シミができる原因の究明から、
シミが消えるメカニズムの
研究にまで進化。

「シミ予防研究の道は、
暗闇から光を
見いだすようなもの」

資生堂は100年を超える肌研究と
先進のシミ予防研究から、
メラニンやシミが発生する肌内部環境への
多角的なアプローチで、
これまでの常識を覆す新たなシミ形成要因を
次々と解明してきました。

20年前、シミ予防研究はメラニン生成へのアプローチが主となっていて、シミにフォーカスした研究の重要性があまり認識されていない中、資生堂は時代に先駆けてシミの要因を探る研究に注力。
「まるで先のわからない真っ暗なななかで道を拓いてきた」資生堂のシミ予防研究。
それは、複雑なシミの要因、個々のシミは要因も状態も異なると考え、表皮・真皮・血管など、皮膚のあらゆる角度から研究を重ね、今日も進化を続けている。

株式会社資生堂 みらい開発研究所 柴田 貴子

株式会社資生堂
みらい開発研究所 柴田 貴子

シミ・そばかすの原因であるメラニンの制御に関わる薬剤の開発や、
皮膚科学に基づくシミ形成メカニズム研究に従事。
入社以来20年以上にわたり、資生堂のシミ予防研究を牽引

シミの原因は、
1つではない

さまざまな要因が絡み合い、
メラニンやシミが発生する肌内部環境への表皮・真皮・血管 全方位のアプローチ

シミの原因のイメージ図

シミ予防研究の歩み

トピックス 1 : 世界初、光学リアルタイム解析法FLIMの応用で、
シミがシミを呼ぶ
特有の細胞老化現象を解明

資生堂は、シミ研究の常識を覆すような革新的なアプローチで、シミの悪化メカニズムを解明しました。
生きたヒトの皮ふをリアルタイムで観察することができるFLIM※1を用いて、シミ部位の細胞代謝を評価する新手法を世界で初めて※2確立し、これまで観察が難しかった、シミがどのように悪化していくかという皮ふ細胞でおこっている活動状態の変化を時間軸で捉えることに成功しました。
本手法を活用することで、シミ部位で起こる細胞老化現象がシミの悪化根源であることを解明し、シミの悪化に対応する独自のトリプル薬剤を開発しました。
従来のシミ研究の常識を覆すような、シミの悪化根源へ対応する新たなソリューションを実現します。
この画期的な研究成果は、化粧品技術に関する世界最大の権威ある研究発表会で最優秀賞を受賞し、次世代の化粧品技術として高く評価されました。

資生堂みらい開発研究所 
井上大悟研究員(博士)

【IFSCC受賞知見】です。

・IFSCC:国際化粧品技術者会連盟
(The International Federation of Cosmetic Chemists)

・IFSCCが主催する学術大会は化粧品技術に関する
世界最大の権威ある研究発表会である。

※1 FLIMとは:Fluorescence Lifetime Imaging Microscopy。蛍光寿命イメージング顕微鏡法。蛍光分子の固有の性質である蛍光寿命を利用して画像化する観察手法
※2 FLIMによる特定の電子伝達体から表皮のシミ部位の細胞代謝を評価する方法が世界初である(クラリベイト社調べ 2024年9月)

FLIMを応用したシミ部位の細胞代謝を評価する新手法を確立し、
シミ特有の細胞老化現象を解明

FLIMを用いた解析によって、生きたヒトの皮ふのシミ部位では、非シミ部位に比べて表皮細胞内のミトコンドリア代謝が低下していることが分かりました(図1)。また、過剰なメラニン蓄積が、このミトコンドリア代謝の低下を起こすことを確認し(図2)、さらに細胞老化も引き起こすことを明らかにしました(図3)。
シミ部位では、メラニンの蓄積によってミトコンドリア代謝が低下し、細胞老化が生じることでシミが悪化すると考えられ、いわば、“シミがシミを呼ぶ”悪化根源があることを明らかにしました。

  • 図1:シミ部位では、非シミ部位に比べて
    表皮細胞内のミトコンドリア代謝が低下

  • 図2:過剰なメラニン蓄積は、
    ミトコンドリア代謝を低下させる

  • 図3:過剰なメラニン蓄積は細胞老化を引き起こす

資生堂独自のトリプル薬剤が
シミ特有の細胞老化現象を改善

ヒトの皮ふで6週間の連用塗布を行った結果、資生堂独自のトリプル薬剤を配合した基剤において、シミにおけるミトコンドリア代謝が高まることを見出しました(図4)。
細胞老化の主要な要因のひとつであるミトコンドリア活性低下を抑えるとともに、老化した細胞から分泌され、さらに細胞老化を悪化させるSASP因子※3のひとつであるGROα※4を抑制することが分かりました(図5)。

※3 細胞老化随伴分泌現象(senescence-associated secretory phenotype:SASP) と呼ばれる細胞老化した細胞が分泌する炎症因子等を含む様々な因子の総称
※4 表皮角化細胞(ケラチノサイト)から分泌されるSASPのひとつ。メラノサイトがメラノーマへ転換する過程にもかかわることが知られている

  • 図4:トリプル薬剤配合基剤の連用塗布にて、
    シミのミトコンドリア代謝が高まる

  • 図5:トリプル薬剤配合基剤は、GROαを抑制した

“シミがシミを呼ぶ”悪化根源

紫外線を浴びなくても老化した表皮細胞から炎症因子が分泌され、メラノサイトを活性化しています。その結果、基底層表皮細胞は過剰なメラニンを受け取り、メラニンが蓄積される環境へと促進させます。

紫外線だけではない、
シミの原因


トピックス 2 : 美容医療で改善しにくいシミとその原因に着目

資生堂はシミを消すプロセスで用いられるレーザー治療に着想を得て研究を進めました。
レーザー治療はその高い効果を実感される方が多くいますが、「時間が経ってシミが戻ってきた」という声も聞かれます。
美容医療におけるシミレーザー治療は、表皮のメラニンをレーザーにより破壊し、ターンオーバーに伴って排出させることで、色素沈着の改善を実現します。
レーザー治療は高い有効性が認められている一方で、その治療効果はシミごとに大きく異なることも知られています。

シミ部位の真皮上層において異常な毛細血管ネットワークが存在

資生堂ではこれまでに、シミ部位の真皮上層において異常な毛細血管ネットワークが存在していることを見出してきたことから、シミ部位の血管はこのシミ改善と何か関係があるのではないかと考えました。
そこで、レーザー治療を用いて表皮のメラニンを除去した際の肌状態の観察を行いました。研究の結果、血管密度が高いシミほど、色素沈着が改善しにくいということも分かりました。(図1,2)
この結果は、シミ部位の肌の奥に根付く血管が、シミの改善・再発に影響を及ぼしていることを示唆しており、シミのケアのためには血管ケアも非常に重要であることを示しています。

  • 図1: シミ部位の血管密度と色素沈着改善の関係

  • 図2: 血管が多いシミほど色素沈着は改善しにくい

資生堂はシミ部位での異常な血管新生を促す刺激因子を抑える成分としてオトギリ草由来の抽出液を見出しています。

積み重ねた研究知見年表

2005

シミ部位は、特有のダメージ状態「慢性微弱炎症状態」で、
「シミ活性因子群」が発生し、活性化したメラノサイトが増加し、
過剰なメラニン生成が続いている。

  • 軽い炎症が起きていることでメラニンがつくり
    続けられている状態のこと
2007

シミ部位は、特有のダメージ状態「慢性角化エラー状態」で、
不要なメラニンの排出が滞っている。

  • 角層になるまでの表皮細胞の働きが乱れ続けること
2009

シミ部位は、特有のダメージ状態「細胞分裂低下状態」になり、
基底層の表皮細胞にメラニンが根付いている。

2011

シミ部位は、一部の基底層表皮細胞が過剰な分裂を繰り返すことで、
刺激細胞が次々と増殖し、メラニンの生成を加速させる
「黒化スパイラル状態」となっている。

2013

シミのある肌は、真皮からシミ増殖因子が表皮に過剰に到達し、
メラノサイトを活性化させ、メラニンがつくり続けられる
「アンダーメラニンルート」が存在している。

2018

シミ部位は、毛細血管が異常に発達し、
メラノサイトへの刺激因子が放出され、メラニン生成を活性化している。

2021

シミ部位は、毛細血管の血管密度が高く
(異常な毛細血管新生が促進)、
炎症因子が誘因されている。

2023

シミ部位は、細胞接着分子E-カドヘリンの減少により、
表皮細胞の“接着異常”により肌環境が乱れていることで、炎症が広がりやすく過剰にメラニン生成を促進する環境へ。その結果、シミの発生・定着に関与する。

2025

シミ部位の細胞は、メラニンの蓄積によってミトコンドリア代謝が
低下し、炎症因子が分泌され、シミ部位ならではの細胞老化が発生。
その結果、シミが悪化する、“シミがシミを呼ぶ”シミ悪化の根源的メカニズムが存在する。

資生堂が開発してきた
成分・処方の進化

シミに対するお客さまの意識をもとに、
シミができるメカニズムを徹底的に研究。
そこで得た、新たな知見に着目し、
美白有効成分を開発することが、
私たちの基本方針。
これまでにないアプローチで、
お客さまの意識に応えるために。
資生堂は美白有効成分をつぎつぎと
世に送り出してきました。

成分年表

2005

美白有効成分m-トラネキサム酸開発

シミができる肌の特有な状態に着目し、メラノサイトの活性化を効果的に抑える新しい美白有効成分m-トラネキサム酸を開発。医薬部外品の美白有効成分として厚生労働省から認可されました。

  • トラネキサム酸
2007

美白有効成分4MSK 開発

絡みついたように蓄積するメラニンに着目。メラニン色素の過剰生成を効果的に抑制する4MSKを開発。
資生堂5番目の医薬部外品の美白有効成分として厚生労働省に認可されました。

  • 4MSK(4-メトキシサリチル酸カリウム塩)
2009

基底層表皮細胞の分裂を正常化させる成分としてハス種子乳酸菌発酵液を見いだしました。

2011

抗メラノ機能体 完成

シミができる肌の黒化スパイラル状態に着目して開発。
メラニンをつくれと命令する細胞の働きと、加速するメラニンの過剰生成を抑えるために、
資生堂を代表する2大美白有効成分4MSKとm-トラネキサム酸をひとつに。

2013

「アンダーメラニンルート」に対応

シミ悪化を引き起こす真皮からのシミ増殖因子の流入経路「アンダーメラニンルート」を抑制。また、表皮と真皮の間で働く基底膜の役割を解明。基底膜の構成成分(ヘパラン硫酸)の減少を抑える「白ユリエキス」、産生を促進する「アミノ酸由来成分」に効果を見出し、これら成分のシナジー効果も確認しています。

2016

浸透処方開発

肌(角層)の奥まで浸透させ、メラニン生成ルートをあらゆる方向から狙い撃ちして防ぐ対応を強化しています。

2018

刺激を受けた毛細血管によるメラニン生成促進を抑制する成分として一薬草(いちやくそう)およびバラ科植物由来エキスのコンプレックス成分を見出しました。

2021

シミ部位での異常な血管新生を抑制する成分としてオトギリ草由来の抽出液を見出しました。

2023
  • ・減少した細胞接着分子E-カドヘリンを正常化するバラ科植物由来のエキスを見出しました。
  • ・分子間相互作用を制御することで物質の特性を変化させる技術を確立し、
    薬剤の浸透量を高める新規「導入促進成分」を開発しました。
2025

トリプル薬剤開発

“シミがシミを呼ぶ”現象につながる、シミ特有の細胞老化現象を抑制する成分として、資生堂独自のトリプル薬剤を開発。

これまで資生堂は
5つもの
『美白有効成分
を薬事開発しました。

資生堂は常に、さらなるチャレンジを続け、
美白有効成分の開発を進めてきました。
国内には約20種類もの美白有効成分がありますが、
その約1/4となる5種の美白有効成分の
薬事開発をしてきました。

  • アルブチン
  • 安定型
    ビタミンC誘導体
  • ビタミンCエチル
  • m-トラネキサム酸
    • ※トラネキサム酸
  • 4MSK
    • ※4-メトキシサリチル酸カリウム塩
  • 『美白有効成分』とは厚生労働省により「メラニンの生成を抑えシミ・ソバカスを防ぐ」あるいはこれに類似した効能を表示すること、が認められた成分です。安全性と有効性の観点から、配合する量など厳密に決められています。

テクノロジー

シミ研究の常識を覆すような革新的なアプローチ
生きた細胞のリアルタイム シミ解析

これまでメラニンやシミが発生する肌内部環境への多角的なアプローチで様々なシミ形成要因を解明してきました。 一方で、こうしたシミ特有の要因に結びつく肌内部のダイナミックな変化を、実際の皮ふと同様の環境において細胞レベルでとらえる必要があることがわかってきました。 しかしながら、生きたシミ内部を細胞レベルで、かつリアルタイムで解析することは困難でした。シミの根本解決のためには、皮ふ細胞でおこっている活動状態の時間的変化、すなわち細胞内の代謝変化としてとらえる必要がありました。 今回、FLIMを用いて生きた皮ふを観察する新手法を確立し、世界で初めてシミにおけるミトコンドリア代謝を観察し、その代謝状態を検証することに挑戦しました。 光学リアルタイム解析法FLIMとは、生体内の細胞自らが発する蛍光寿命(光る時間長)を測定し、生きたまま細胞の状態を画像化できる技術です。細胞のエネルギー※5産生状態などの観察が可能となり、肌を傷つけることなく、シミ内部のエネルギー産生状態を可視化できます。

※5 細胞のエネルギー:細胞内のミトコンドリア代謝におけるエネルギー産生

1日で3年分!?シミ予防研究が急速に進化。

美白の薬剤開発で、もっとも根気のいる作業は、莫大な種類の成分の有効性を検証していくことです。気の遠くなるような時間をかけて、ひとつひとつ人の手で行なってきた、この作業時間を短縮することは、シミ予防研究の進化スピードを速めることになります。

そこで、資生堂は、幾千万もの成分の効果を一度に検証できる「ハイスループットスクリーニングシステム(HTS)」を導入しました。このことで、3年かけていた作業がなんと1日に!
今後、劇的な進化を遂げた新製品が、続々とお客さまに届けられることになります。
どうぞご期待ください。

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