撮影:立木義浩
<店主前曰>
MAIMONの料理長、杉山豊の店は年中無休だが、出来るだけ土曜日か日曜日に休みをとるようにしている。理由は簡単だ。土日のどちらかに伊勢丹新宿店メンズ館8階のシガーバー「サロン・ド・シマジ」に顔を出すことが愉しみなのである。このバーで知り合った常連のお客たちと話していると、一週間の疲れもふっ飛んでしまうと言う。もちろんバーマンのシマジとドクロのリングをくっつけ合って“気”を充電してもらうことも欠かさない。このバーの“格言コースター”にある「元気は正義である」が、杉山の一番のお気に入りであり、彼自身のポリシーのようでもある。
立木:それじゃ、杉山は毎週、伊勢丹のサロン・ド・シマジに通っているんだな。
杉山:はい。週に一度、シマジさんに気を充電していただかないと元気に生きていけないんです。あのバーは実際にご利益の多いパワースポットなんですよ。また気のいい人達が沢山きています。あっ、そうだ。首藤さん、あそこの常連はほとんどSHISEIDO MENの愛用者のようですよ。ぼくはまだ使っていませんが。
首藤:本日の謝礼としてSHISEIDO MENのセットを杉山さんにお持ちいたしました。
シマジ:杉山、明日から毎日、朝だけでいいから使ってごらん。肌がツルツルに蘇るよ。
杉山:ホントですか。シマジさんのようにピカピカの肌になりますかね。
シマジ:杉山の年齢ならすぐにピカピカの41歳になれるよ。
首藤:あっ、いけない。杉山さんのお肌のチェックを忘れていました。いまからやりましょう。
シマジ:杉山、首藤さんに顔を貸してあげてくれない。
立木:シマジがそう言うと、杉山の顔は取り外しが出来るように聞こえるね。
杉山:首藤さんの前に行けばいいんですね。
シマジ:そういうことだね。
首藤:杉山さんは西暦何年のお生まれですか。
杉山:1975年です。
首藤:はい。ではマシンに1975年とセットしました。こうしてお顔に機器をくっつけるだけでお肌の状態が判定できるんです。少々お待ちくださいね。
シマジ:これはスグレモノのマシンだろう。
首藤:結果が出ました。Dでした。
杉山:Dはいいほうでしたっけ。
首藤:いいほうです。しかも限りなくCに近いDでしたから、明日からSHISEIDO MENをお使いになれば、Bランクも夢ではないでしょう。うるおいがありますね。
杉山:では首藤さん、こんなに沢山いただいたSHISEIDO MENの使い方を教えていただけませんか。
首藤:それが、わたしの専門は女性向けの化粧品なので、実際に毎日お使いになっているシマジさんに教わったほうがよろしいかと思います。
シマジ:そうだね。わたしが教えてあげよう。では杉山、いただいたSHISEIDO MENを袋からすべて出して、このテーブルの上に置いてくれる。
杉山:こうして見ると、SHISEIDO MENはデザインがお洒落ですね。
シマジ:いいことを言ってくれるではないか。こういうお洒落な化粧品を毎朝手に取って使っていると、お洒落のセンスが使う人間に移ってくるんだよ。
立木:シマジ、能書きはいいから早く杉山に教えてあげてよ。
シマジ:では最初はクレンジングフォームだ。これは1センチほどチューブから手のひらに絞り出して、空気を含ませながらよく泡立てるんだ。そして顔を包み込むようにやさしく洗う。顔の肌には皮脂や汗の汚れが付着しているので、まずそれらをきれいに洗い流す。
杉山:なんかわくわくしてきました。
シマジ:次はこの透明なトーニングローションだよ。朝これをつけたときのすっきり感がたまらないんだ。これは皮脂によるべたつきを防ぎ毛穴を引き締める効果がある。だから髭剃りのあとに軽く叩くようにつけると目が覚めるんだ。
杉山:使う量はどれくらいですか。
シマジ:手のひらに500円硬貨大に注ぎ、目のまわりを避けて軽く叩くようになじませる。
あっ、そうそう。さっきのクレンジングフォームは、シェービングクリームとしても使えるんだよ。つっぱり感が全くなくて重宝する。
次のアクティブコンセントレイティッドセラムは、年齢とともに必ずやってくるネガティブな皮ふの変化に果敢に立ち向かってくれるスグレモノだ。いってみればこれは上質なエイジングケア美容液で、ハリがあって活力に溢れる肌を保持してくれる。髭を剃って洗顔し、トーニングローションをつけたその上に塗ればいい。量はディスペンサーがついているから2プッシュを手のひらにとれば十分。そして顔の下から上に向かって引きあげるように顔全体になじませる。
杉山:シマジさんの説明を聞いていると、凄く効き目がありそうな気がしてきました。
シマジ:おれはSHISEIDO MENを使ってもう12年目に入ったかな。結果は見ての通り、ピカピカの75歳だろう。
お次はその黒い箱に入っているスキンエンパワリングクリームだよ。この効果は、肌になめらかさと明るさを与え、若々しいハリ感を与えるんだよ。
杉山:えっ!この50グラム入りのものが税抜きで12,000円もするんですか。
シマジ:いままでの男性化粧品の概念としては高いと思うだろうが、女性の、それこそ首藤さんが担当している化粧品などと比較すれば安いものだよ。使う量は真珠の大きさくらいを指先につけて、これも顔の下から上に、こすらず、伸ばすようにやさしくなじませる。これで杉山の41歳の肌はハリ感が出てくるだろう。だいたい3カ月は使えるから考えようでは安いものだよ。
杉山:明日の朝が待ち遠しいです。いまから新しい体験が愉しみになってきました。
シマジ:どうしてわたしが夜にSHISEIDO MENを使わないかというと、ある日、酔っ払って洗顔をしたあとにさっきのクレンジングフォームを歯磨きのチューブと間違えて歯を磨いてしまい、口のなかが泡だらけになったことがあったの。それから一日一回朝に使うことにしたんだよ。
杉山:アッハハハ。ありそうな話ですね。ぼくも朝専門にします。まあ、朝といってもぼくの場合、昼に近いですが。
シマジ:いよいよ最後になったけど、今度はトータルリバイタライザーアイ。これは目もとのためのクリームで、つけると心地よいクール感がある。くすみがちな目もとにハリと明るさをキープしてくれる貴重なクリームなんだ。スッキリした目もとは男性にとっていつでも大事なことだからね。使う量は、片目分としては小さな真珠大でOKだよ。
さて、これを最後にしてイケメン男性化粧品講座は終わりとしますか。
首藤:ありがとうございました。完璧な講座でした。
立木:お嬢ははじめて聞いたと思うけど、おれはもう4、5回シマジのこの講座を聞いている。率直にいうと聞き飽きている。シマジ、最近仕入れた面白いジョークでも一つやってくれ。
シマジ:われらがタッチャンの御要望とあればやりますか。
「ある無人島に暮らす食人族の夫婦に、可愛い坊やが誕生した」
立木:無人島って人間が1人もいないことを言うのではないか。いや、まあいいか。所詮ジョークの話だものな。
シマジ:タッチャン、そんな堅いことは言わないでくださいよ。
「夫婦はその子を食人族のエリートに育てようとした。
『坊や、動くものをみたら、なんでも食べられると思いなさい』
坊やが5歳になったとき、いまにも不時着しそうな飛行機が空から降りてきた。
『ママ、あれは食べられるの?』と坊やが訊いた。するとママが言った。
『坊や、あれはエビみたいなものよ。外側は硬い殻だから、剥いてからなかの柔らかいところを食べるのよ』
次の日、パパと散歩していた坊やが、海岸に不時着した飛行機から1人のフルボディーのブロンドガールがよろよろと出てくるのを見つけた。
『パパ、あれも食べられるんだね』と坊やがパパに訊くと、パパはブロンドガールをしげしげと見つめてから、坊やに言った。
『坊や、あれは食べられないよ。あれは今日からお前の新しいママになるんだからね』」
立木:アッハハハ。よく出来ている。可愛い。
杉山:シマジさんはどこでそんなおもしろいジョークを仕入れるんですか。
シマジ:伊勢丹のバーにお越しになるお客さまに教えてもらうことが多いかな。