さまざまな肌悩みと向き合い、肌のことを知りつくした皮ふ科医が、毎日のスキンケアに役立つポイントや肌トラブルへの心がまえについてアドバイスします。※dプログラムは、敏感肌の方のご協力によるパッチテスト等を行いながら開発されています。

これからの季節のリップケア

「唇」の乾燥

唇は粘膜に近い構造をもつため、角層が未発達で、水分を保持する機能が十分に備わっていません。また、皮脂腺や汗腺もないので、皮脂膜をつくることができず、さらに、メラニン色素が少ないので紫外線から受ける影響も大きく、とてもデリケートな部分です。唇をなめたり噛んだりするといった私たちの何気ないしぐさも、知らず知らずのうちに唇の乾燥を助長させてしまいます。

リップクリームや保湿効果の高い口紅で乾燥対策

自らの力で守ることができないので、フォローするお手入れは必須。リップクリームや保湿効果の高い口紅で保護し、乾燥させない対策が必要です。お風呂あがりなどで唇が潤って、角層が柔らかくなっているうちに、リップクリームを唇の輪郭からはみ出るくらいたっぷりとなじませた後、やさしくらせんを描くようにマッサージすると効果的です。余分な角層がはがれ、代謝を促すことができます。でも、もともと保護する力が弱いですから、気を抜くとすぐに「ガビガビ」という状態になってしまいます。乾燥するからと、唇をなめてその場をしのいだり、皮をむいたりするとさらに悪化します。常にバッグの中にリップクリームをしのばせて、こまめにつけてあげることが大切です。

ケアをしているのによくならないのはなぜ?

なかなか治らない唇の荒れは、乾燥が原因ではないのかもしれません。例えば食事。粘膜の保護や細胞の再生を促す働きをするビタミンB2を多く含むレバーやうなぎ、納豆などを積極的にとりましょう。また口紅やリップクリーム、歯磨剤などに含まれる成分で接触性皮膚炎やアレルギーを起こしてしまう可能性もあります。皮膚科で検査を受け、反応する成分が入っていない製品を選びましょう。胃腸の不具合や感染症でも唇に症状が現れる場合があります。リップケアや生活改善に取り組んでも症状が長引くときは、医療機関を受診してください。

教えてくださったのは

これからの季節のリップケア|愛知県 名古屋市 千種区 マリ皮フ科クリニック 院長 鈴木 真理 先生

愛知県 名古屋市 千種区

マリ皮フ科クリニック 院長 鈴木 真理 先生

皮膚科専門医として美容皮膚科の草分け的存在であった、名古屋大学分院皮膚科に勤務後、平成6年にマリ皮フ科クリニックを開業いたしました。科学的根拠に基づいた美容ケアの実践に取り組み、ひとりひとりの肌質に応じてより美しく、より若くありたいという気持ちにお答えしていきたいと思っております。お気軽にご相談ください。

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