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第9回 赤坂 孔子膳堂 孔健氏・呉漢彪氏 第1章 孔子の第75代直系子孫の料理。

撮影:立木義浩

<店主前曰>

わたしが孔健と知り合ってから、かれこれ30年以上になるだろうか。日本通の中国人、孔健はじつにナイスガイであるのだが、驚くなかれ、彼は論語で有名な孔子の第75代直系子孫でもある。
2003年、わたしが発行人となり、孔健が語る『痛快!新論語学』(集英社インターナショナル)という本を上梓した。その過程で何度かホテルの部屋を借り、孔健の論語の講義をありがたく拝聴したのだが、彼はいつも美味しい中華料理を作って持参しては、みんなの昼食に振る舞ってくれた。その腕は素人離れしていた。孔健に尋ねると、高校を卒業後、料理人になって2年間厨房で働いた経験があるそうだ。その後彼は大学に進んで日本語を勉強し、上智大学の新聞学科に留学した。
彼はいま日本語新聞「チャイニーズドラゴン」の主幹を務めている。そればかりではない。孔健は赤坂に「孔子膳堂」という名前の中華料理店を経営している。この店の腕利き料理長は呉漢彪である。
また今月の資生堂からのお客さまは、本連載に2度目の登場となる田中理絵さんだ。

立木:お嬢の顔はどうも以前撮ったことがあるような気がするんだが。

シマジ:さすがは巨匠、その通りです。そのときのバーはたしか銀座の夕凪でした。今回また田中理絵さんに再登場していただきました。

立木:美人は何回登場してもOKです。

田中:ホントに2回も登場して申し訳ありません。

シマジ:じつは今回予定していたBCの女性が大風邪を引いてしまったということで、急遽田中さんに来てもらったんです。

立木:やっぱりそうか。おれは1度でもレンズを通して見た女性のことは絶対に忘れないんだ。ともかくお嬢の写真を撮ろう。

シマジ:こちらは料理長の呉漢彪さんです。そしてこちらは孔子75代目の子孫、孔健さんです。

立木:よろしく。

孔健:立木先生に撮影してもらえるなんて光栄です。いい男に撮ってください。

立木:任せなさい。

田中:でははじめに呉さんと孔健さんのお肌チェックをしたいのですが。

シマジ:そのほうがいいですね。最近よくこれを忘れて最後になってしまうものね。

田中:では呉さんからどうぞ。

呉:はい。

田中:呉さんはおいくつですか。

呉:49歳です。

田中:そうすると1966年生まれですね。

呉:そうです。

田中:結果が出ました。Dですね。いいんじゃないでしょうか。

呉:ありがとうございます。

田中:それでは孔健さんどうぞ。

孔健: わたしは1958年生まれの57歳です。

シマジ:えっ!孔健はもう57歳になったの。

孔健:シマジ先生だっておいくつになられましたか。

シマジ:74歳だけど。

孔健:歳だけはみんな平等にとるんですよ。

田中:結果が出ました。Eでした。ちょっと乾燥肌ですね。

シマジ:孔健、心配することはない。みんなほとんどEなんだ。でもSHISEIDO MENをこれから毎日使えば、徐々に肌の状態が改善されてDやCになれるはずだよ。

孔健:わかりました。料理長に負けてしまって悔しいですから、明日から一生懸命SHISEIDO MENを塗り込みます。

呉:では早速ですが、わたしは厨房に入って4皿ほど料理を作ってきますね。

シマジ:よろしくお願いします。出来上がったら最初に料理の写真を撮らせてください。それから田中さんに味わっていただきます。田中さん、ランチは抜いていらっしゃったでしょう。

田中:はい、お腹をペコペコにして参りました。

立木:やっぱりお嬢は2回目だから心得ているんだね。

呉:はい、最初の料理が出来ました。これは豚の内臓の煮込みです。中国語で九転大腸と書きます。では写真を撮ってください。

立木:OK。これで1人前なの。すごいボリュームだね。

田中:シマジさんも手伝ってくださいね。

シマジ:大丈夫、ここの料理は美味いからぺろっと食べられますよ。

立木:はい、撮影は終了しました。お嬢、召し上がれ。

田中:ありがとうございます。うーん、美味しいです!

呉:次の料理は唐揚げしたレンコンに甘みのあるソースをかけたものです。立木先生、どうぞお撮りください。

立木:了解。

シマジ:タッチャンの撮影も速いけど、呉料理長の料理も素早いですね。

立木:はい、お嬢。

田中:これも美味しいです。はじめて食べる感触です。

呉:今度は大エビピリ辛炒めです。

立木:デカいエビだね。

シマジ:こんなに大きくて1匹300円ですか。

孔健:うちは美味くて安い店なんです。

立木:はい、お嬢。

田中:ありがとうございます!これは大きいけど柔らかいですね。山椒が利いています。美味しい。

呉:最後の料理は黒酢の豚の角煮です。立木先生どうぞ。

立木:料理長は気持ちいいくらい料理が手早いね。おれも負けてはいませんよ。はい、お嬢。

田中:黒酢は体にいいらしいですね。

シマジ:そうですってね。近々伊勢丹のうちのバーにも黒酢を入れようかと計画中です。8年熟成の中国の黒酢をソーダで割って、ウイスキーを飲む前に飲んでもらおうかと思っています。健康的でいいでしょう。

孔健:それは恒順の黒酢ではないですか。

シマジ:そうです。恒順の8年熟成ものです。

孔健:大変貴重な黒酢ですよ。一般市民にはなかなか手に入らないものです。

立木:そんな貴重な黒酢をシマジはどうして手に入れられるんだ。

シマジ:えこひいき大王のシマジですよ。中国の政府高官からの永久貸与です。ウソウソ。その黒酢を商っている日本人がいるんですよ。

田中:この角煮はコッテリしていて最後のお料理としては最高ですね。

呉:デザートに杏仁豆腐はどうですか。

田中:大好きです。

立木:それは撮影はしなくてもいいだろう。

呉:そうですね。ではお嬢さま、どうぞ。

シマジ:タッチャンが田中さんのことを「お嬢」と呼んでいるから「お嬢さま」になったんだね。可笑しい。

孔健:田中さんは資生堂の「資生」という漢字はなにを意味するかご存じでしょう。

田中:はい、資生堂に入社するとまずそのことを教わりますから知っております。

シマジ:どういう意味なの。

孔健:これは四書五経の1つ、「易経」の一節にある有り難い言葉なんです。“至哉坤元 万物資生 乃順承天”といって、「地の徳はなんとすぐれているのだろう。万物はここから生まれている」という意味です。だから資生堂という名前を中国人は有り難い言葉として理解しているんですよ。

シマジ:だからザ・ギンザ資生堂のショップには中国人が殺到しているのか。それにしてもいい名前ですね。そういえば、その由来については以前福原名誉会長に聞いたことがあるような気がします。

新刊情報

Salon de SHIMAJI バーカウンターは人生の勉強机である
(ペンブックス)
著: 島地勝彦
出版:阪急コミュニケーションズ
価格:2,000円(税抜)

今回登場したお店

孔子膳堂
東京都港区赤坂3-11-14赤坂ベルゴ 1F
Tel:03-5544-8438
>公式サイトはこちら (外部サイト)

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