資生堂コラーゲン研究

研究員インタビュー

資生堂の入山俊介研究員は、これまで解明されていなかった肌の構造を調べたり、肌に効きそうな効果のある成分を見つけていく「基礎研究」を行っています。

海外の大学とも共同研究を行い、パートナーとして最新の情報を常にアップデートしている入山研究員に、コラーゲンについて分かりやすく説明してもらい、自身のこれまでの研究について聞きました。
資生堂 資生堂GIC
(Global Innovation Center)
皮膚科学研究グループ
入山 俊介
資生堂 資生堂GIC(Global Innovation Center) 皮膚科学研究グループ 入山 俊介
  • 2004年
    資生堂入社 ライフサイエンス研究センター皮膚科学研究所配属。
    皮膚老化の基礎研究に従事
  • 2011年
    米国コロラド大学デンバー校へ留学。
    皮膚の基礎情報を研究
  • 2012年
    薬剤開発研究Gへ異動。
    みらい開発研究所
    シーズ開発センター 在籍中
    農学博士

コラーゲン研究最前線 #1

コラーゲンに関する

正しい情報を発信したい

コラーゲンは身体のタンパク質の3割を占めている、人間にとって関わりの深い存在ですので、コラーゲンの発見自体は歴史的にも早かったのですが、いまだ、29種類あると言われているコラーゲンの全機能が分かっているわけではなく、これから新しく解明されていくことも増えてくると思います。
一方、世の中に伝わっている情報も、コラーゲンは肌や身体に良いというところまで伝えるにとどまり、正しい情報が伝わりきれていないと感じています。今後は、研究者だからこそ伝えられる、科学的な知識を元にした正確な情報を発信していきたいと思っています。
引用元:資生堂グループサイト「PICK UP TECHNOLOGY」
タンパク質はつくっては壊れることを繰り返して常に良いタンパク質を維持しているのですが、年齢を重ねるとタンパク質はつくられにくくなります。また、コラーゲンが糖化などの影響を受けると、分解されにくくなります。
もともとコラーゲン自体は白いのですが、糖化などの修飾を受けたコラーゲンは黄色に変わることで、それが肌の色味に関わってくるということが明らかになっています。また最近の研究成果では、コラーゲンの密度(量)が低いと、肌が暗く見えることが明らかになりました。 歳をとると肌色が悪くなることの原因のひとつは、コラーゲン自体の色や量によるものなのです。
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コラーゲン研究最前線 #2

外的ストレスから

肌を守ることの重要性

コラーゲンを分解する要因はたくさんあるのですが、その中には紫外線や乾燥など、外的刺激も多くあります。古いコラーゲンが分解、破壊された後、本来通り新しいコラーゲンがまた生まれるところ、新陳代謝が悪くなると、古いコラーゲンが溜まったままになってしまいます。そこに新しいコラーゲンが生まれていき、悪いコラーゲンと共存していくと、結果的に肌にゴミが溜まったような形になります。ゴミが溜まっていくと、肌で一枚の板状になっているべきコラーゲンが層状に重なってしまいます。
ふだん洋服を着ていて紫外線や乾燥などから守られている二の腕の内側とかお腹の皮膚は、顔と比べるときれいでコラーゲンの状態も良好です。歳をとることによる自然老化と、紫外線など外的ストレスによる老化を比べると、肌が受ける影響はとても違っていて、自然老化だけでは実はそれほどダメージは受けないんです。
ですから、紫外線や乾燥などの外的ストレスから肌を守ったり、受けてしまった外的ストレスを化粧品によってケアしていくことはとても大切ですし、化粧品の役割でもあると思っています。
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コラーゲン研究最前線 #3

自分の研究した技術が

お客さまの役に立つことが嬉しい

例えば、けがをして肌に傷ができると出血しますが、それがやがてかさぶたになって修復が始まり、元の状態に戻っていきます。でもそのプロセスが上手くいかないと傷跡になって残ることもあります。
身近なところでは、昔の絆創膏と違って今はジェル状の絆創膏で傷が乾かないようにして修復を早めるようになりましたが、これは肌が元に戻る仕組みがより詳しく分かってきたことによって、新しい技術が開発されたことによるものです。こういった修復のメカニズムは化粧品やサプリメントにも応用できるのではないかと思います。
大学を卒業した周りの人間は製薬会社に就職する人が多かったのですが、わたしは、化粧品会社を選びました。というのは、製薬会社では、研究したものが製品になるまで10年以上、長い時は20年かかるところ、化粧品会社の場合は、5~10年以内に自分の研究した技術が世の中に出て、実際にお客さまの役に立つことができる、と考えたからです。
現在は肌の幹細胞の研究を行っており、コラーゲンとの関わりにおいて幹細胞の情報を発信することも増えていますが、幹細胞という言葉の先進性だけでなく、正しい情報をお客さまに発信していきたいと思っています。
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