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夢やうつつ

「わたしをすきなひとが、わたしに関係のないところで、わたしのことをすきなまんまで、わたし以外のだれかにしあわせにしてもらえたらいいのに。わたしのことをすきなまんまで。」 土曜日はしんだふりの練習をして、花畑を何重にもつみかさねた実験場で、ゆっくりとしずんでいきたい。うすくらがりのなかでみる花束が想像以上にきれいでなくて、美人のともだちのかおが、暗闇ではほとんど美しくなくて、けっきょくきれいだったのは光だけだったんだと思った。言い残したこともないのに、深海ではいきものがくちをぱくぱくとさせて、泣いているね。わたしはきみたちのきもちを知っているよ。 遅くでいいから、愛してほしかった。わたしがしんでも、わたしが目の前に永遠にあらわれなくても、愛してほしかった。どこかでラッパの音がする。きみのほほに風がたどりつく。そのとき、どこにもいない、知らないわたしのことを、ぎゅっとだきしめたくなるような、そんな心地に一生なって。愛はいらない、さみしくないよ。ただきみに、わたしのせいでまっくろな孤独とさみしさを与えたい。

絆未満の関係性についてCLOSE