役、半信半疑ながらも、シマジの術中にはまるのだ。
一番の被害者は、彼の部下たち。ホメられ働き、働きホメられる。
まるで永遠運動のように働き続ける。焼けたトタン屋根の上の猫。
この大量破壊ホメ兵器の前に、死屍累々。ある者は身体を壊し、 ある者は心を壊し、ある者は職場を去った。
島地勝彦、字は万骨。一将功なって万骨枯る。
<元・部下 田中知二のまえがきより>

立木 面白い。これは大いに笑える。しかも名文だね。全文読みたくなった。

ハラダ 送りますよ。

立木 買う、買うよ。買わないとあとでシマジに何といわれるかわからない。おれはトモジのまえがきだけでも買うよ。

ハラダ いやいや、立木先生、この本の内容はなかなかなものですよ。オビに謳ってあるように、「シマジ版 リベラルアーツ、一般教養」が盛り沢山入っています。お得感がありますよ。ゴルフのエッセイも秀逸。ぼくはゴルフをしませんが、ゲラ刷りを読みながら何度も笑いました。どこまでがジョークでどこまでが本当の話か境界線がないところが面白いです。またシマジ版・アレクサンドロス大王の物語に載っている「アレクサンドロスの恋」の物語はじつに勉強になります。

立木 これを読めば、あたなも「大人の会話」ができる!と書いてあるけど、おれが聞いてテストしてやるから、ハラダ、そこだけ朗読してみてよ。

ハラダ 喜んで。これは立木先生とシマジさんの関係にも通じます。

立木 ホントか。どんな内容なんだ。気になる。おれをまたおちょくっていないだろうね。

ハラダ では参ります。
「歴史物語作家は、しばしば面白おかしく話を捏造する。神話にも出てくる女だけの騎馬軍団アマゾネスの女王が、アレクサンドロス軍の陣営にやって来たというのも作り話である。
数々の戦闘で鍛え抜かれた女王の肉体は、驚くことに乳房がひとつしかなかった。300人の軍勢を陣営外に待機させ、女王はひとり大王の前に現れて懇願した。
「わたしはあなた様の子供が欲しい・・・」
アレクサンドロスはアマゾネスの女王の熱意に負けて13日間、昼夜を分かたず彼女のために励んだ。女王は欲情を大いに満たされて帰って行ったという物語が、後世に流布されている。
しかし、アレクサンドロス大王の御用従軍歴史家のカッリステネスも、女王を大王の許に案内したとされる宮廷儀典長のカーレスも、この話は捏造だと断言している。
第一、アレクサンドロスは女色には淡泊だった。部下の兵は征服した敵の女たちを強姦しているが、大王は節度を守り、恋した女にさえ無理強いはしなかった。むしろ大王の時代、男が男に恋をして肉体の快楽を求めていたのである。アレクサンドロスの恋人は、部下であり友でもあるマケドニアの貴族出身の美男子、ヘファイスティオンであった。後年、ヘファイスティオンが腸チフスで急死したとき、アレクサンドロスの悲しみと怒りは極点に達した。まず、医者のグラウコスを看病を怠った廉で首吊りの刑に処した。愛読書『イーリアス』に倣い、喪の印として自分の髪の毛を切って、名馬ブーケファラースの尻尾に結びつけた。陣営中での歌舞音曲を禁じ、大王は幾夜も恋人ヘファイスティオンの遺体と一緒にテントのなかで寝た。
さらにアレクサンドロスは、ヘファスティオンの墓を建てるために、1万タラントもの巨額を投じたほどであった。」

立木 ハラダ、誤解しないでくれな。シマジとおれは仲はいいが、外国のホテルで一緒の部屋に何度も泊まったことがあったが、過ちは一度もない。シマジもおれも女色に忙しかったから、そのときは静かに寝たものだ。おれたちはアレクサンドロスさんのようなお偉いさんの高貴な真似はできないね。

水井 当時の女性はどういう立場にあったんですか。

シマジ ただ子供を作るための存在だったようですね。

立木 その当時SHISEIDO MENがあったら売れたろうね。

シマジ いまでも売れているだよ。一度、伊勢丹のサロン・ド・シマジにきてみてよ。SHISEIDO MENを使わずは男であらずって雰囲気なんだ。Bランクが3人いてCランクが4人いて、みんなで虎視眈々とAランクを狙っているんだよ。

ハラダ 凄まじい戦いですね。ランキング・ゲームっていくつになっても男の子は好きですからね。

立木 シマジが対談の前に肌チェックを思いついたのは面白い発想だったよな。普通、男はこのようなマシンがあることすら知らなかったんだからね。

水井 たしかにシマジさんのお蔭でSHISEIDOの売り場にいままで以上に男性のお客さまがお肌チェックにくるようになりました。

シマジ 4月からは肌年齢チェックも入りますから、ますます刺激的になりますよ。そうだ、ここで1年間の対談の相手をしてくれたシマジ番の編集者のみなさんにお礼を申し上げなくては。

立木 シマジがいまさらあらたまってもしょうがない。おれが代わりに礼をいおう。みんな、シマジをこれからもよろしくな。それからおれが撮ってやった写真は、おれに断りなく悪用しないように。でもみんな優秀な編集者のようだ。シマジはみんなの七光りでここまでやってきてるのだろう。

シマジ まったく。タッチャンのいう通りだよね。みんなありがとう!

立木 またシングルモルトを飲んだり、シガーを吸ったりしてミニ・シマジが沢山できるんだろうな。

シマジ シングルモルトとシガーとSHISEIDO MENがあれば、男の人生は幸せになれるんだよ。

立木 どうしてなんだ。

シマジ その3つの混ざった香りに素敵な女が自然に引き寄せられるんだ。

立木 ウソをつけ。ネスプレッソ・ブレーク・タイムの対談の相手は、もう20回はやっているのに、中野香織ちゃん以外は全員男ばかりじゃないの。シマジ、たまには女を撮らせてよ。

シマジ ・・・・・・。

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