皮ふ科医に聞く ミニ知識
乾燥やシミ・そばかす、ニキビあと… 肌に関するお悩みはさまざま。気になる紫外線や、アンチエイジング対策など、ふだんの生活でできるスキンケアや肌トラブルへの心がまえについて、第一線でご活躍中の皮ふ科の先生にお聞きしました。

妊娠中・出産後のスキンケア

ホルモンバランスの変化による肌トラブル

妊娠すると新陳代謝が活発になり、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが盛んに分泌されるため、肌のハリやツヤがよくなります。しかし一方で、このホルモンバランスの変化が、さまざまな肌トラブルの原因となります。エストロゲンは、日光に対する過敏性を増加させると考えられています。また、プロゲステロンはメラノサイトを刺激し、メラニン分泌が促されてシミそばかす色素沈着が生じやすくなるとされています。さらに、皮脂の分泌も促進されるため、ニキビができやすくなると考えられています。
妊娠して分泌が急増したエストロゲンやプロゲステロンは、出産を終えると、今度は急激に減少します。こうしたホルモン分泌の急激な変化や、慣れない育児による疲労や睡眠不足などにより、肌トラブルが起こりやすい状態が続きますが、次第に改善の方向へ向かいます。

妊娠中・出産後のスキンケアのコツ

妊娠中・出産後は、ホルモンバランスの変化により肌のバリア機能が低下して乾燥しやすくなったり、日光に過敏になったり、これまで使っていた化粧品が合わなくなったりします。出産後はとくに、育児で忙しくなり、自分のスキンケアに時間がかけられないとは思いますが、刺激の少ないスキンケア製品を選び、保湿紫外線対策はしっかりおこないましょう。オムツ替えや授乳の度に頻繁に手を洗うことで、手荒れに悩まれる方もみられます。手の保湿にも十分注意しましょう。
妊娠の経過に従い、腹部から全身にかけてかゆみを感じる場合があります。また、腋、乳房の下、股など皮膚が密着して摩擦しやすい部分に湿疹が生じる場合もあります。いずれも、衣類などの物理的な刺激を取り除き、清潔を保ちます。かきむしると、さらにバリア機能が低下して、よりかゆみが強くなるので、かゆみが続くときには皮膚科で処方された軟膏やクリームを塗るようにします。悪い症状が続く場合は皮膚科医に相談してみましょう。
バランスのとれた食事を心掛けること、そして出産後は睡眠を十分にとることが難しいかもしれませんが、赤ちゃんが眠っている間は少しでも一緒に眠るなどして、ストレスを溜めないようにすることも肌トラブルの症状を悪化させないことにつながります。

ベビー用と敏感肌用化粧品の違い

赤ちゃんの肌は、みずみずしく、すべすべしていて理想的な肌に見えますが、大人と比べると皮膚が非常に薄く、皮膚のバリア機能が十分ではないため、トラブルを起こしやすい乾燥状態にあります。ベビー用化粧品は、なにより「安全」であることが重要ですので、敏感肌の方も安心して使用できるようなイメージがありますが、なかには乾燥しやすい赤ちゃんの肌のために、油分の量を多く含んでいるものもあります。これを大人が使用し続けると、ニキビや湿疹などの肌トラブルを引き起こしてしまうことがあります。大人の肌と赤ちゃんの肌では肌質も違いますし、ベビー用化粧品は赤ちゃんに合わせて作られていますので、大人の肌に合わない場合もありますので、気を付けましょう。

教えてくださったのは
妊娠中・出産後のスキンケア|岡山県 赤磐市 赤磐皮膚科形成外科  髙橋祥子 先生

岡山県 赤磐市

赤磐皮膚科形成外科 髙橋祥子 先生

平成22年に開業した皮膚科・形成外科、美容皮膚科のクリニックです。皮膚科一般から皮膚外科手術・美容皮膚科(アンチエイジング)まで行っています。皮膚に関するお悩みなら、何でもお気軽にご相談、ご来院ください。

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