Back to Top

第11回 銀座 玉木 玉木裕氏 第2章 枠にはおさまりきらない玉木のフレンチが好きである。

撮影:立木義浩

<店主前曰>

パリの老舗レストランをはじめ、割烹の名店「重よし」でも修行を積んだ経験を持つ玉木シェフのフレンチには、和食の技が表に裏に効いている。また彼自身の柔軟な思考と感性で生み出されるメニューはじつに多彩だ。この、純粋なフレンチの枠にはおさまりきらない玉木のフレンチがわたしは好きである。今回のメインディッシュは玉木特製メンチカツだ。フレンチでメンチカツ?と思う読者もおられるかもしれないが、とにかくここのメンチカツを食べてから、文句があるなら言っていただきたい。料理はシェフが選ぶ材料次第である。最高級の神戸牛をふんだんに使い玉木が腕を振るったメンチカツは、タダモノではない。

梶原:玉木さんのお肌チェックの結果が出ました。Dでした。

シマジ:玉木、なんにもしていない割にはいい成績じゃないの。

玉木:ありがとうございます。

立木:はい、お嬢、百合根のムース一丁あがーり。

梶原:わっ!美味しそう。

玉木:立木先生、ハヤシライスができました。

立木:うん、美味そうだ!お嬢、待っててね、すぐに撮って渡してあげるからね。

梶原:はい。この百合根のムース、最高です。

玉木:ありがとうございます。

立木:お嬢、はい、ハヤシライスだよ。

梶原:わあ、美味しそう。この甘みというかうま味というか、香りが凄いですね。

玉木:立木先生、メインディッシュのメンチカツがあがりました。

立木:OK。

シマジ:タッチャンも仕事が早いけど、玉木も早いね。

梶原:このハヤシライスは最高です!こんな美味しいハヤシライスはいままで食べたことがありません。

シマジ:資生堂の福原さんもよくランチでここに来られて、名物のハヤシライスを召し上がっているんですよ。

梶原:なんだかわたしだけが一人で食べているのが申し訳ない気がします。

シマジ:そんなことはありません。今日は資生堂を代表して召し上がってください。そうだ、面白い話を思い出しました。いつかの平日に、福原さんとわたしがここでハヤシライスのランチを取っていたら、突然、見知らぬお客が入ってきた。「すみません、ランチ営業は金曜日と土曜日だけなんです」と玉木が言うと、「ランチを食べている客がいるじゃないか」と返された。すると玉木が「あの方たちはここのオーナーでございますので」と言って丁重に断わったのには驚いたね。

立木:シマジはただ威張って見えただけだろうけど、福原さんは歴としたオーナーに見えただろうね。

玉木:ランチは金、土しかやっていないことは常連のお客様は知っていますが、知らずに入って来られるお客さまもいらっしゃるんです。

立木:はい、メンチカツの撮影は終わったから、お嬢、ゆっくり召し上がれ。

シマジ:梶原さん、これはこの店の定番ですが、フレンチでこんなメンチカツを出すところはほかにありませんよ。どうぞご賞味ください。

梶原:わあ、嬉しいです。ここでメンチカツを食べられるとはビックリしました。うーん、凄くジューシーですね。肉のうまみがたっぷりななかに玉ネギのほのかな甘みも感じられます。それにこのデミグラスソースも美味しいですね。少し酸味が利いていて、絶妙な味のハーモニーを奏でている感じです。

シマジ:スパイシーハイボールをもう一杯どうですか。

梶原:お願いします。お料理と合いますね。

シマジ:スパイシーハイボールは食前食中のお酒としては絶品ですよ。ブラックペッパーが粘膜を刺激して食欲が増進すると言われています。

立木:お嬢は背が高いね。

梶原:はい、169センチあります。体重は企業秘密ですけれども。

立木:シマジより高いんじゃないか。

シマジ:ハイヒール分高いかもね。わたしも169センチですが、歳をとって少し縮んだかもしれません。関根常務も背が高いですよね。

梶原:関根さんはわたしよりずっと高いです。

シマジ:梶原さんは名古屋から本社の国際マーケティング部へ異動になったそうですね。

梶原:はじめはビューティーコンサルタントとして2004年に入社して、名古屋松坂屋本店に配属されました。それ以前のことをお話しますと、高校生のときにオーストラリアで3ヶ月の短期留学をして、そのあと再度オーストラリアに1年間留学しました。帰国当初は美容系の専門学校へ進学することも考えましたが、英語をもっと磨こうと名古屋外語専門学校のエアラインコースに入学しました。

シマジ:それでは将来はキャビンアテンダントの仕事をしようと思っていたんですか。

梶原:いいえ、わたしはむしろ空港で働くグランドスタッフを目指していたんです。学校のカリキュラムでは英語と中国語はもとより、航空業界事情や自己表現の勉強でパーソナルカラーやゴスペルを習いました。

シマジ:ゴスペルですか。面白そうだ。

梶原:ゴスペルはチームを組んで結婚式やフェスティバルで歌いました。

シマジ:それがどうして資生堂を選んだんですか。

梶原:在学中に資生堂へ就職した先輩たちにお話を伺い、再び美容系の仕事に興味を持ったんです。

シマジ:就職にもやはり運と縁というものを感じます。梶原さんが高校時代の短期留学をきっかけに英語力を磨いて、いろいろなことを経験しながら結果的に資生堂の国際マーケティング部へ異動になったのも運命的な感じがしますね。

梶原:小中学校から英語が大好きだったので、留学が出来る高校を選びました。

シマジ:好きこそものの上手なれって言いますからね。高校生くらいの多感な時期に海外留学を経験することは、語学を覚えるにしても、いろんなことを吸収するにしても、絶対いいと思いますね。

梶原:たしかに国際マーケティング部に異動になったのは高校のときの留学体験が大きいと思いますが、向こうでは語学を学ぶ他にも得るものがたくさんありました。2度の留学先はどちらもオーストラリアの田舎町で、自然に触れる機会にも恵まれていたんです。夜には年中南十字星と天の川が見え、裏庭にはコアラがいました。2度目の留学先はポートランドという名前の通り、海に面していて授業中にアザラシの群れが窓越しにみえましたね。夕日に照らされて赤い一枚の岩が一分一秒ごとに表情を変える有名なエアーズロックもバスツアーで観に行きました。のどかな自然のなかでのんびり過ごしたせいか、帰国したときには身もこころも成長して、14キロも太ってしまいました。だから家族や親類からは「体形も外国人になった」と冷やかされました。

シマジ:何キロまでいったんですか。

梶原:これも企業秘密です。でも帰国後、日本の食生活でしばらく暮らしていたら、ダイエットすることなく元に戻りました。

シマジ:仕事の関係上、いまは海外出張が多いんですか。

梶原:はい、来月もニューヨークに出張しますが、これまでニューヨークは5回ほど出張で行っています。ロシアには2回行きました。モスクワとサンクトペテルブルクです。
個人的にも海外旅行は趣味のひとつなんですが、国を選ぶ基準は「行ってみたい世界遺産」です。いくつか挙げて、一緒に行く友人と相談して決めています。

シマジ:いままで訪れた世界遺産はどちらですか。

梶原:タージマハルを見にインドへ。アンコールワットを見にタイ、カンボジアへ。ピラミッドを見にエジプトへ。モンサンミッシェル、ノートルダム大聖堂、ヴェルサイユ宮殿を見にフランスへ。スルタンアフメト・モスク、アヤソフィア、カッパドキア、パムッカレを見にトルコへ。ペトラ遺跡、死海を見にヨルダンへ行きました。

シマジ:凄い!恐れ入りました。

新刊情報

Salon de SHIMAJI バーカウンターは人生の勉強机である
(ペンブックス)
著: 島地勝彦
出版:阪急コミュニケーションズ
価格:2,000円(税抜)

今回登場したお店

玉木
〒103-0000 東京都中央区銀座8丁目5−25 エイトビル 1階
Tel: 03-6252-9381
>公式サイトはこちら (外部サイト)

PageTop

このサイトについて

過去の掲載

Sound