連載褐色脂肪細胞を専門家が解説—理学博士が褐色脂肪細胞の可能性を説く—

第3回

褐色脂肪細胞を
効果的に増やす

アイテムは?


余分な脂肪を燃やしてくれる褐色脂肪細胞は、成長とともに減ってしまいますが、どうしたら増やすことができるのでしょうか。代表的なものに寒冷刺激を与える、つまり寒さを利用する方法があります。アメリカでは有名メディアが特集したり、「室温を1度下げて褐色脂肪細胞を活性化させましょう」などと奨励したりしています。実際には、かなり寒いなというくらいの刺激でないと効かないので、室温を1度下げるだけではなかなか難しいところです。はっきりした効果を得るには、薄着(例えばTシャツと短パン)で20度以下の部屋にいるといった程度の寒冷刺激が必要で、1~2時間いれば明らかに活性化されますし、数週間続けると褐色脂肪細胞が増えてそれに応じて体脂肪も減ります。でも、日常生活の中で寒冷刺激の原理を使って褐色脂肪細胞を活性化させる、すなわちダイエットに結び付けるのはなかなか難しいのも事実です。

お茶/唐辛子/メントール/ペパーミント

では、寒冷刺激以外で褐色脂肪細胞を増やす方法とは、どんなものが考えられるのでしょうか?寒さを感じる温度受容器は、他の様々な刺激、特にいろいろな植物食品成分によっても活性化できます。分かりやすい例は、メントールを塗ったらヒヤッとする感覚で、これは皮膚の寒さ受容器が刺激されたからです。このように、気温などの温度とは別に、化学物質によって「寒い」と感じるのと同じような疑似体験をすることが可能です。ですから、メントールやペパーミントなどは、寒冷刺激の代用として有望でしょう。
それ以外にも、温度の受容体を刺激する物質は色々あり、その代表が唐辛子などに含まれているカプサイシンです。唐辛子を食べるとカーッとするのは熱放散の仕組みも関係しているのですが、それに加えて褐色脂肪細胞を活性化しているのです。実際に、カプサイシンを摂り続けると褐色脂肪細胞が活性化され続けて増えていき、体脂肪は減るということが証明されています。それ以外にも植物ポリフェノール、例えばお茶の中に入っている茶カテキンやチャフロサイドは、消化管での温度受容体の仲間を刺激してその情報が脳に伝わり交感神経を活性化して褐色脂肪を増やしたり活性化させたりします。

斉藤昌之先生

TEAM脳腸相関

北海道大学名誉教授
(理学博士)

斉藤昌之先生

MASAYUKI SAITO

1970年大阪大学大学院理学研究科博士課程修了後、愛媛大学医学部を経て1989年北海道大学獣医学部教授、2006年天使大学看護栄養学部教授を歴任。2006年より現職。研究テーマはエネルギー代謝と肥満に関する栄養代謝学、特に褐色脂肪組織の役割に関する研究で2001年日本栄養食糧学会賞、2008年日本肥満学会賞などを受賞。