


絆未満の関係性について
もうわたしのことなど忘れてしまっているだろうけれど、と、言えばきっと「そんなこはないよ」と言ってくれるだろう。けれどそう言うまでは忘れられているのと同じなのだから、これは、縁が切れたということなのだ。簡単につなぎなおせるけれど、だれも動こうとしないから、ぷちぷち切れていく縁というものが死と同じぐらいの頻度で地球上で起きていて、それは、喧嘩よりもたちがわるい。永遠でないのに、臆病さが一瞬を永遠にしてしまっている。 絆未満の関係性が今日もどこかで、絆に変わる。愛情のことや友情のことを語りながら、簡単に、わたしたちだけの距離が、規格化される。乱暴をされる。中途半端に空いていたお互いの距離に、それまでサンドイッチを置いていたね。だれも理解できないことだった。だれもこの味を知らなかった。わたしがかみさまなら、あなたとのこの関係性にあたらしく名前を付けて、友でも恋人でもなく、あなたの名前をつけていた。わたしがかみさまなら、あなたのことを、好きとも嫌いとも大事とも言わず、ふと出会ったそのときに、いっしょに食事をとっていた。

