第9回 六本木 CASK strength 伊藤新氏 第1章 オーセンティックバー“3兄弟”物語。

撮影:立木義浩

<店主前曰>

今回登場していただく伊藤新バーマンは、オーセンティックバー「CASK strength」に勤めて14年目になるベテランだ。そしてこの「CASK strength」然り、また7月に登場していただいた山田バーマンの「Wodka Tonic」然り、どちらも10月にご登場いただいた「水楢佳寿久」の篠崎バーマンが社長として率いる3軒の1つである(「水楢佳寿久」の事実上のマスターは塩沢バーマンである)。
これでわたしは篠崎社長が生んだオーセンティックバー3兄弟をすべて取材で制覇したことになる。篠崎社長は44歳、塩沢バーマンと山田バーマンがともに38歳、伊藤バーマンが35歳とみんなまだ若いのだが、篠崎社長の下3人が取締役を務めている。
わたしが感心しているのは、3軒のバーの名前がすべて違うことである。これは素晴らしいアイディアだと思う。こういう場合、例えば「CASK strength2」などという名前の付け方をすることも多いのだが、3軒とも歩いて行き来できる距離にありながら、まったく別の店に行く感覚を持てるのが洒落ているではないか。

シマジ:伊藤バーマン、篠崎社長の原点はここ「CASK strength」にあるんでしょうね。

伊藤:そうです。篠崎社長をはじめ、山田さんも塩沢さんもそしてわたしもここで一緒に働いていたことがありました。

シマジ:この間取材させてもらったんですが、篠崎社長がバーの運営を会社組織で行うことにして、3人を取締役、かつ各店のマスターにしたというのは素晴らしいアイディアですね。

伊藤:はい。やり甲斐がありますね。わたしは35歳でいちばん年下です。やっぱり篠崎社長がいちばんお客さまを持っていますので、3軒のバーを巡回しています。

シマジ:3軒の名前がそれぞれに凝っていて個性的なのがいいですね。しかも3軒のどこでも、飲んべえが小腹を空かせたときには美味しいものを出してくれるのも粋だと思いました。

伊藤:ありがとうございます。それはそうと、先日は取材の日を勘違いしていまして、失礼しました。

立木:あれはシマジが勘違いしたんだよ。伊藤バーマンにはまったく罪はない。シマジ、ここでみんなに謝んなさい。

シマジ:本当に申し訳ありませんでした。

立木:おれはもうシマジのことは当てにしない。これからは資生堂の担当の田中さんが言うこと以外は受け付けないことにしたからね。

シマジ:伊藤さん、こちらが本日の資生堂のゲスト、杉山亜弓さんです。杉山さん、先日は本当に申し訳ありませんでした。

杉山:いえいえ、どういたしまして。立木先生、杉山です。よろしくお願いいたします。

立木:2回会っているから忘れていないよ。ところでシマジには秘書はいないのか。

シマジ:わたしの可愛い秘書はこのスマイソンのダイアリーです。

立木:それが当てにならないんだよ。まあいい。早速仕事をしよう。今日はなにを撮るんだ。

シマジ:伊藤バーマン、最初はなにかカクテルをお願いしたいですね。

伊藤:それではクラシックカクテルのジャック・ローズでいきましょうか。いま季節的にザクロが美味しいですから、フレッシュなザクロを使いましょう。それにカルバドスを入れます。では立木先生、こちらに置きますね。

立木:うん、そこでいいよ。山口、ライトをそっちから当ててくれ。

山口:了解しました。

シマジ:杉山さん、少し待っててね。

杉山:いつもこの連載を読んでいますので段取りは存じています。いつも立木先生の撮影は早いと伺っています。

シマジ:世界一早くて巧いんですよ。

立木:これはOKだ。次は。

シマジ:杉山さん、ジャック・ローズをどうぞ。ニューヨークで流行ったカクテルです。

杉山:うーん、美味しいです。

伊藤:次は氷なしの水割りを作ります。ウイスキーは80年代のスペイキャスト、それとボルヴィック、1対1で作りますね。マティーニを作るようにミキシンググラスで氷を入れてかき混ぜながらこうして作ります。はい、どうぞ。

立木:これは美味そうだ。撮影が終わったらおれにも作ってくれる。

伊藤:喜んでお作りいたします。ウイスキーの水割りはやはり軟水が合いますね。うちはボルヴィックか日本の温泉水を使っています。

立木:撮影終了!

シマジ:杉山さん、どうぞ。はじめのジャック・ローズは美味かったでしょう。

杉山:美味しくてもう飲んでしまいました。今度はキンキンに冷えた水割りですね。氷がないから飲みやすそうです。

シマジ:わたしも伊勢丹のメンズ館8階で「サロン・ド・シマジ」というシガーバーをやっていますが、そこでは氷を入れたシェーカーに、シングルモルトとスペイサイドのグレンリヴェット・ウォーターを注いで振っています。そのスペイサイド・ウォーターが輸入禁止になってしまい困っているんですよ。

杉山:どうして輸入禁止になったんですか。

シマジ:なにか日本のチェック部門に引っかかったようなんです。英国でもEU諸国でも売られているというのに。仕方がないので日本中のいろいろな水を試したんですが、これからは岩手県の龍泉胴の水を使おうかと考えているんです。杉山さん、一度伊勢丹の「サロン・ド・シマジ」に遊びに来てください。SHISEIDO MENも売っているんですよ。

杉山:面白そうですね。必ず伺います。

伊藤:では3番目は、ここで人気のハムカツサンドと一緒にハイボールをお出ししましょう。

シマジ:杉山さん、ここのハムカツサンドは美味しいですよ。

伊藤:ハイボールは山崎12年をペリエで割って出しますね。

立木:じゃあ、それを一緒に撮ろう。うーん、いい感じだ。

シマジ:伊藤さん、わたしにも一杯作ってもらえますか。

伊藤:はい。承知しました。

立木:よし、これもOKだ。

シマジ:では杉山さん、乾杯しましょう。スランジバー!

杉山:・・スランジバー! スランジバーって以前にこの連載で読んだことがありますが、どのような意味でしたか?

シマジ:これはスコットランドのバーでは必ず言われている乾杯の言葉で「あなたの健康を祝して」という意味です。元はゲール語のようです。伊勢丹の「サロン・ド・シマジ」ではスランジバーが流行っていますよ。杉山さん、どうぞ、ハムカツサンドも召し上がってください。

杉山:美味しいですね。このハイボールとよく合いますね。

シマジ:いよいよ最後になりました。伊藤バーマン、なにを作ってくれますか。

伊藤:最後にこれも古典的なカクテルですが、マンハッタンをつくりましょう。しかも今回はバーボンのメイカーズマークを使います。あとはチンザノとビターズです。

立木:マンハッタンか。懐かしいカクテルだ。むかし流行ったものだよ。

シマジ:タッチャンはマンハッタンになにか艶めかしい思い出でもあるんじゃないの。

立木:いま撮影中だ。余計なことを考えさせないでくれ。よし、これで物撮りはすべて終了した。あとは3人を撮ろう。終わったら氷なしの水割りを頼むね。

伊藤:お任せください。

シマジ:杉山さん、作り立てのマンハッタンのカクテルをどうぞ。

杉山:ありがとうございます。立木先生に撮っていただけるなんて夢のようです。でき上がった写真は家宝にいたします。

立木:では3人でレンズを見てくれる。OK。あとは銘々を勝手に撮るからお喋りしていてくれる。

杉山:わたし、今日はハイピッチで飲んだみたいです。このあと会社に戻って仕事ができるでしょうか・・。じつはわたし、お酒が弱いんです。

シマジ:大丈夫です。会社にはシマジに強制的に飲まされたと言えばいいでしょう。これも立派な仕事ですから。SHISEIDO MENの宣伝ですからね。

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カスク ストレングス CASK strength

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