
<店主前曰>
人生は出会いである。わたしがPenのサトウ・トシキに出会ってなかったら”サロン・ド・シマジ”のバー物語は世に出ていなかったことだろう。男にとって男性化粧品との出会いも大事である。もしわたしがミラノのデパートで先行販売していたSHISEIDO MENに出会わなかったら、いまごろわたしの肌は歳相応の老人のようにボロボロになっていたにちがいない。自慢じゃないけど、わたしの肌は10歳以上若くみられる。肌はこころを包む包装紙みたいなものなのだ。クシャクシャの包装紙にいくらダンディな精神を包んでも、決してお洒落にはみえない。
トシキは連載の打ち合わせによくサロン・ド・シマジにやってくる。もちろん買ったばかりのシングルモルトを朝から試飲する。編集部には広尾シマジ宅とでも書いてあるのだろう。悠々と5,6杯は飲んで行く。わたしはニューボトルを購入すると、必ず1本につき3杯は試飲することにしている。たまたまトシキと一緒に試飲することもある。2日前の朝、ブルイクラディ系列の蒸留所、ポート・シャロットとオクトモアの2本を飲み比べてみた。
「うん、オクトモアのほうがスモーキーですね」
「オクトモアはアイラ島でいちばんスモーキーだという評判だ。あ、そうだ。おまえ明日の午後、空いていないか」
「どうしてですか」
「SHISEIDO MENの収録があるんだ。先ほどミツハシから電話があって会社の規定が厳しく出られないと断わってきたんだ」
「ミツハシさんもSHISEIDO MENの愛用者だから、本人は出たかったでしょうね」
「おまえは大丈夫か」
「何があっても大丈夫にしますよ。ぼくもSHISEIDO MENは毎日使っていますから胸を張って参加できます」
「よかった。タッチャンも資生堂のBCも日にちが確定しているんだ。今日の明日だろう。じつはおれは久しぶりに困っていたんだ」
「シマジさんのためです。一肌脱ぎますか」
「SHISEIDO MENで美しくなった肌を一肌脱いでくれるか」
トシキ じつを言うと、ぼくはいままで使っていたトータルリバイタライザーと、この間買った黒い入れ物のスキンエンパワリングクリームと交互に使っているんですが、どこがどうちがうのですか。
シマジ 鋭い質問だ。杉本さん、どうなんですか。
BC杉本 サトウさんくらいお若いかたはトータルリバイタライザーでも十分いいのですが、エイジングケアのことを考えますと、40歳以上のかたはスキンエンパワリングクリームのほうがいいでしょう。スキンエンパワリングクリームには栄養ドリンクを飲むくらいの成分が入っています。
シマジ なるほど。20代の男性はトータルリバイタライザーでいいが、歳を取ってきたら、スキンエンパワリングクリームのほうがベターということですか。じゃあ、トシキは微妙な年齢なんだね。
BC杉本 そうですね。2つ持っていて徹夜でくたびれたときなどは栄養たっぷりなスキンエンパワリングクリームを使ってください。身体の老化と肌の老化は微妙に正比例してきます。歳を取るとお肌がゴワゴワしたりシミが目立ったりしてくるものです。お肌もお体の大切な一部です。肌色がくすんできたり、ハリがなくなってきたら老化のはじまりです。そのときはSHISEIDO MENでエイジングケアを施して活気あるお肌を取り戻すことが重要です。
トシキ なるほど。シマジさんがいい例ですよね。このピカピカ輝いているのは何なんだと、はじめてシマジさんにお目にかかったとき思いました。親しくなって訊いたんです。「シマジさん、化粧品は何を使っているんですか」すると、わざわざウオッシュ・ルームから大量のSHISEIDO MENを持ってきて自慢げに「これが秘密兵器だ」と言われたんです。わたしもそのころから少しずつSHISEIDO MENを使っていたんですが、一気に気持ちが傾きまして現在に至ります。
シマジ 目はこころの窓というけど、じっさいは肌のほうがこころの窓じゃないのかなあ。
BC杉本 そうだと思います。こころが病むと肌も病みます。明るい表情は美しく元気な肌でないと表現できないでしょう。だからお肌のエイジングを食い止めるのは大切なことなのです。
シマジ 同じ人生、汚いジジイにはなりたくないからな。それにオヤジ臭をプンプンさせては周りが迷惑だよな。
トシキ われわれ編集者は幸いラッシュアワーの電車に乗ることはありませんが、普通のサラリーマンは大変でしょうね。
シマジ 朝、必ずシャワーくらいは浴びて出勤してもらいたいね。条例で決めるべきだよな。
BC杉本 いまの若い人は結構お洒落ですよ。この間売り出したばかりのアクティブコンセントレイティッドセラムをもう使い切ったと言ってくる若いかたがおりました。
シマジ そいつはすごい若者だね。大阪のほうがSHISEIDO MENは売れてるんじゃないのか。
トシキ たしかにあれは小さいから大瓶が必要ですかね。
シマジ でも2,3滴プッシュして出したとしても、1ヶ月で使い果たすのは見上げたものだ。おれは相当使っているが2ヶ月は優に持つよ。
トシキ シマジさんはあっちこっちに置いてあるから減る量がまちまちなんでしょう。それにしても大阪のその若者はすごいですね。日本人にも若いのに立派なヤツがいるんですね。そいつは何歳くらいですか。
BC杉本 30歳ちょっと前でしょうか。
立木 そいつはおれみたいにSHISEIDO MENより杉本さんに興味があるんじゃないの。だから杉本さんに会いたくて、朝、昼、晩、1日3回使ってるんじゃないの。
BC杉本 そんなことは決してございません。さっと買ってスマートにお帰りになられます。
シマジ タッチャン、それは年寄りの邪推じゃないのか。
セオ その通りです。
シマジ トシキ、いまセオの声がしなかったか。
トシキ いや、しませんでしたよ。
シマジ 幻聴かもしれない。たしかに聞こえた。
トシキ シマジさんは朝から毎日原稿を書いているから、現代ビジネスの原稿にうならされているんじゃないですか。
シマジ そうかもしれない。今朝、現代ビジネスのドン小西の原稿を途中まで書いていたんだ。
BC杉本 大変ですね。
シマジ でも面白いことを書いているから結構愉しんでいるんです。
トシキ 杉本さんはPenを読んだことありますか。
BC杉本 はい。女性が読んでもためになる雑誌ですね。いつだったか、シマジさんのファンのかたがサロン・ド・シマジにやってきたお話を読みました。
シマジ あいつは柴田錬三郎先生のお墓を掃除に行って、柴田家の墓を磨いたそうだ。じつは柴田先生の本名は斉藤なんだ。偶然、斉藤家の墓の近くに柴田家の立派な墓があったんだよ。
BC杉本 怖いようなすごいお話ですね。
トシキ シマジさんがよく言う、まさに「人生は恐ろしい冗談」ですよね。
シマジ そうだ。谷川聖和にもSHISEIDO MENのよさを教えてあげないといけないな。今度会うときSHISEIDO MENを一式買ってあげよう。
トシキ 彼はシングルモルトが詳しいようですね。
シマジ 肌にとってシングルモルトはどうなんですか。
BC杉本 いいんじゃありませんか。お酒は血行をよくしますから、お肌にいいと思います。
シマジ 杉本さんはお酒飲むほうですか。
BC杉本 はい、よく母と2人で焼酎を飲みます。
シマジ それじゃ今日は休日だから、極上のシングルモルトをご馳走しましょうか。世間は休みなんだから、2,3杯飲んだって福原さんは怒らないでしょう。
トシキ やりますか。
立木 いただきまーす。
BC杉本 シングルモルトってわたくし、まだ飲んだことがありません。
シマジ 言ってみれば、麦焼酎みたいなものです。焼酎よりは美味いですがね。
BC杉本 こうしてお水で割って飲むんですか。
シマジ そうです。本場スコットランドでもこうして飲んでいます。
この水はグレンリベット村のスペイサイド・ウオーターといって、いわばマザーウオーターなんです。これでシングルモルトに加水すると一段とうま味が立ってくるんですよ。
BC杉本 この水差し可愛いですね。
シマジ これはアンティックの水差しで100年以上前のジャグというものです。だからガラスが厚く出来ているんです。
トシキ どうもストレートで粋がって飲んでいるのは日本人だけのようですよ。
BC杉本 美味しいですわね。
シマジ 杉本さんは相当イケルほうですね。
立木 ますます気に入った。いつ写真撮ろうか。
シマジ 福原名誉会長にも相談したほうがいいんじゃないの。
BC杉本 はい、そうさせていただきます。
トシキ このポート・エレンは格別に美味いですね。
BC杉本 ポート・エレンって何ですか。
シマジ これはアイラ島の1983年以来閉鎖している蒸留所のシングルモルトなんです。しかもこれはレギュラーボトルで閉鎖されてから、残っていた樽から最初に出した”ファースト”と言われている貴重なものです。
BC杉本 そんな貴重なシングルモルトを飲ませていただき光栄です。
シマジ これはさっき話したおれの熱狂的ファンの谷川の差し入れなんだ。
トシキ 師匠が気前がいいと弟子たちも気前がいいんですよ。
BC杉本 高いんですか。
シマジ いまでは15,6万円しますかね。
BC杉本 ひゃあ、そんなに高いんですか。
立木 杉本さん、そんなに驚くことはない。それはもらい物なんだ。撮影は決心ついた?
BC杉本 考えておきます。
シマジ タッチャン、そんなに水着の写真撮りたかったら、おれが代わりになってやろうか。
立木 勘弁してくれ。シマジにはこれ以上深入りしたくない。