ビューティーブック

BEAUTY BOOK

ホリスティック探偵・ハルミンが行く! 健やかな心身を保つために重要な"ホリスティック"。
イラストレーターの浅生ハルミンさんが
この奥深い世界を
極めるために
資生堂の研究員を訪ねる連載です。

vol.2 心地よく自分の肌に触れよう!

みなさんはストレスを感じたとき、どのように心を鎮めますか?
自分がどんなときに心地よくなるかを知って、心身のバランスを保つセルフケアに役立てるのはいかがでしょう。今回は「自分で自分の肌に触れること」について、町田明子研究員にお聞きしました。そこには、の手でシャンプーや肩もみをしてもらう気持ちよさとはまた別の、自分でも気づかなかった奥深い何かがあるようです。町田さん曰く「肌はセンサー機能を備えています。自分でゆっくり触れると脳の鎮まる場所が反応して、安心を得ることができます」。なんと、肌で得た感覚が脳を経由して心の状態にも影響を与えていたとは!

肌に触れると安心できるのは、なぜ?

肌に触れると安心できるのは、なぜ?

緊張すると、無意識に髪や頬に触れることがあります。そこで何が起きているかというと、自分の脳内をモニターしているんだそうです。つまり、触れる動作と心地よい感覚を脳内で統合して、過去の「守られ、安心していた記憶」を取りに行っているというわけです。その結果、交感神経が鎮まり、外部情報を感じ過ぎなくなって1)、自分は安全な環境にいる、大丈夫と感じます。ならば、常日頃から安心の記憶を蓄えておくとよいかもしれない。目指すはお金持ちならぬ記憶持ち!と思いました。

触れる動作を習慣化!

触れる動作を習慣化!

心地よく触れる動作を毎日の習慣にするのもおすすめです。そうすることで自分なりの快適さを得る感覚が呼び覚まされ、環境が変化しても、いつもの自分の状態に立ち戻ることができます。例えば、友人Tさんはピラティスで、背骨に集中しながら深淵なる身体の内側に意識を向け、ポーズをとると心地良さへと導かれるそうです。素敵だ。私の場合は布団に入るなり「背中ゴロゴロ運動」を行うとなぜか安心して眠れます。
「背中から風邪ひくよ」と子どもの頃に言われ気をつけていたことを、無意識に続けているのかもしれません。

触れるときは優しい力でゆっくりと!

触れるときは優しい力でゆっくりと!

肌感覚は、身体の場所によって感じる度合いが異なるのだそうです。その中でも指先はとても敏感なので2)、ものの情報を素早くキャッチできるんですって。自分の肌に触れるときは、肌表面から1mmいかないくらいの優しい力でゆっくりと3)。スキンケアのとき、ごしごしこすると心拍数が上昇してストレスを感じ、「早く終わらせたい」という記憶に結びいてしまうのだとか…というわけで、肌がえるのは美だけではないんですね。「触れる動作と心は一緒に働きます」という町田さんのことばに私は深く頷くばかりでした。

浅生ハルミン

三重県生まれ。イラストレーター、エッセイスト。
街で出会った猫を観察するエッセイ『私は猫ストーカー』が映画化。
最新刊に、江戸時代からつづく古典的な趣味の達人に会いに行った
イラストルポ『江戸・ザ・マニア』(淡交社)など。

町田明子

資生堂みらい開発研究所
グループマネージャー
化粧療法、触れる心地よさ、内面に働きかける効果
の検証など、脳科学をもとにした「化粧のちから」
に関する研究に従事。学術博士。

町田明子

参考文献

  • 1) Kikuchi Y, Shirato M, Machida A, Inoue T & Noriuchi M. Neuropsychiatry (London) 2018; 8:186–196.
  • 2) Weinstein S. The skin senses, DR Kenshalo. Thomas Books, Springfield, IL 1968; 195–222
  • 3) Horiba S, Inoue D, Sogabe A, Uchiyama T, Aoki M & Ohtani T. WO 2021/215411. 2021-10-28