皮ふ科医に聞く ミニ知識
乾燥やシミ・そばかす、ニキビあと… 肌に関するお悩みはさまざま。気になる紫外線や、アンチエイジング対策など、ふだんの生活でできるスキンケアや肌トラブルへの心がまえについて、第一線でご活躍中の皮ふ科の先生にお聞きしました。

初夏に気をつけたい!ムダ毛の自己処理

脱毛後に起こしがちな肌トラブル

ムダ毛の自己処理には、脱色剤、除毛剤、脱毛剤などがよく使われます。
脱色剤は、ムダ毛の色素を抜いて毛そのものを目立たなくさせます。毛に含まれるメラニン顆粒をアルカリ性過酸化水素で分解して脱色します。
除毛剤は、アルカリ性の溶剤を含んでおり、その成分が毛のタンパク質に作用して毛を溶かします。このとき強いアルカリ性の溶剤が肌に密着することで、表皮が化学的に傷つけられる場合があります。
脱毛剤は、肌に貼ったワックスや強力な粘着テープをはがすことで毛根から抜き去るので、表皮が物理的に傷つけられます。これは、カミソリやシェーバーで剃る場合も同様です。また、脱毛剤や毛抜きで毛を抜くと、毛穴にも炎症が生じます。
つまり、ムダ毛処理後の肌はバリア機能が障害され、刺激を受けたり、細菌や異物が侵入したりしやすい状態にあります。その状態で起こりやすい肌荒れとしては、肌の炎症・乾燥のほか、傷ついた毛穴から細菌が侵入することによる毛嚢炎(もうのうえん)、脱毛剤やシェーバーなどの物理的刺激により表皮内のメラニン細胞が活性化されて起こる色素沈着などが挙げられます。また、毛抜きや脱毛剤で毛を抜くと、皮膚やかさぶたが毛穴を覆い、毛が皮膚の中で伸びてしまう埋没毛が起こる場合もあります。

脱毛後のケア

ムダ毛処理後は炎症を抑えるため、まずは冷やした清潔なタオルなどで肌を冷却します。その後、低刺激の保湿剤を塗って肌の乾燥を防ぎ、保護しましょう。また、紫外線の影響も受けやすい状態にあるので、日焼け止めや衣類などで紫外線を避けることが大切です。

脱毛後の肌トラブルを防ぐには

肌に湿疹や赤みなどの症状があるときは、ムダ毛処理により悪化してしまうので治ってから処理するようにしましょう。また、日焼け後や生理中で肌が敏感になっているときや、入浴中・後で肌がふやけて傷つきやすくなっているときは避けましょう。
脱色剤・脱毛剤などは、使う前に必ずパッチテストを行ってください。ただし、顔やワキなど刺激の影響を受けやすい部位には使用しないように。それらの部位のムダ毛処理には、保湿剤やジェルなどで肌を保護した上で安全なカミソリやシェーバーを用いましょう。
カミソリを使用する際は、毛の流れに逆らって剃ると肌への負担が大変大きいので、必ず毛の流れに沿って剃るようにしましょう。剃った後は保湿をしっかり行ってください。

脱毛後に肌トラブルが起こったら

肌トラブルが起こった場合も、まずは炎症を鎮めるために冷やしましょう。その後、保湿剤で乾燥を防ぎ、肌を保護します。脱毛した部位を洗う際は強く擦らず、手のひらでやさしく泡を滑らせるようにして洗ってください。炎症がある場合は、浴槽につからずにシャワーで済ませましょう。
数日経っても症状が改善しない場合は、皮膚科を受診しましょう。

教えてくださったのは
初夏に気をつけたい!ムダ毛の自己処理|青森県 弘前市 ESTクリニック 皮膚科  中野あおい 先生

青森県 弘前市

ESTクリニック 皮膚科 中野あおい 先生

ESTクリニックは、皆様に快適に安心してご利用いただける医療の提供に努め、各科の専門スタッフが連携し、患者様と医療スタッフとの人と人、心と心のふれあいを重視した、患者様本位の医療を実践しております。皮膚科では、身近な水虫、アトピー性皮膚炎などの診断、治療から、乾燥肌やニキビなどのスキンケアの指導も行っています。皮膚のことでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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