
孔雀の王女は、美しい漆黒の羽を持っています。
澄んだ空気に街がきらめく季節、
城から外をながめながらつぶやきました。
「ふつうの黒じゃ、ものたりないの。」

そんな時には甘さをひとさじ。
執事がティーカップに入れたのは特別なスパイス。
黒々とした液体が、ロゼブラックに
みるみる変化したのです。
おそるおそる王女がひとくち飲んでみると、
みるみる全方位に伸びていきます。
そして出来上がったのは、とろけるような甘い目線。

甘い目線を手に入れた王女が舞踏会へくりだすと、
みんながうっとりと彼女のことを見つめます。
それはすべてをからめとる、
甘い甘い大きなつばさ。























