新たな発見

美容医療で改善しにくいシミとその原因に着目

資生堂はシミを消すプロセスで用いられるレーザー治療に着想を得て研究を進めました。
レーザー治療はその高い効果を実感される方が多くいますが、「時間が経ってシミが戻ってきた」という声も聞かれます。

美容医療におけるシミレーザー治療は、表皮のメラニンをレーザーにより破壊し、ターンオーバーに伴って排出させることで、色素沈着の改善を実現します。

レーザー治療は高い有効性が認められている一方で、その治療効果はシミごとに大きく異なることも知られています。
資生堂ではこれまでに、シミ部位の真皮上層において異常な毛細血管ネットワークが存在していることを見出してきたことから、シミ部位の血管はこのシミ改善と何か関係があるのではないかと考えました。
そこで、レーザー治療を用いて表皮のメラニンを除去した際の肌状態の観察を行いました。

シミ部位の血管密度が色素沈着の改善に影響することを発見

研究の結果、血管密度が高いシミほど、
色素沈着が改善しにくいということが分かりました。(図1,2)

この結果は、シミ部位の肌の奥に根付く血管が、シミの改善・再発に影響を及ぼしていることを示唆しており、
シミのケアのためには血管ケアが非常に重要であることを示しています。 

新対応
資生堂はシミ部位での異常な血管新生を促す刺激因子を抑える成分としてオトギリ草由来の抽出液を見出しました。

血管観察までも
可能にする先端テクノロジー

肌を切らずに毛細血管を可視化することに成功

シミ(日光性色素斑)をターゲットに本技術を用いて評価した結果、シミのある部位はシミのない部位と比較し、毛細血管のネットワークが異常に発達していることを見出しました。(図3)
細胞や組織レベルの研究に加えて、実際の人の肌内部の血管を可視化する革新的な先端技術により、これまで以上に高い効果を実感いただける製品開発を実現いたします。

シミの肌内部における血管構造異常の3D可視化に成功

皮膚組織を透明化する技術を応用し、シミ部位における毛細血管の状態を精細な3D画像にて可視化することに成功しました。これは、慢性的に紫外線にあたることによって発生するシミ(日光性色素斑)の部分の真皮上層では異常な毛細血管のネットワークが存在するという、2017年9月に資生堂が発表した新知見を裏付けるものです。
この研究により、シミ部位の血管は近傍の正常部位に比べ、不規則な配向を示していること、また血管の分岐が非常に多いことを見出しました(図、動画)。また、マクロファージ※についても同時に解析したところ、分岐の多い血管周辺にはマクロファージが多数集まってきていることを見出しました。つまり、シミ部位の血管構造の異常と炎症との関連を示すことに成功しました。

シミのない部位

シミのある部位

  • 血管
  • マクロファージ
  • マクロファージ:生体内に侵入した細菌などの異物を捕らえて細胞内で消化するとともに,それらの異物に抵抗するための免疫情報をリンパ球に伝える役割をもつ細胞。外傷や炎症の際には活発になることが知られている。

シミ予防研究の進化

資生堂はシミができる肌特有の状態を徹底研究することで、
これまでの常識を覆す新たな事実を、つぎつぎと発見してきました。
ここではこれまで資生堂が解明してきた 「シミができる」「シミが消えない」要因である
シミ部位特有の肌エラーについて紹介します

シミは100人100様
ひとりの顔の中でも
様々なシミがある

シミというと肌の色が部分的に
濃いところと考えがちですが、
部位・大きさ・濃さ・色合い・輪郭の様子など様々なタイプがあり、
シミは100人100様です。

また、小さいシミ・濃いシミ・
輪郭がはっきりしたシミ・
ぼやっとしたシミ・茶色っぽいシミ・赤みを帯びたシミなど、
ひとりの顔の中にもいろいろなシミがあります。

シミの状態は年代により異なっている

資生堂では、研究のために長年に渡り、幅広く多くの方のシミ状態を観察・解析を続けています。資生堂がシミ解析のために独自開発した機器を用いてシミ部位を詳細に個別解析することで判明した結果から、以下のような年代別特徴を見出しました。
まだ早い・もう遅いと思うことなく、シミ予防ケアを続けることが大切です。

各年代で特徴的なシミの状態

資生堂が開発してきた成分・処方の進化

シミに対するお客さまの意識をもとに、
シミができるメカニズムを徹底的に研究。
そこで得た、新たな知見に着目し、
美白有効成分を開発することが、
私たちの基本方針。
これまでにないアプローチで、
お客さまの意識に応えるために。
資生堂は美白有効成分をつぎつぎと
世に送り出してきました。

2005

美白有効成分m-トラネキサム酸開発

シミができる肌の特有な状態に着目し、メラノサイトの活性化を効果的に抑える新しい美白有効成分m-トラネキサム酸を開発。医薬部外品の美白有効成分として厚生労働省から認可されました。

  • トラネキサム酸
2007

美白有効成分4MSK 開発

絡みついたように蓄積するメラニンに着目。メラニン色素の過剰生成を効果的に抑制する4MSKを開発。
資生堂5番目の医薬部外品の美白有効成分として厚生労働省に認可されました。

  • 4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)
2011

抗メラノ機能体 完成

シミができる肌の黒化スパイラル状態に着目して開発。
メラニンをつくれと命令する細胞の働きと、加速するメラニンの過剰生成を抑えるために、
資生堂を代表する2大美白有効成分4MSKとm-トラネキサム酸をひとつに。

2013

アンダーシールダーを開発

「アンダーメラニンルート」によるシミの発生を抑制するのが、表皮と真皮の間で壁の役割を果たす基底膜です。「白ユリエキス」には、その基底膜を構成する成分、ヘパラン硫酸の減少を抑える効果があり、
「アミノ酸由来成分」には産生を促進させる効果があります。
アンダーシールダーとはこの2つの成分を複合したもの。お互いのシナジー効果も確認されています。

2016

3Dターゲティング処方

より肌(角層)の奥まで浸透させ、メラニンの生成ルートをあらゆる方向から狙い撃ちして防ぐ
「3Dターゲティング処方」を開発しました。

2018

刺激を受けた毛細血管によるメラニン生成促進を抑制する成分として一薬草(いちやくそう)およびバラ科植物由来エキスのコンプレックス成分を見出しました。

2021

シミ部位での異常な血管新生を抑制する成分としてオトギリ草由来の抽出液を見出しました。

これまで資生堂は
5つもの
『美白有効成分
を薬事開発しました。

  • アルブチン
  • 安定型
    ビタミンC誘導体
  • ビタミンCエチル
  • m-トラネキサム酸
  • 4MSK
    • ※4-メトキシサリチル酸カリウム塩
  • 『美白有効成分』とは厚生労働省により「メラニンの生成を抑えシミ・ソバカスを防ぐ」あるいはこれに類似した効能を表示すること、が認められた成分です。安全性と有効性の観点から、配合する量など厳密に決められています。

テクノロジー

1日で3年分!?シミ予防研究が急速に進化。

美白の薬剤開発で、もっとも根気のいる作業は、莫大な種類の成分の有効性を検証していくことです。気の遠くなるような時間をかけて、ひとつひとつ人の手で行なってきた、この作業時間を短縮することは、シミ予防研究の進化スピードを速めることになります。

そこで、資生堂は、幾千万もの成分の効果を一度に検証できる「ハイスループットスクリーニングシステム(HTS)」を導入しました。このことで、3年かけていた作業がなんと1日に!
今後、劇的な進化を遂げた新製品が、続々とお客さまに届けられることになります。
どうぞご期待ください。

30,000個の遺伝子から、シミの生きた情報を読み取る。

かつて「シミ予防研究」とは、シャーレの中で培養したメラニンの研究を意味していました。しかし、皮ふから切り離された培養細胞では、「なぜシミができる肌ではメラニンがつくられ続けているのか?」「シミができる肌に生じている現象は何なのか?」といったシミのある肌とシミのない肌の本質的な違いは見出すことができませんでした。

私たちは、シャーレの中では見ることができない真実を求めて、新たな研究の道を探し続けました。そのひとつがガン細胞の研究など、医薬品開発の現場で使用されてきた「遺伝子解析」というテクノロジーです。 約30,000個にも及ぶ遺伝子を解析した結果、シミができる肌で変化している遺伝子を発見。シミができる肌特有のダメージ状態を知ることができました。
また、皮ふを切り取らず肌内部の組織を分析できるシステムも導入。 そこでは、まさに今、シミができる肌で起きている現象を見ることができます。

未来の研究に向けて

100年を超える資生堂のシミ予防研究
~その成果と未来に向けて~

みらい開発研究所 シーズ開発センター長 佐藤 潔

資生堂が研究開発を始めて100年余、特にシミ研究に関しては資生堂が最も得意とする研究分野です。長年に渡りシミの悩みを解決したいという熱い想いで、シミの謎を解明してきました。
シミが出来る原因、改善し消えていくメカニズム、肌色変化に関するさまざまな謎を複合的に究明することに加え、生きたヒトの皮ふでシミの深部を観察する最先端技術も進化させ、新たな事実を発見し続けています。

これらの発見を元に、資生堂が業界をリードしてきたシミに対する有効成分開発も新しいステージに飛躍いたします。今後もご期待ください。
また、現在は、研究成果を主に化粧品分野で活用していますが、さらに幅広い分野での応用も視野に、お客さまの求める美しさを実現するソリューション研究開発も進めていきます。

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