HAIR TOUCH YOU のばせば届く。

INTERVIEW

のばした髪をヘアドネーションした方

「人と人がつながって動き出せば、世の中を変えられる」土屋アンナがヘアドネーションで得た実感

フィーノが医療用ウィッグをとりまくすべての方をつなぐプログラム【HAIR TOUCH YOU のばせば届く。】。インタビューを通し、医療用ウィッグを必要とする方、髪を寄付する方、支援する方など、360°の方々の想いをお届けいたします。今回は、ミュージシャン、ファッションモデル、女優としてマルチにご活躍される土屋アンナさんにお話しを聞きました。2021年2月にInstagramでヘアドネーションのご報告をされた土屋さんですが、その反響の大きさにとても驚いたそう。土屋さんが、ヘアドネーションを通じて感じた「人と人のつながり」とは?

ウィッグを手にした少女の笑顔に心を動かされ

土屋さんがヘアドネーションを知ったきっかけと、実際にヘアドネーションをすると決めた理由について教えてください。

うちのお母さんは、子どもの頃の私に色んな世界のドキュメンタリー番組を見せながら「食べ物を残しちゃいけないのは、こういう子どもたちがいるからなのよ」と教えてくれるような人で、ヘアドネーションの話もなんとなく聞かされていました。ただ、ヘアドネーションとは実際にどういうものなのか、自分の中で具体的なイメージはできていなかったんです。でも、あるとき、医療用ウィッグを必要とする少女がウィッグをもらう動画が自分のInstagramに流れてきて。その映像を見た瞬間、「あ、これだ」と。大泣きしながら喜ぶ彼女の表情に心が大きく動かされて、ヘアドネーションの意義を理解しました。

そのとき、子育てが忙しくてなかなか自分のことに時間をかける暇がなく、ちょうど髪が伸びていた時期だったので、「これだけ長かったらもう少し伸ばせばヘアドネーションできるんじゃないかな」と、やってみようと思ったんです。

ヘアドネーションをするにあたって、わからないことや不安なことはありませんでしたか?

そもそもヘアドネーションってどうやるの? とか、本当に届くの? とか、不安はたくさんありましたよ。やっぱり、ドネーションした髪がどういうふうに使われるのか、わかりやすいほうがいいなと思いました。自分の意図しないことに使われちゃったら嫌だから、明確な情報を発信してくれているところに寄付したいし、ゴール地点が見えればもっとみんなが動きやすくなるんじゃないかな、と感じましたね。

「私の髪はまた伸びるから」せっかく切るなら、誰かのために

土屋さんは、どのような想いで髪を伸ばしていましたか? また、医療用ウィッグの現場ではなるべく長い髪が必要とされていますが、伸ばす長さの目標は立てられていましたか?

自分の髪はウィッグの中のほんの一部にしかならないけれど、「少しでも誰かの笑顔や希望につながれば」と思っていました。「私の髪はどうせ生えてくるんだから、誰かのために少しでも役に立てるなら、ドネーションしたほうがいいじゃん」って。私は細かく計画を立てると逆に行き詰まるタイプなので、無理なく、ロングヘアを楽しみながら伸ばしていたら、自然とヘアドネーションできる長さになっていました。

土屋さんは普段から様々なヘアスタイルを楽しまれている印象ですが、ご自身のヘアスタイルに関する想いやこだわりがあれば教えてください。

モデルって、黒髪のロングヘアで、個性を少し押さえた感じの“お人形さんタイプ”が求められることも多い気がするんですけど、私は昔から「モデルだって自分がやりたいことをやっていいじゃん」と思いながら行動していました。だから、蜷川実花ちゃんのヘアアレンジ企画の撮影前日に、勝手に髪を角刈りにしちゃったりして(笑)。だって、明日には気持ちが変わっちゃうかもしれないから、髪は「切りたい」と思った瞬間に切りたいんです。まあ、事務所の人たちはすごく大変だったと思いますけど(笑)。

結局、私はヘアスタイルも“遊び”だと思っていて。髪やネイルやファッションで存分に遊んで、変身した自分の姿を見るとハッピーになれるじゃないですか。ウィッグを必要としている子たちも、色んなウィッグで遊ぶことができたら楽しいんだろうなって思うんですよね。私は一年か二年くらいロングヘアにしながらアレンジも楽しみつつ、伸びたら、その髪をドネーションて。そうすることで、また誰かにも楽しい気持ちを感じてもらえるかもしれない。それって、すごく嬉しいことですよね。

ショートヘアが似合う・似合わないよりも「自分が気に入る自分」になれるほうがいい

「自分にはショートヘアが似合わない」と思い、ヘアドネーションに踏み出せない方も多いようです。ファッションモデルとしての経歴が長い土屋さんからアドバイスがあればお願いします。

そんなの、決めつけちゃダメですよ! 似合わないって、誰が決めたの? みんなそれぞれ自分のコンプレックスがあると思うんですけど、そのせいで勘違いしていることもたくさんあるような気がしていて。

よく「ショートは小顔の人しか似合わない」と言うけれど、みんな身長も体型もバラバラなのに、同じ型に当てはめて考えるのがそもそも違うんじゃないかな。私もコンプレックスがあるから、好きな女優さんを見て「いいなぁ」と思うことはあるんですよ。でもね、絶対にその人にはなれないの。だから、憧れは憧れでおいといて、どうやったら“自分が気に入る自分”になれるのかを考えたほうが良い。似合う・似合わないじゃなくて、髪型やファッションの変化を自分が楽しめていることのほうが大事だと思います。

それに、自分が鏡で見ている自分と、人から見えている自分って、実は全然違うんですよ。「可愛い」って人から言われても、鏡で自分を見ると「可愛くない」と思っちゃう。でも「可愛い」って言われてるんだから、絶対に可愛いはずなんですよ。だから、“自分の目で見えているものだけを信じない”というのも大事かもしれませんね。とりあえず、あれこれ考えてブレーキをかけるよりも、まずは行動! 思い切ってやっちゃえば、最初は違和感があっても、それは新しい自分だから。自分が気に入る自分になってるはず。いつの間にかちゃんと慣れる日が来るから。

力強いアドバイスをありがとうございます! ちなみに、髪を長く伸ばしていたからこそ楽しめたヘアスタイルはありましたか?

髪を伸ばしていると、引き上げられるんですよ。重力に逆らったヘアスタイルができる。ロングヘアのツインテールや、ハイポニーテールはカッコいいですよね。でも、個人的に一番嬉しかったのは、お母さんに髪を結んでもらっていたときの気分を味わえたことですかね。Instagramで色んなヘアアレンジを見ながら「今日はどうしようかな?」と考えるのが楽しかったです。子どもの頃を思い出して、懐かしくなりました。

“聞く”だけじゃなく“見える”形で発信していくことが大事

髪を伸ばしている時期を楽しむのも、すごく大切なことですよね。フィーノでも、皆さんが楽しく髪を伸ばし、ヘアドネーションがより良い経験になるようにという想いを込めて「オリジナルドネーションキット」を無料でお配りしています。

へぇ~! いいですね。私、髪を伸ばしているとき、ゆるゆるの巻き尺で測っていたから、封筒にスケールが付いているのは最高です。ヘアドネーションをしようと思っていなかった人も、ふとこのキットを手にして「あ、もう30cm近くある。じゃあヘアドネーションしてみようかな」と思うかもしれないですね。そもそも、こういう企画を出して、形にするのってすごく大変だと思うんですけど、助け合いの場を作るために動いている人たちがいると思うと、嬉しいですよね。「世の中捨てたもんじゃないな!」と思えます。

このほかにも、どのようなサポートや工夫があれば、ヘアドネーションがより良い経験になり、ヘアドネーションをしたい人が増えると思いますか?

私は、ウィッグを受け取る少女の映像を見て、心が動かされました。だから、医療用ウィッグに関わる人たちを、写真や映像でもっとたくさん見られたらいいなと思います。話を聞いただけだと「いつか」になっちゃうような気がするんです。たとえば、転んだ人を助けようとして反射的に身体が動くときって、転びそうな姿を見た瞬間だと思うんですよ。SNSを通じて、誰でもいろんな情報を得られる時代だし、やっぱり見えないよりも見えたほうがいいかなって。

誰かのために何かがしたい人たちの“スイッチ”に、みんながなれる時代

土屋さんはご自身のInstagramでヘアドネーションについて投稿されていましたが、どのような想いを込めて発信されたのでしょうか?

シンプルに、ヘアドネーションをやりたい人が増えてくれたらいいなと思って投稿しました。自分の身近な人たちやファンのみんなが「アンナ、ヘアドネーションしたんだ。私も伸びたらやってみようかな」と思ってくれたらいいなって。実際、うちのお母さんが「私もやりたいんだけど」って一番に食いついてきましたから(笑)。でも、まさかニュース記事になるくらい反応がもらえるとは思っていなかったので、驚きました。それくらい、ヘアドネーションに興味を持っている人がたくさんいるということですよね。だから、興味はあるけれど、まだ行動に移せていない人たちが「やってみよう」と思う“スイッチ”になれていたら嬉しいかな。ひとつの医療用ウィッグを作るのには何人分もの髪が必要で、私ひとりじゃできないので。

特に、投稿にコメントをしてくれた人たちは「やりたい」という意思が比較的強いと思うから、この人たちみんなが動いてくれたら良いなと思いました。人と人がつながって、多くの人が一斉に良い方向に動き出したら、変えられるものが世の中にはたくさんあると思うんですよ。私はこういう仕事をしているから、良いことも、悪いことも発信できちゃう。そういった影響力には気をつけなきゃいけないと日頃から思っているんですけど、でも、世界が良くなるための発信なら積極的にしていきたいし、それで何人かの心が少しでも動いてくれたらすごいことだと思います。

まさに、フィーノのプログラムでも「誰かのために」という想いをつなげていきたいと思っています。そういった想いを抱かれている、医療用ウィッグをサポートするためにヘアドネーションを検討している方に向けて、メッセージをお願いします。

あなたの行動、ジャッジひとつで、何万、何億の人の瞳を輝かせることができるかもしれない。想像して気持ちが動いたら、すぐに行動してみるのが良いと思います。誰かのために何かをできるというのは、人間にとって最高の生きがいだと思うから。それに、髪を切ると気分が変わる。「今年は変わりたい」と思っている人は、切っちゃったら良いよ。ちょっとしたきっかけで人を幸せにできるって、素晴らしいことだと思いませんか?

土屋 アンナANNA TSUCHIYA

1998年デビュー。職業の枠にとらわれず何刀流ものジャンルで幅広く活躍。モデルとしては雑誌や様々なファッションショー、CM、テレビに出演し、女優としては『下妻物語』で日本アカデミー賞新人賞・助演女優賞、ブルーリボン賞最優秀新人賞をはじめ数々の賞を受賞するとともに、2007年の主演映画『さくらん』では世界中から評価される。歌手としては世界各地でライブやCDをリリースするとともに安室奈美恵feat.AI&土屋アンナ「Wonder Woman」や布袋寅泰vs土屋アンナ「QUEEN OF THE ROCK」など多くのコラボにも参加。3月10日にブルーノート東京にてバースデーライブを開催。3月17日公開となる映画『長ぐつをはいたネコと9つの命』日本語吹替版に出演。また、3月28日にはスペシャルアンバサダーを務める『Change Makers Fes』に出演し、国内外の社会課題に対してアクションを起こした子供・若者にエールを送る。

「fino ウィッグBank」について

フィーノの医療用ウィッグプログラム【HAIR TOUCH YOU のばせば届く。】の中のひとつの取り組みである「fino ウィッグBank」では、現在ヘアドネーションを募っており、31cm以上であればどのような髪の状態の方でも、また年齢や性別も問うことなくご参加いただけます。寄付いただいた髪については、NPO法人「全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)」にサポートしていただき、医療用ウィッグの販売のみならず、レンタルウィッグや医療用ウィッグ製作技術のための講義用として寄贈するなど、髪の状態と、その時々のニーズに応じて最適な活用法にて無駄なく生かしていきます。

ヘアドネーションをご希望の⽅は
必ずfinoオリジナルドネーションキットを
お申込みください。

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