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第7回 六本木 MIZUNARA CASK篠崎喜好氏 第1章  「シン・ゴジラ」のタリスカーでスランジバー。

撮影:立木義浩

<店主前曰>

7月にこの連載で取り上げた「WODKA TONIC」をはじめ「CASK strength」と「MIZUNARA CASK」というオーセンティックバーを経営するバーマン篠崎喜好(44)は、3軒を束ねる歴とした“社長バーマン”である。
彼が酒好きになったのは若い時分、家で父親が大事にしていたオールドパーをちょっぴりこっそり飲んだのがそもそもの“ウイスキー事始め”だったというから筋金入りである。わたしも早熟で、一関のバーに通い出したのはまだ若かりし頃の冬だったと記憶するのだが。
モルトウイスキーの研究に熱心な篠崎は、スコットランドのほとんどの蒸留所を回った経験があるという。そしてウイスキーの世界に飽きたらず、ワインの世界まで酒の旅が続き、ついにソムリエの資格まで取得した。今月もまた話が面白くなりそうだ。

立木:シマジ、今日はまたドデカいバーだね。

シマジ:篠崎さん、ここ「MIZUNARA CASK」は何坪あるんですか。

篠崎:57坪です。ご挨拶が前後しましたが、篠崎と申します。先日はうちの姉妹店の「WODKA TONIC」を取材していただき光栄でした。

立木:ここに「WODKA TONIC」の山田がいて、谷川もいるんで、そんなことだろうと想像していたんだよ。

シマジ:谷川聖和は「島地勝彦公認工事現場監督」で、山田バーマンの「WODKA TONIC」とこの「MIZUNARA CASK」に入り浸りなんですよ。どうしても撮影現場を見たいと言うんで、わたしが許可したんです。

谷川:立木先生、申し訳ありません。

立木:別に謝らなくってもいいんだよ。賑やかでいいじゃないか。いてくれ。

谷川:ありがとうございます。

シマジ:タッチャン、今月の資生堂のゲストを紹介しましょう。SHISEIDO MENの商品開発を担当している竹崎まりさんです。

竹崎:竹崎です。よろしくお願いします。

立木:よろしくね。

シマジ:竹崎さん、こちらがここの“社長バーマン”、篠崎さんです。

篠崎:篠崎です。よろしくお願いします。

竹崎:竹崎です。よろしくお願いします。ところでシマジさん、連載を読んでいますと、よく肌チェックが最後の方になってしまっていますよね。忘れないように、今日ははじめにやってしまいましょう。

立木:ちょうどいい。おれもその間撮影の準備ができる。

竹崎:では篠崎さん、ちょっとこちらにいらしてください。

篠崎:わかりました。ここでいいですか。

竹崎:はい。でははじめますね。篠崎さんの生年月日を西暦で教えてください。

篠崎:1972年9月○○日です。

竹崎:では正面を向いてください。はい、判定が出ました。凄い!Bでした。しかもお肌年齢が38歳です。

シマジ:篠崎さん、これは凄いことですよ。実年齢より6歳も若いではありませんか。すでにSHISEIDO MENをお使いになっているんじゃないですか。

篠崎:へぇ、そうですか。まさか肌を褒められるとは思ってもいませんでした。正直なところなにも特別なことはしていないんですが。

立木:じゃあ気持ちがよくなったところで撮影をはじめるか。

シマジ:了解。篠崎さん、お願いしていた4品を作っていただけますか。

篠崎:はい。それではまずは季節柄ベリーニといきましょうか。完熟の桃で作りましょう。

竹崎:うわっ、香りだけでも酔いそうです。

シマジ:まず立木先生の撮影が済んだら、すぐこちらに運んでもらいますから、暫しお待ちください。

竹崎:存じ上げております。愉しみにお待ちしております。

シマジ:おや、プロセッコで割るんじゃなくって、シャンパンで割るんですか。

篠崎:うちはロートシルトのシャンパンで割ります。

シマジ:どんな味がするんだろう。わたしにも1杯作ってくれますか。

篠崎:1杯も2杯も手間は同じですからお作りしましょう。できました。まずは立木先生にお出しするんでしたね。

シマジ:ではもう1杯のほうを竹崎さんに渡してください。

竹崎:いえいえ、シマジさんと一緒に飲みたいですから、少しお待ちします。

シマジ:遠慮はいりませんよ。どうぞ泡があるうちに飲んでください。

立木:はい、ベリーニは撮影終了!

シマジ:では竹崎さん、乾杯しましょうか。スランジバー!

竹崎:スランジバー!

篠崎:懐かしい乾杯の言葉ですね。スコットランドのバーを思い出します。

竹崎:スランジバー!ってどういう意味なんですか。

シマジ:これはゲール語で「あなたの健康を祝して」という意味で、スコットランドのバーでは必ず交わされる乾杯の言葉です。実際に聞いているとスランジバーのラにアクセントがあるように聞こえますね。

立木:次はなんなの?

篠崎:シマジさんのご希望で「シン・ゴジラ」のラベルを張ってあるボトルと一緒にワンショットを撮ってください。この中身はタリスカー6年です。

シマジ:なるほど。「シン・ゴジラ」に合わせてガツンと6年ものできたんですか。アタックが強そうですね。

篠崎:はい、かなり攻撃的な味ですよ。タリスカー好きなシマジさんがまだ飲んでいないとは驚きです。

シマジ:映画とのコラボレーションでこのボトルを出した信濃屋は贔屓にしているんですが、これに関しては、わたしにはなんの情報も入らなかったんですよ。ウワサに聞いて電話を入れたら確かにゴジラのラベルのボトルが2本発売されたものの、タリスカー6年もヘクターマクベス(グレンフィディック)24年も発売と同時に完売したと言うじゃないですか。信濃屋とは長年の付き合いで、珍しいボトルが入るとよく電話をもらうんですが、わたしが「シン・ゴジラ」に興味を持っているとは思わなかったようです。

立木:それはそうだろう。さあ、ゴジラの撮影は終了!シマジ、飲んでみたら。

シマジ:いただきます。うん、やっぱりアタックが強いですね。度数は何度あるんですか。

篠崎:58.9度と書いてありますね。

シマジ:やっぱりね。竹崎さんは「シン・ゴジラ」の映画は観ましたか。

竹崎:まだ観ていません。

シマジ:あれは観るべきです。いまの日本の問題を盛り込んでいて、エンターテイメントでありながら、いろんなことを考えさせられる傑作です。

竹崎:そうですか。必ず観に行きます。

シマジ:それでは「シン・ゴジラ」を観る前にこのゴジラウイスキーを飲んでみてください。篠崎さん、シェークで水と半々に割っていただけませんか。

篠崎:承知しました。はい、どうぞ。

竹崎:うん、強いですね。

シマジ:ゴジラだから強いんですよ。

立木:次は?

篠崎:今度はボウモアのミズナラです。これもワンショットのニートで撮影をお願いします。

シマジ:ボウモアのミズナラですか。たしか値段は99,900円でしたよね。まあ山崎のミズナラと比べるのは可哀相ですが、まあまあの味ですよね。

篠崎:なにしろミズナラカスクフィニッシュですからね。それにうちの店名が「MIZUNARA CASK」なのでこれを選ばせていただきました。

シマジ:写真を撮ったら水を半分入れてシェークしてくれますか。

篠崎:わかりました。

シマジ:どうぞ、竹崎さん。

竹崎:ありがとうございます。

立木:いよいよ次で最後だ。なにが出てくるの?

篠崎:オールドパーです。これははじめから水割りにしましょう。

シマジ:お願いします。オールドパーは篠崎さんが生まれてはじめて美味しいと思ったブレンデッドウイスキーなんですよね。

篠崎:そうなんです。これもかなり古いボトルです。いい味してますよ。

立木:氷が入った水割りって懐かしいね。シマジのところに行くとシェークされてしまうから氷が入っていない水割りで、おじさんは寂しい。

シマジ:でも氷を入れるとすぐに水っぽくなってしまうんですよ。

立木:でも見た目って大事じゃないの。それに、カラン、という氷の音も捨てたもんじゃない。しかもこうして見ていると絵になる。

シマジ:たしかに。タッチャンに言われていることを全面否定はできませんね。竹崎さん、これが本来の水割りです。オールドパーの水割りの味はいかがですか。

竹崎:はい、たしかに美味しいです。

シマジ:昔のサラリーマンはこれをどれほど飲んだことか。懐かしさを感じますね。

篠崎:オールドパーは吉田茂が愛飲していたウイスキーです。

シマジ:それからいままた評判になっている田中角栄が、ほとんどストレートでがぶ飲みしていたウイスキーなんですよ。

新刊情報

Salon de SHIMAJI バーカウンターは人生の勉強机である
(ペンブックス)
著: 島地勝彦
出版:阪急コミュニケーションズ
価格:2,000円(税抜)

今回登場したお店

ミズナラカスク
MIZUNARA CASK

東京都港区六本木6-1-8六本木グリーンビル6F
03-5414-3222
>公式サイトはこちら (外部サイト)

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