美白有効成分m-トラネキサム酸※開発
シミができる肌の特有な状態に着目し、メラノサイトの活性化を効果的に抑える新しい美白有効成分m-トラネキサム酸を開発。医薬部外品の美白有効成分として厚生労働省から認可されました。
- トラネキサム酸
シミができる原因の究明から、
シミが消えるメカニズムの
研究にまで進化。
資生堂はシミができる肌特有の状態を徹底研究することで、
これまでの常識を覆す新たな事実を、つぎつぎと発見してきました。
資生堂はシミを消すプロセスで用いられるレーザー治療に着想を得て研究を進めました。
レーザー治療はその高い効果を実感される方が多くいますが、「時間が経ってシミが戻ってきた」という声も聞かれます。
美容医療におけるシミレーザー治療は、表皮のメラニンをレーザーにより破壊し、ターンオーバーに伴って排出させることで、色素沈着の改善を実現します。
レーザー治療は高い有効性が認められている一方で、その治療効果はシミごとに大きく異なることも知られています。
資生堂ではこれまでに、シミ部位の真皮上層において異常な毛細血管ネットワークが存在していることを見出してきたことから、シミ部位の血管はこのシミ改善と何か関係があるのではないかと考えました。
そこで、レーザー治療を用いて表皮のメラニンを除去した際の肌状態の観察を行いました。
研究の結果、血管密度が高いシミほど、
色素沈着が改善しにくいということも分かりました。(図1,2)
この結果は、シミ部位の肌の奥に根付く血管が、シミの改善・再発に影響を及ぼしていることを示唆しており、
シミのケアのためには血管ケアも非常に重要であることを示しています。
資生堂はシミ部位での異常な血管新生を促す刺激因子を抑える成分としてオトギリ草由来の抽出液を見出しました。
先行研究において、メラノサイトが正常に機能するためには、適度な細胞接着の存在が必要であることが知られています。シミの根本的な原因を探るべく、メラノサイトとその周辺環境を深掘りし、表皮細胞同士の”接着異常” による乱れに着目しました。
シミ部位は通常の肌とは違い、皮膚組織恒常性の維持にも重要な「E-カドヘリン」が常に少なくなっている状態であることを新発見。 「E-カドヘリン」が減少すると、表皮細胞から悪影響因子が生み出されメラノサイトの活性化、メラニンの過剰生成、メラノサイトの停滞、メラニン取り込みといった、シミ特有の肌内部の悪化現象を引き起こします。
そして、バラ科植物エキスにより、E-カドヘリンの発現を促進する効果があることを見出しました。減少したE-カドヘリンを正常化することで、シミの発生・定着の予防をすることで、根本的な改善へのアプローチが期待されます。
化粧品に使われる薬剤の多くは、基剤である水との親和性が高いため、水をはじく性質がある皮膚にはそのままでは浸透しにくい、という課題がありました。資生堂では、その課題を解決するため、通常は固体の物質が特定の分子と相互作用することで液体化する現象を利用した、新しい科学的知見に基づく導入促進成分を開発しました。
ヒトの皮膚を用いて美白薬剤の浸透促進効果の評価を行ったところ、新規導入促進成分により、薬剤浸透量が高まりました。
今回開発した新たな導入促進成分によって、浸透性に優れた機能的効果的なスキンケア製品の実現を目指します。
シミに対するお客さまの意識をもとに、
シミができるメカニズムを徹底的に研究。
そこで得た、新たな知見に着目し、
美白有効成分を開発することが、
私たちの基本方針。
これまでにないアプローチで、
お客さまの意識に応えるために。
資生堂は美白有効成分をつぎつぎと
世に送り出してきました。
シミができる肌の特有な状態に着目し、メラノサイトの活性化を効果的に抑える新しい美白有効成分m-トラネキサム酸を開発。医薬部外品の美白有効成分として厚生労働省から認可されました。
絡みついたように蓄積するメラニンに着目。メラニン色素の過剰生成を効果的に抑制する4MSKを開発。
資生堂5番目の医薬部外品の美白有効成分として厚生労働省に認可されました。
シミができる肌の黒化スパイラル状態に着目して開発。
メラニンをつくれと命令する細胞の働きと、加速するメラニンの過剰生成を抑えるために、
資生堂を代表する2大美白有効成分4MSKとm-トラネキサム酸をひとつに。
シミ悪化を引き起こす真皮からのシミ増殖因子の流入経路「アンダーメラニンルート」を抑制。また、表皮と真皮の間で働く基底膜の役割を解明。基底膜の構成成分(ヘパラン硫酸)の減少を抑える「白ユリエキス」、産生を促進する「アミノ酸由来成分」に効果を見出し、これら成分のシナジー効果も確認しています。
肌(角層)の奥まで浸透させ、メラニン生成ルートをあらゆる方向から狙い撃ちして防ぐ対応を強化しています。
刺激を受けた毛細血管によるメラニン生成促進を抑制する成分として一薬草(いちやくそう)およびバラ科植物由来エキスのコンプレックス成分を見出しました。
シミ部位での異常な血管新生を抑制する成分としてオトギリ草由来の抽出液を見出しました。
美白の薬剤開発で、もっとも根気のいる作業は、莫大な種類の成分の有効性を検証していくことです。気の遠くなるような時間をかけて、ひとつひとつ人の手で行なってきた、この作業時間を短縮することは、シミ予防研究の進化スピードを速めることになります。
そこで、資生堂は、幾千万もの成分の効果を一度に検証できる「ハイスループットスクリーニングシステム(HTS)」を導入しました。このことで、3年かけていた作業がなんと1日に!
今後、劇的な進化を遂げた新製品が、続々とお客さまに届けられることになります。
どうぞご期待ください。
かつて「シミ予防研究」とは、シャーレの中で培養したメラニンの研究を意味していました。しかし、皮ふから切り離された培養細胞では、「なぜシミができる肌ではメラニンがつくられ続けているのか?」「シミができる肌に生じている現象は何なのか?」といったシミのある肌とシミのない肌の本質的な違いは見出すことができませんでした。
私たちは、シャーレの中では見ることができない真実を求めて、新たな研究の道を探し続けました。そのひとつがガン細胞の研究など、医薬品開発の現場で使用されてきた「遺伝子解析」というテクノロジーです。
約20,000個にも及ぶ遺伝子を解析した結果、シミができる肌で変化している遺伝子を発見。シミができる肌特有のダメージ状態を知ることができました。
また、皮ふを切り取らず肌内部の組織を分析できるシステムも導入。
そこでは、まさに今、シミができる肌で起きている現象を見ることができます。
血管観察までも
可能にする先端テクノロジー
シミ(日光性色素斑)をターゲットに本技術を用いて評価した結果、シミのある部位はシミのない部位と比較し、毛細血管のネットワークが異常に発達していることを見出しました。(図3)
細胞や組織レベルの研究に加えて、実際の人の肌内部の血管を可視化する革新的な先端技術により、これまで以上に高い効果を実感いただける製品開発を実現いたします。
皮膚組織を透明化する技術を応用し、シミ部位における毛細血管の状態を精細な3D画像にて可視化することに成功しました。これは、慢性的に紫外線にあたることによって発生するシミ(日光性色素斑)の部分の真皮上層では異常な毛細血管のネットワークが存在するという、2017年9月に資生堂が発表した新知見を裏付けるものです。
この研究により、シミ部位の血管は近傍の正常部位に比べ、不規則な配向を示していること、また血管の分岐が非常に多いことを見出しました(図、動画)。また、マクロファージ※についても同時に解析したところ、分岐の多い血管周辺にはマクロファージが多数集まってきていることを見出しました。つまり、シミ部位の血管構造の異常と炎症との関連を示すことに成功しました。