敏感肌サイエンス

美肌菌」とは?

もしかしてその肌荒れの原因は
「美肌菌」のバランス崩れかも!

資生堂は、50年以上にもおよぶ皮膚科学研究によって、敏感肌の改善と美肌の鍵を握るのは、誰の肌にも存在する「美肌菌」であることを発見しました。

「美肌菌」とはいったい何なのでしょうか。また、この「美肌菌」バランスを整えるにはどのようにすればいいのでしょうか。資生堂 みらい開発研究所の柴垣研究員が解説します。

資生堂の美肌菌研究の知見を
やさしく解説します

柴垣奈佳子研究員

監修柴垣奈佳子研究員

資生堂 みらい開発研究所

あなたの肌に存在する「美肌菌」とは?

「腸内細菌」が美容と健康に大切といわれていますが、私たちの皮膚にも、美しい肌の鍵を握る「美肌菌」が住んでいます。

「美肌菌」とは、常に私たち一人ひとりの肌に住んでいて、肌環境を健やかに保つために必要な菌たち(皮膚マイクロバイオーム)のことです。

成人の皮膚(体全体)には、「表皮ブドウ球菌」を主とする約1,000種類の菌が存在し、24時間、365日休みなく、私たちの肌の健康のために働いています。一般的によく知られている菌として、「表皮ブドウ球菌」「アクネ菌」「黄色ブドウ球菌」があげられます。

代表的な菌たちの役割とは?

  • 表皮ブドウ球菌

    皮膚の環境に適応して進化し、免疫系の成熟を助けたり、抗菌物質の産生など、身体の内部を守るバリアという皮膚の役割を多くの側面においてサポートしています。皮膚の潤いを保ち、健康な状態(美肌)の維持に大切な優等生なので応援しましょう。

  • アクネ菌

    酸素が嫌いで皮脂が大好きなので毛穴の奥に住んでいますが、皮膚の細胞や他の皮膚常在菌に働きかけて、皮膚の状態を左右するラスボス的存在です。普段は美肌に不可欠な働きをしていますが、毛穴詰まりをきっかけに状況が一変すると炎症を引き起こし、ニキビ等肌荒れの原因になります。

  • 黄色ブドウ球菌

    皮膚に常在する菌の一つですが、その割合や検出される頻度はとても低いです。通常は表皮ブドウ球菌など他の常在菌や免疫系が抑え込んでいるのでトラブルを起こしませんが、常在菌が減少したり免疫が弱ったりするとその数を増やし、アトピー性皮膚炎などの増悪因子となることが知られています。

美肌菌バランスの良い肌とは?

美肌菌バランスの良い肌は、みずみずしく赤みが少ない美しい肌です。

美肌菌研究によって、敏感肌は皮膚常在菌叢の多様性が低く、表皮ブドウ球菌の割合も低いことが分かりました。

敏感肌は表皮ブドウ球菌の割合が低い

2019年に実施した資生堂による調査において、敏感肌と非敏感肌では、アクネ菌に対する表皮ブドウ球菌の比率が大きく異なり、敏感肌では表皮ブドウ球菌の割合が少ないことがわかりました。

2019年12月資生堂調査

美肌菌」バランスを整え、肌をすこやかに保つには

※画像はイメージです。

  • 乾燥は「美肌菌」にも大敵

    空気が乾燥しているときは、加湿を心がけたり、保湿力の高いスキンケア用品を使用することをおすすめします。また、こまめに水分補給を行い「美肌菌」が育みやすい肌環境を整えることも大切です。

  • 「美肌菌」の住む環境を
    良く保つことがとても大切

    バランスの良い食事と適度な運動、十分な睡眠など、生活習慣に気を付けることが大切です。あなた自身の健康にとって良いことでもあるのはもちろん、「美肌菌」がすこやかに過ごす環境を育むことにもなります。

まとめ

・肌環境をすこやかに保つ「美肌菌」バランスが大切

・敏感肌は「表皮ブドウ球菌」の割合が少なく、美しい肌は「表皮ブドウ球菌」の割合が多い

・だからこそ「表皮ブドウ球菌」を守ることが大切

・生活習慣に気を付けて「美肌菌」バランスを整え、肌をすこやかに保ちましょう

柴垣奈佳子研究員

監修柴垣奈佳子研究員資生堂 みらい開発研究所

皮膚の中に住み、その瞬間瞬間に必要なスキンケアをしてくれる縁の下の力持ち、それが美肌菌。目には見えない菌たちの働きを深く理解し、気持ちを読みとって、人も菌も幸せで穏やかにいられる世界の実現のために、日々研究に取り組んでいます。これまでに2000人以上の方の美肌菌をみてきました。

ライフスタイル、社会環境の変化により多様化する敏感肌のお悩みに対して、様々なアプローチで研究を行い、技術を開発してきました。
それでも敏感にゆらぐ肌に悩む声をいただき、これまでの研究において何か見落としていることがあれば、そこにこそ解決の糸口があるのではないか、と考えました。
そんな思いから皮膚常在菌の研究を開始し、皮膚常在菌叢、すなわち美肌菌は、敏感肌の方にこそ有益であるとの確信を深めつつ研究を進めています。

資生堂では、25年ほど前からアトピー性皮膚炎の増悪因子である黄色ブドウ球菌と、美肌菌の代表である表皮ブドウ球菌のバランスに着目した技術開発を行うなど、皮膚常在菌に着目した研究を進めてきました。
近年、技術革新により可能となった皮膚常在菌叢解析の新しい方法を用いて、主に顔の肌に住む皮膚常在菌の全体像を明らかにするとともに、その知見にもとづく新たなソリューションの開発を進めています。