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第8回 白楽 BAR LADDIE 島田孝一氏 第4章 資生堂はいつも女性の味方です。

撮影:立木義浩

シマジ:島田さんはブルックラディ蒸留所で半年間働いてみて、自分にとって最も役に立ったと感じるのはどんなことですか。

島田:わたしは主にウェアハウスのなかの仕事に就いていました。100樽から200樽くらい入荷すると、その空樽をきれいに積み重ねていくんです。そして、でき上がった原酒を樽詰めして重くなった樽を、またきれいに積んでいく仕事でした。そんななかでたまに、ウェアハウスのなかでジムとヴィンテージもののシングルモルトを一緒にテイスティングすることがありまして、それが非常に良い経験になったと思いますね。バッティングと言いまして、古い年の樽と若い樽のシングルモルトをビーカーのなかで割合をみながら混ぜて、テイスティングするんです。ジムに「コウイチ、これはどういう味がする?」と意見を訊かれたときは緊張しましたが、面白かったですね。ブルックラディ蒸留所でもいま流行りのノンヴィンテージのウィスキーを作っているんですよ。

シマジ:そうですか。やはり現場ならではの貴重な経験をされたんですね。
ところで、ここの「バー・ラディ」を開店してからは何年になるんですか。

島田:スコットランドから帰ってきて、都内のお店1軒、東横線沿線のお店1軒で計3年働かせてもらいました。その後独立し、ここをオープンしたのは34歳のときでした。今年で9年目に入ります。

原田:ここは年中無休なんですか。

島田:いえ、基本的には日曜定休です。それとたまに日曜、月曜とお休みをいただくこともあります。折をみて全国いろんなところを旅してみたいと思っているんです。妻のスケジュールが許す限りは2人で行っています。

原田:そうでしょうね。たしかに週に1度は休まないと、良い仕事はできませんものね。

立木:シマジ、資生堂からいらしたこちらのお嬢の人となりを、そろそろ聞く時間じゃないのか。

シマジ:そうですね。では原田さん、資生堂で現在どんな仕事をなさっているんですか。

立木:あれ、「どうして資生堂に入社したの」って質問からではなかったか。

シマジ:いずれ訊きますよ。今日はちょっと趣向を変えてみただけです。

原田:わたしは現在、海外と国内で販売しているSHISEIDOの化粧品のサンプルやテスターを制作しています。年に2回のシーズンごとに、そのシーズンのプロモーションプランに合わせて店頭でどのような活動を行い、いかに多くのお客さまに商品を手に取っていただくか、そのためにどのようなサンプルが必要かをチームや海外の現地リージョンチームとやり取りしながら決定しています。

シマジ:なるほど。資生堂の化粧品はワールドワイドで販売していますから、海外との打ち合わせも重要なんでしょうね。

原田:それを工場はじめ関連部門に提案し、具体的なサンプルに仕上げていく業務に携わっています。でも世界各国で必要なものが異なることもあり、その調整が難しいこともよくあります。また、専門性が高く、モノ作りには深い知識が求められることも多く、まだまだわたしは勉強中であり、フィールドを開拓中の身です。

シマジ:一気にこれだけ話せるということは、この職場を気に入っているんですね。

原田:はい。毎日愉しく働いております。

シマジ:原田さんが資生堂に入社した動機は何だったんですか。

立木:いよいよきたぞ。おれはこの紋切り型の質問が大好きなんだ。

シマジ:どうしてですか。

立木:その質問がはじまると、ああ、今日の取材も終わりに差し掛かってきたかと安堵するんだよ。

シマジ:なるほど。原田さん、タッチャンにタイミングを邪魔されたのでもう一度訊きますね。資生堂に入社した動機をおしえてもらえますか。

原田:わたしにとって大学卒業後の会社・仕事選びの基準は、第一に、海外市場で活躍できるチャンスがあることでした。その基準一つで、様々な分野や職種を視野に入れて就職活動しましたが、女性が毎日使うものならば、わたし自身も思い入れを持って業務に取り組むことができる、という気持ちが加わり、資生堂への入社を決めました。将来は、海外の人と一緒に仕事をし、資生堂の化粧品を世界中の1人でも多くのお客さまに手に取っていただけるようにしたい、そんな夢を持って入社しました。

シマジ:原田さんは資生堂に勤めて何年になるんですか。

原田:わたしは2003年入社ですので、もう14年ですね。

シマジ:新入社員の仕事は、だいたい地方支店勤務から始まりますよね。

原田:はい、わたしは鹿児島支店で外回りの営業をしていました。

シマジ:鹿児島には何年くらいいたんですか。

原田:3年でした。そのあと本社に戻ってきて、販社第二営業本部に異動になり、営業でドラッグストアを回っていました。そして2年後、NARS Cosmeticsに所属して1年間海外研修を受けてきました。その後国際マーケティング部に移り、メーキャップ施策業務に携わっていたのですが、2012年から2017年の春まで産休と育休合わせて4年ちょっとの期間を休ませていただきました。

シマジ:資生堂は女性にとって進んだ会社ですね。それだけの休暇がもらえる会社はそうないと思いますよ。それだけ厚く遇してもらえれば、女性も安心して子どもを産む気になるでしょう。もっともっとほかの会社も資生堂を見習うべきですね。

原田:資生堂は社員にとってもお客さまにとっても女性の味方だといつも思っています。

シマジ:1年間の海外研修の思い出を語ってもらえませんか。

原田:海外でのマーケティング研修の間、当時のマーケティング部長の女性に大変お世話になり、勉強させていただきました。現在はそのブランドのCEOになっている方なんですが、先日、日本で開催される世界女性サミットでスピーチを行なうために来日されると聞き、わたしも会場に聞きに行きました。もう9年も前のことなので、わたしのことなど彼女の記憶に残っている自信はなかったのですが、素晴らしいスピーチを聞けたことと、その場に同席できたことが嬉しくもあり、光栄でもあり、スピーチ後に思い切って彼女に声をかけてみたんです。すると彼女はわたしのことをよく覚えていてくれたんです。とても感激いたしました。

シマジ:同性でそんなに尊敬できる人がいるとは、原田さんは幸せな方ですよ。

原田:本当にそう思います。またわたしにとって、それぞれの職場で、わたしを支えてくださり応援してくださる上司の存在、一緒に困難を克服してきたチームメンバーの存在が、わたしの自慢と言えるかもしれません。営業の仕事は、常に数字を追いかけるため正直辛い時期も多かったですが、それでも乗り越えられたのは、前向きに共に支え合えるチームメンバーがいたからだといまでもつくづく思います。また、将来マーケッターとして国際社会で仕事をしたいという目標に向けて、アドバイスやサポートをいただいた上司のお陰で海外研修に行けましたし、貴重な経験を積むことができました。多くの方々に感謝しつつ、現在は微力ながら海外市場のマーケティングに携わっております。

シマジ:やる気満々の原田さんの話を聞いているだけで、資生堂の前途は明るく輝いている気がします。では最後に、原田さんの失敗談を聞かせてもらえませんか。

原田:そうですね。忘れられない失敗は数えられないくらいありますが・・・。そういえば、資生堂に入社したころからどうしてもわたしのデスクの上がモノでいっぱいになってしまう傾向にありまして、それには日常的に困っております。例えば、どんどん積み重なったわたしの書類が、以前よく隣の上司のデスクに雪崩を起こしてしまっていました。ある日、上司とわたしのデスクの間に太い黄色いテープが貼られていまして、それは、“進入禁止ライン”を上司が貼ったものだったんです。(笑)自分のデスクの整理整頓、これがわたしのいまの最大のテーマでしょうか。いけない、つい話に夢中になり島田さんのお肌チェックを忘れるところでした。すぐやりますね。島田さんは西暦何年のお生まれですか。

島田:1975年です。

原田:お顔をもう少しこちらに近づけてください。

島田:こうですか。

原田:はい。お肌の判定が出ました。Dでした。

島田:今日はありがとうございました。

シマジ:こちらこそ。ブルックラディ体験記は面白かったですよ。

立木:じゃあねえ。

新刊情報

神々にえこひいきされた男たち
(講談社+α文庫)

著: 島地勝彦
出版: 講談社
価格:1,058円(税込)

今回登場したお店

BAR LADDIE
神奈川県横浜市神奈川区白楽103-17
Tel:045-401-0347
>公式サイトはこちら (外部サイト)

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