服部先生
年代によって肌悩みはそれぞれ違います。若い世代ですと、毛穴の開大や黒ずみ、肌あれを訴える方が多いです。とはいえ肌あれといっても、ニキビだったりします。患者さまとドクターとでは、肌あれのとらえ方が違う場合があります。我々は、乾燥してガサガサして赤い状態を肌あれといいますが、患者さまは今までと違う肌の状態を肌あれだと思うようです。
30代はひとりで複数の悩みを抱えている方がほとんどで、中でもシミで来院される方が増えてきます。今まで顔になかった“丸いもの”が突然出てくると、皆さんショックみたいですね。それにホクロのレベルでも、色のついたものが出てきただけで、シミだと勘違いしています。特に20代でシミだといって来院する方は、診察してみると大体ホクロなんですね。40代以降になると、シミ、しわ、たるみ、たるみ毛穴を訴える方が断然多くなります。
服部先生
患者さまがシミと訴える症状は、さまざまな症状があります。老人性色素斑(日光黒子)、肝斑(かんぱん)、そばかす、イボ、ホクロ、太田母斑(青あざ)、ニキビ跡などを含めて、肌の色むらを総じてシミだと思って来院されます。必ずしもメラニン量の多さだけが原因というわけではなく、炎症などで部分的に赤みが強くなった症状や、イボができている部分についても、シミだと判断されるようです。また、ひとりの患者さまが複数の症状を合わせ持っていることもしばしばあります。最近になって、OTC(一般用医薬品)のトラネキサム酸製剤が発売され、肝斑という疾患名が認知されるようになりました。
クリニックのウェブサイトや美容雑誌などを読んで、シミの知識が豊富になっているようですが、それでもまだいろんな症状をシミだと訴える患者さまは多く、一般の方が判断するのは難しいのが事実です。じっくりお話しを伺って、実際の症状を診断しています。
服部先生
以前は老人性色素斑(シミ)に対して、Qスイッチレーザーを照射後、1週間かさぶたをはがさないように注意し、そのかさぶたがはがれたら色素斑(シミ)が薄くなるという治療が、シミに対する代表的なレーザー治療でした。
昨今では、さまざまなレーザー機器や光治療機器などが開発され、今までレーザー治療がタブーだった肝斑に対しても使えるレーザートーニングという治療も可能になりました。その他にも、トラネキサム酸やビタミンCの内服治療、ハイドロキノンやトレチノイン、トラネキサム酸の外用療法、ピーリング、イオン導入など、多様なシミに対してさまざまな治療法があります。
これらの治療法を組み合わせて行うことが多く、治療方法の幅は確実に広がってきています。
服部先生
患者さまは、レーザーでシミは簡単に取れるとイメージしがちです。ところが薄いシミだと刺激が強すぎて、経過の段階でシミが当初より濃くなることもあります。それでも段階を踏めば薄くなるのですが、患者さまからすると治療途中でシミが濃くなることは受け入れられない。あまり濃くないシミはレーザーではなく、美白剤やピーリングでまず対応し、じっくり治療に取り組むことをおすすめしています。シミといっても色の濃さや状態によって、こんな治療もあるけれど、それにはリスクや経過があると必ず説明します。
私個人としては、色むらがない肌がキレイだと思っているので、顔全体にシミがある場合は、くすみを取ってから、大きなシミを取っていきたい。それでも患者さまのいちばん気になるところから治療をした方が満足度も高いので、その気持ちを最優先します。本当に美容医療が必要なときに、いい手段を使わないようになるのはもったいないですから。
レーザー治療が合わないシミの存在や、シミ予防のための正しい紫外線対策など、
ためになる情報をお伝えします。