八木一夫 Kazuo Yagi(1918-1979)

八木一夫は、1948年鈴木治らと共に「走泥社」を結成し、抽象陶芸の先駆者として活動を開始しました。伝統的な陶芸のあり方を打破し、実用性を離れたオブジェ的な焼物の創造をめざした「走泥社」の旗挙げとその後の展開は、戦後の陶芸界における最も先鋭的な活動として大きな注目を集めました。

「間 隙」1975年
  「絵高麗壺」1976年
八木一夫は1974年に開催された個展において、黒陶による手のシリーズ約40点を発表した。本作品もそれに続く手をモチーフにした作品の一例である。黒陶は比較的低い温度で焼いた陶器を煙で燻して煤を吸着させる。
八木のもっとも重要な技法として、晩年にわたるまで制作された。
  八木は抽象陶芸の先駆者として知られているが、実用を目的にした陶器においても優れた作品を残している。陶芸家八木一艸の息子として生まれ、若い頃から陶芸技法の基礎を学んだ八木にとって、伝統的な器物の制作は捨て難いものであったのだろう。本作は白化粧の上に鉄釉で力強い刷毛目を描いた壷で、モダンなデザイン感覚による現代の絵高麗である。

「三島手の器」1977年
本作も実用的な陶器の部類に入る。六個が揃いになった半球状の器である。器体にごく小さな花形の印を押し、化粧掛けを施した後に拭き取るという伝統的な三島の技法によるもので、高台にあたる部分には四本の小さな足が付いている。

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