皮ふ科医に聞く ミニ知識
乾燥やシミ・そばかす、ニキビあと… 肌に関するお悩みはさまざま。気になる紫外線や、アンチエイジング対策など、ふだんの生活でできるスキンケアや肌トラブルへの心がまえについて、第一線でご活躍中の皮ふ科の先生にお聞きしました。

アレルゲンによる肌荒れはなぜ起きる?
季節性のアレルゲンにも要注意

アレルゲンが原因で、急な肌荒れが起きる場合があります。それでは、そもそもアレルゲンとはどういうものなのか、またどんなメカニズムで肌荒れを引き起こしてしまうのでしょうか。

アレルゲンとは?

私たちの体には病原体などの異物の侵入を防いで体を守る、「免疫」というシステムがあります。体の中に異物( 抗原) が侵入してくると、体の免疫機能がそれを記憶し、次回の侵入時には速やかに排除されるよう抗体が産生されます。通常の免疫は、ウィルスや細菌など体に害となるものに対してのみ機能し、体を守っています。しかしアレルギーでは、体に害のない花粉などの抗原についても異物と判定し、体に何らかの症状が出てしまいます。アレルギー反応を起こすような抗原を「アレルゲン」と呼びます。スギ花粉を例にとってみましょう。アレルゲンであるスギ花粉が目や鼻・口などから体の中に侵入すると、通常では何の症状も起きません。しかし、アレルギーでは、それを異物と判定し、抗体が産生され、目では涙を出して、鼻ではくしゃみや鼻水を出すことで体の中から排出するよう働きます。くしゃみや鼻水などはよく知られた症状ですが、アレルゲンが皮膚から侵入して、そのアレルゲンを排出しようと炎症反応が起きて肌荒れとなる場合があります。アレルゲンには、花粉、ハウスダスト、ダニ、金属、薬、植物など様々な種類のものがあります。

季節ごとに起こる敏感肌、その一因となるアレルゲン

多種多様なアレルゲンですが、花粉やカビなど、毎年限られた時期に現れるものが「季節性アレルゲン」です。
季節の変わり目は、気温の変化や空気の乾燥など、肌状態が不安定になり、乾燥をしたり赤みが出たりと、敏感肌になりやすいと感じる方も多いのではないでしょうか?その原因の一つとして「季節性アレルゲン」が考えられます。「季節性アレルゲン」には、カビ、ほこり、ハウスダスト、PM2.5 などがあります。そのアレルゲンが肌に付着し、炎症などを起こすことで肌に赤みが出たり、通常のスキンケアが合わなくなるなど、普段なにもなかったはずの肌が敏感肌へと変わることがあります。
しかし、時々肌荒れを引き起こしても、原因が分からないと正しいケアを行えません。そこで、季節性の敏感肌になっていないかチェックしてみましょう。多く当てはまる場合は、スキンケアの見直しが必要かもしれません。

季節性敏感肌チェック!

  • ある特定の時期に肌に赤みがでる
  • 花粉症である
  • ほおや目のまわりにかさつきがでる
  • 外出が多い
  • 睡眠が不足しがち
  • 紫外線に弱い
  • ストレスが溜まりやすい

季節ごとに気をつけたいアレルゲンとスキンケア対策

春の敏感肌

季節の変わり目の寒暖差や、スギやヒノキなどの花粉やほこり、増加する紫外線など外的要因の他、新年度の環境の変化による疲労、ストレス等、敏感肌の原因が沢山あります。この時期は、スキンケアを刺激の少ないものに変えても良いでしょう。

夏の敏感肌

イネ科の植物や、高温多湿のためカビなどのアレルゲンが発生します。さらに、肌は夏場の強力な紫外線や室内のクーラーで常に乾燥しがちです。夏に合うさっぱりタイプの保湿ケアを重点的に行ってください。

秋の敏感肌

ブタクサなど秋の草に注意が必要ですが、この時期はペットの毛の生えかわり時期でもあります。動物にアレルギーのある人には、動物の毛はアレルゲンですので、あまり肌に触れないように、こまめな清掃とブラッシングをしてください。スキンケアは、夏のダメージを回復できるように、ハリをアップする特別ケアをプラスすると良いでしょう。

冬の敏感肌

寒い季節は植物によるアレルゲンは少ないですが、年末は特に大掃除の際に出るちりやほこり、ハウスダストに気をつけてください。また、乾燥しやすい時期なので、乾燥からの敏感肌にならないように、念入りなスキンケアを心がけると良いでしょう。

教えてくださったのは
アレルゲンによる肌荒れはなぜ起きる?季節性のアレルゲンにも要注意|東京都 世田谷区 ふるはた皮ふ科クリニック  古畑由美子 先生

東京都 世田谷区

ふるはた皮ふ科クリニック 古畑由美子 先生

皮膚科専門医、アレルギー専門医、抗加齢学会専門医、栄養情報担当(NR)
すべての患者さまに健康で美しい肌をご提供するため、丁寧な診療とわかりやすい説明を心がけています。湿疹やアトピーなど皮膚科全般の治療だけでなくレーザーによるシミ治療やボトックス、ケミカルピーリングなどの自費診療も行っており、多くの方に信頼される「皮膚のかかりつけ医」を目指しています。どうぞお気軽にご来院ください。

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