“金沢箔”の万年筆ができるまで

Part 2職人技

厚さ約0.1ミクロンの金箔。薄く打ち延ばされ、我々の手もとに届くまでには、卓越した技術を持つ、幾人もの職人たちが携わっている。伝統を受け継ぐその技法を、見せていただこう。

職人の思いこそが、金箔製造を支える

加賀百万石の時代から続く金箔の文化の要は、卓越した職人の技術。機械化された時代にあってなお、『箔一』では、手作業を大切にしているという。各工程を担当する職人にうかがうと、「職人が打った金箔は、1枚1枚表情が違う」「わたしたちがやっているのは、金箔を知り尽くしていないとできない仕事」。自らの仕事への自信を感じさせる話を聞かせてくれた。また、「金箔の品を使うことで、自国への誇りと喜びを感じて欲しい」とも。見えない場所で職人たちの情熱と技術に支えられているからこそ、黄金色の輝きはより一層増して感じられるのかもしれない。

■箔打ち ―金を薄く延ばす―
まずは、硬さと色合いを調節するため、金に微量の銀・銅を加えて薄い板状に。それを専用の和紙の間に挟み、叩いて延ばしていく。3〜4人の職人が携わり、幾度もの箔打ちを行ったのち、約0.1ミクロンの金箔に仕上がる。均一な薄さに仕上げるのが、職人の腕の見せどころだ。
また、このときに使用する箔打ち紙の良し悪しも、金箔の質を左右する。打っても破けない丈夫さと、薄さを兼ね備えた和紙であることが重要だ。

箔打ち1

箔打ち2

■箔移し ―正方形に切り取る―
打ち終わった金箔を、規定の大きさに切りそろえる。このとき竹製の道具を使うのは、竹が静電気を起こさないため。静電気で破けてしまうほど繊細な金箔を、シワなく真四角に切り取るのは、箔移し専門の職人が誇る技だ。職人によれば、やさしく息を吹きかけ、シワを延ばしながら行うのがコツとか。

箔移し1

箔移し2

■箔加飾 ―金箔で装飾する―
金箔を使った、装飾の工程。金箔を吹き付ける・貼り付ける・ちらすなど、さまざまな技法を用いて行われる。
ちなみに、今回プレゼントされる万年筆は、絵柄の部分に金箔を貼り付けて仕上げられている。小さな局面に、デリケートな金箔をカケ・シワなく貼ることができるのは、長年培った経験と技術があってこそだ。

箔加飾1

箔加飾2

■検品 ―完璧な美のために―
装飾を終えた製品は、ひとつひとつ念入りに検品され、送り出される。カケやかすれのない絵柄のために、必須の工程だ。
万年筆用のような実用品の場合、耐久性と絵柄の美しさを両立させるのは、至難の技とか。職人たちの豊富な知識と飽くなき探究心が、優美な金箔装飾品を生み出しているといえよう。

検品1

検品2

■完成 ―愛用者の手もとへ―
今回の万年筆の絵柄は、日本情緒を感じさせる5種類。『箔一』によれば、インクを使った印刷とは違う“本物の輝き”が自慢だという。“美の頂点”を極める金と、日本が誇る“伝統の職人技”。それらを、身近に感じられる逸品だ。

プレゼント用万年筆

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