花粉に関するレポート記事

春の肌荒れは花粉が原因かも!?
皮膚科の専門医に聞く「花粉皮膚炎」の症状と予防

更新日:
2019.01.31

スギやヒノキの花粉が舞う季節がやってきました。花粉によるアレルギー反応といえば、鼻炎や目のかゆみといった「花粉症」が一般的に知られていますが、花粉症でなくても花粉で肌が荒れてしまう「花粉皮膚炎」に悩まれている方も年々増えているようです。

そこで「d プログラム」は、花粉による肌荒れにお悩みの方々のため、池袋西口ふくろう皮膚科クリニック院長の藤本智子先生に、「花粉皮膚炎」のメカニズムから予防法までをお聞きしました。

「花粉皮膚炎」の症状とは

--まずは花粉皮膚炎の症状について教えていただけますか。

藤本先生

「簡単に言うと、花粉が付いたところにでる皮膚炎のことです。露出している顔まわり、首に出ることが多く、かゆくなったり、赤くなったり、乾燥してガサガサしてきたりすることが特徴です。炎症がひどくなると、腫れや出血などがあらわれることもあります」

--春になると先生のクリニックでも症状を訴える患者さんは多くなりますか?

藤本先生

「春はスギやヒノキ、秋にはブタクサやヨモギという具合で、皮膚炎の原因になる花粉が飛ぶのは春だけとは限りませんが、スギ花粉の飛散がピークを迎える2月から4月頃は症状に悩む方がとても多くなりますね」

花粉皮膚炎の原因とされている植物は他にもありますが、比較的時期が限定的で症例が多いスギを原因とするものは「スギ花粉皮膚炎」と呼ばれています。また藤本先生によると、肌のバリア機能が低下していると、花粉皮膚炎になりやすいとのことです。

「肌のバリア機能」ってどんなもの?

皮膚のいちばん外側にある薄い層を角質層(角層)といい、この角質層は表面が皮脂膜で守られています。角質層は身近なところに存在する細菌やウイルス、空気中に漂う花粉などの有害物質が私たちのからだに入っていかないように、シャットアウトしています。これが肌のバリア機能です。

藤本先生

「皮膚は、体の外側と内側を分けている境目の部分です。その皮膚を通過して『自分のものではない何か』が入ってきた時には、体内の免疫機能が働き、敵とみなして攻撃するようにできているんです」

--バリア機能が弱まって異物が入ってくると、免疫機能が働くのですね?

藤本先生

「ええ、異物からからだを守るための働きです。その免疫機能が過剰に働くことを“アレルギー反応が起きる”というのです。ですから、肌のバリア機能が低下すると、普通は皮膚を通り抜けることができない大きさの花粉などの異物が体内に入ってしまって、アレルギー反応が起きる。そのことによって角質層のバリアにダメージを与え、別の異物が通り抜けると、またアレルギーが起きる…。ただ皮膚が整っていれば花粉の侵入を抑えられますから、花粉皮膚炎を予防するためには、皮膚を正常に保つことが非常に重要なポイントになります。

肌の乾燥、肌荒れに気をつけましょう

花粉が多い季節には、誰でも同じようにダメージを受けてもいいはず。「花粉症」と呼ばれる耳や目の症状には年齢や性別の差はないようですが、花粉皮膚炎は女性が発症することが多いと先生はおっしゃいます。

藤本先生

「理由として考えられるのは、間違ったお手入れでバリア機能を弱めてしまうことが少なからずあるからでしょう。汚れを落とそうと洗顔やクレンジングで、肌を擦ったり、ゴシゴシ洗ったりすると、肌の表面を覆っている必要な皮脂まで洗い流してしまい、角質層が傷みやすくなって、乾燥や肌荒れにつながることがあります。肌がデリケートになっている時には、低刺激の洗顔やクレンジングを使って、余分な皮脂や汚れをやさしく洗い流しましょう」

--(バリア機能を持つ)角質層を守っている皮脂を洗い流してはいけないんですね。

藤本先生

「そうです。角質層を守るためには、できるだけ肌をこすらないことも大切です。肌をこすってしまうと、バリアはさらに破壊され、症状はますます悪化することになりかねません。なお花粉皮膚炎の患者さんは目の周りが悪化してしまうケースがとても多いです。目の周りの皮膚はすごく薄い上に、皮脂層も薄く、皮脂がほとんど出ないため、もともと乾燥しやすく、傷みやすい。アイメイクを楽しむときにも、肌を傷めないように十分気をつけていただきたいです」

花粉を避ける工夫と生活習慣の見直しで健やかな肌を

先生によると、「肌の異常はまず乾燥から始まることが多く、花粉皮膚炎もそれは同じ」とのこと。肌のつっぱりを感じたら乾燥のサインということなので、早めに保湿することが大切なようです。

--冬から春先までは乾燥も肌の大敵です。その乾燥が花粉皮膚炎も誘発するとなれば、より注意が必要ですね。

藤本先生

「はい。最近の住宅は高気密・高断熱に作られていて、部屋の中が乾燥しやすくなっていますから、加湿器などを使って一定の湿度を保つのも予防効果はあるでしょう。また日頃から保湿などのスキンケアで肌のバリア機能を保つことが大切です。あとはからだをタオルなどでこするのも肌を傷めて乾燥の原因になりますから、顔はもちろんからだもやさしく洗っていただきたいと思います」

--乾燥予防は大前提なのですね。その他には、どんなことに気をつければいいのでしょう。

藤本先生

一番いいのは花粉を避けることです。つまり花粉が直接肌に触れない工夫ですね。ゴーグルのような眼鏡やマスクなどで露出部分をできるだけ少なくしたり、外から帰ったら、髪や服についた花粉を払ってから家に入り、顔についた花粉はすぐに洗って落とすことも効果があるでしょう」

--やはり花粉を肌に触れさせないことが大切ということですね。

藤本先生

「はい。原因物質である花粉から身を守ることは重要です」

--花粉症対策としてあげられることが、花粉皮膚炎にも効果的なんですね。

藤本先生

「ええ。それに肌の症状は複合的な要因で起きることが多いんです。寝不足が続いたり、過剰なストレスを受けたりすると、肌のバリア機能は弱ってしまいます。そこに花粉で刺激を受けると、花粉皮膚炎を発症しやすいのです」

--ということは、花粉だけでなく、ライフスタイルにも気をつけることが必要ですか?

藤本先生

「そうですね。肌荒れを感じたらゆっくり休むことも大事でしょう。花粉皮膚炎は多くの“予備軍”がいると考えられています。思い当たる方は、ちょっとでも肌の不調を感じたら、症状がひどくなる前に生活を見直してみてはどうでしょう」

--花粉の季節には、肌をみずみずしく健やかな状態に保ち、花粉を直接肌に触れさせないこと。それにライフスタイルにも気をつけることが、花粉による肌荒れ予防には重要なのですね。ありがとうございました。

〈プロフィール〉
藤本智子(ふじもと・ともこ)
皮膚科医、池袋西口ふくろう皮膚科クリニック院長。2001年、浜松医科大学医学部医学科卒業、同年に東京医科歯科大学皮膚科入局。東京医科歯科大学皮膚科助教、都立大塚病院皮膚科医長などを経て、2017年に池袋西口ふくろう皮膚科クリニック開院、皮膚科全般の治療を行っている。