第4回 六本木 格之進 千葉祐士氏 第4章 夏の昼下がりは食のジョークを披露しよう。

撮影:立木義浩

<店主前曰>

冨田拓朗という天才的経営者がいる。冨田と千葉はある日伊勢丹メンズ館のバー、サロン・ド・シマジで遭遇した。同い年でもある彼らはすぐに気が合って仲良くなり、後日六本木の「格之進」で再会を果たした。34社のオーナーである冨田の話柄には迫力とともに魅力が溢れていたのだろう。冨田はあらゆるジャンルの企業を経営している。「お肉」の店舗を6軒経営している千葉だが、自分はまだまだだと思ったのだろう。千葉は冨田の懐に飛び込んだ。情が深いながら冷酷ともいえる厳しい経営哲学を持つ冨田のもとで学ぶことにより、千葉はこれからもっともっと高みへと登って行くことだろう。

立木:千葉がお肉を焼いている姿は鬼気迫るものがあるが、どうだろう、シマジに食のジョークをいくつか教えてもらって、お肉を焼いているときにあのイッた目をしながらジョークをお客に披露したら、さらに人気者になるんじゃないの?

シマジ:いいアイディアですね。そうすればたしかに雰囲気も和むでしょうからね。でもその前に、風間さんがどうして資生堂を就職先に選んだか、お訊きしましょうか。

風間:そうですね、はじめは高校生のころにテレビで資生堂のCMを見たのがきっかけで、資生堂に興味や憧れを抱いたというところでしょうか。ちなみに当時のCMといえば、「ゆれる、まなざし」「ナツコ」「ピーチパイ」「インウイ」などが印象的でした。

シマジ:なるほど。企業にとってのテレビCMは、商品を販売するためだけではなく、人材確保の役割もあるんですね。

風間:高校卒業後、わたしは迷わずメーキャップの専門学校に入りました。両親にはどうして大学に行かないのかと反対されていたため、アルバイトをして自分で学費を払い、1年間専門学校に通いました。あるとき、一緒にアルバイトをしていた方にたまたま資生堂の説明会のハガキをいただき、軽い気持ちで応募してみました。銀座の本社ビルでの説明会とその後の2次説明会を受けたんですが、それは実際には面接だったんです。それでトントン拍子に入社が決まり、現在に至ります。

立木:よくシマジが言っているように、人生はまさに「運と縁」だね。

シマジ:それはいつごろのお話ですか。

風間:入社したのは1982年です。

シマジ:それはわたしが週刊プレイボーイの編集長になった年と重なります。ちょうど日本のバブル経済がはじまる少し前の頃でしたね。風間さんは現在、東日本デパート営業本部の美容統括部長をなさっておられます。これまでいろいろなご経験を積んでこられたと思いますが、そのなかで印象的だったのはどのようなことでしょう。

風間:はい。最初の配属先のチーフが、スキンケアカウンセリングを重視される方で、毎日毎日、皮膚の仕組みや肌質別のお手入れのポイントについて、ロールプレイングを行いながら徹底的に教え込まれました。いまとなってはそれが自分自身の仕事の基盤になっているので、感謝の気持ちでいっぱいです。BC(ビューティーコンサルタント)として入社して、私のように多方面の部署で仕事をした人間は珍しい存在かと思います。以前この連載に登場された岡元さん、原田さん、矢野さんたちにもずいぶんお世話になりました。

立木:矢野さんってシマジのネイルアートをやっている人だよね。思い出した。中目黒のブロンクスでおれが撮影したお嬢だね。

シマジ:わたしの紹介で、最近は伊勢丹の大西社長も矢野先生に爪の手入れをしてもらっているんですよ。

立木:まさか大西社長までド派手なネイルアートをしているわけではないだろうね。

シマジ:わたしがやっているように伊勢丹のタータンチェックのネイルアートをぜひなさってくださいと進言したんですが、社則でネイルアートは禁止されているようです。ですから純粋にお手入れだけなんです。でも爪をきれいにするとそれだけでも気分が上がりますからね。

風間:シマジさんはお肌もきれいですよね。

シマジ:これは月に1度、山口智代先生のエステを受けている賜物でしょう。

立木:いくらSHISEIDO MENの“宣伝部長”とはいえ、シマジは資生堂を私物化してはいないか。ちゃんと福原名誉会長にことわってあるんだろうね。

シマジ:お言葉ですが、タッチャン、お客さまはわたしの肌の様子を見たうえで、納得してSHISEIDO MENを買って行かれるんですよ。74歳でもこれだけ手入れをしていれば鬼に金棒、商品の宣伝にもひと役買っているんではないでしょうか。

松本:わたしも以前取材を受けたのをきっかけに、あれからずっとSHISEIDO MENを使っています。

千葉:わたしもシマジさんのお肌を見た瞬間、SHISEIDO MENのアイテムを一式買わせていただきました。今日もこんなにいただいて幸せです。

立木:わかった、わかった。二人とも資生堂の回し者みたいなことを言って。シマジ、そろそろ食のジョークをやってくれ。

シマジ:この二人は決してサクラではないですよ。実際に熱心な愛用者なんですから。

立木:わかったから、早くジョークをやってくれ。

シマジ:お任せください。ジョークはわたしの体を叩けばいくらでも出てきます。では、いきましょう。

ある午後、裕福な弁護士が彼の仕事場に向かうリムジンの後部座席にふんぞりかえっていると、道ばたで草を食べている二人の男がいた。弁護士はお抱え運転手にクルマを止めるように伝え、男たちがなにをしているのか調べようとクルマから降りた。
「なぜきみたちは草を食べているのかね」
弁護士が2人に尋ねた。すると1人目の男が答えた。
「おお、旦那さま、わたしたちは食べ物を買うお金がないんです」
「そういうことならわたしと一緒に来なさい。食べさせてあげよう」と弁護士が言った。
「でも旦那さま、わたしには妻と2人の子供がいます。あいつらもわたしと同じように腹を空かせています」
すると弁護士は「それなら彼らも連れてきなさい」と鷹揚に言った。
「わたしにも妻と6人の子供がいます。わたしも妻と子供たちを連れて行っていいでしょうか」
「問題ない。彼らも連れてきなさい」と弁護士。
最終的に弁護士と2人の男、2人の妻、8人の子供、全員がリムジンに乗り込むことになった。感極まって男の1人が感謝の言葉を述べた。
「旦那さま、あなたはとてもお優しい方ですね。わたしたち全員を連れて行ってくださるなんて、本当にありがとうございます」
すると弁護士は大きくうなずいて言った。
「ちっともかまわんよ。うちの庭は広いし、草は伸びて膝丈くらいあるからね」

立木:アッハハハ。面白いけどブラックジョークだね。それに長すぎてまるで大河ジョークだ。

シマジ:ではアンコールに応えてもう一ついきますか。

立木:誰もアンコールはしていないよ。

松本:わたしがご主人さまにアンコールいたしました。

立木:ふん、そうか。じゃあやってみな。

シマジ:小型旅客機が南太平洋に不時着した。パイロットと3人の女だけが生き残った。1週間もしないうちにわずかな食料は底をつき、彼らは飢餓に苦しみはじめた。このままでは全員の死が避けられないと悟ったパイロットは、自分が犠牲になると申し出た。
「わたしは自殺する。あなたがたはわたしを食糧にしなさい。それで1、2週間は持ちこたえられるし、そのうち助けが来るだろうから」
パイロットが拳銃を頭に突きつけた。
「やめて!」と女の1人が叫んだ。
「脳みそをぶっ飛ばすなんてどうかおやめになって。あなた、そこがいちばん美味しいところなのよ」

千葉:アッハハハ。たしかにいまは狂牛病問題で牛ちゃんの脳みそは食べられませんが、脳みそは美味いと言われていますね。

シマジ:昔は牛の脳みそを寿司ネタにして、しょっちゅう食べていたものです。とくにピンク色をした延髄のところが最高なんですよ。

風間:‐‐‐‐‐。

立木:‐‐‐‐‐。

松本:‐‐‐‐‐。

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