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第7回 光文社文庫編集部副編集長 萩原健氏 第1章 ついに出た肌チェックCの正体。

<店主前曰>

今日の鼎談は晴れて新宿伊勢丹メンズ館にオープンしたサロン・ド・シマジのシガーバーで行われた。担当編集者は最近発売した光文社の文庫オリジナル「異端力のススメ」の萩原健である。ハギワラは名前が一緒なのか、開高健の熱狂的な崇拝者である。もちろん直接あったことはない。またハギワラが大学生のころ、文豪はこの世を去っている。しかしハギワラは開高健のすべての作品を淫するように読破した。光文社の文庫編集部に在籍するや情熱を傾けて開高健エッセイ選集の編集に携わった。わたしが10回は読んだ「ずばり東京」や「最後の晩餐」を素敵な文庫に上梓している。一冊作るたびにハギワラは北鎌倉にある円覚寺に眠る開高健のお墓にお参りしていた。ある日、わたしが開高健に会いたくて墓参りに行ったとき、偶然ハギワラと遭遇した。きっと開高健がハギワラとわたしを会わせてくれたのだろう。
「シマジさん、光文社のハギワラと申します」と編集者としては珍しくイケメンの若者がわたしに声をかけてきた。
人生は出会いである。わたしは驚喜して「これから一緒に飲みに行こう」と誘ったのである。男と男は相性が合うと仕事をしたくなるものである。次の開高健のエッセイ「ああ。二十五年」の解説を書いてくれないかとそれからまもなくしてハギワラがわたしに頼んできた。
 一方今日は資生堂から東日本デパートのビューティコンサルタントを統括している木村さんが来てくれた。彼女はまるでSHISEIDO MENを自分で作ったのではないかと思うほどに知らないことはなかった。

木村 伊勢丹のサロン・ド・シマジでシマジさん自らSHISEIDO MENを売っていらっしゃるなんて光栄です。

シマジ わたしが気に入った美しくていいものは何でもここで売っています。相当の量をわたしの手で売りましたよ。先日、福原義春名誉会長がお一人でふらっといらっしゃってスマイソンの便せんと封筒を名入りで買って行かれました。そのときSHISEIDO MENの並んでいるこの棚をご覧になって相好を崩されていました

ハギワラ へえ、SHISEIDO MENってこんなにあるんですか。

木村 用途に合わせて合計22品ございます。

ハギワラ へえ、シマジさんはこれを全部持っていて毎日女性のように使いこなしているんですか。

シマジ おれはおもに7,8品は毎日使っているよ。

木村 だからシマジさんはこんなにお肌がしっとりハリがあって美しいんですね。シワもありませんね。

ハギワラ シマジさんはシワは脳みそのなかにたくさん作っているんですよ。

立木 ハギワラ、おまえは相当シマジにイカれているんじゃないか。

ハギワラ はい、そうです。「異端力のススメ」のカバーの写真はありがとうございました。おかげさまで本は売れております。

木村 シマジさんのこのカバー写真は素敵ですね。

シマジ これは実物のわたしより100倍よく撮れています。

立木 そんなことはない。これは人生をわがままに勝手に生きてきた男の顔だよ。

木村 わたくしもさきほど一冊買わせていただきました。

シマジ ありがとうございます。あとでサインして差しあげましょう。読んだら感想を教えてくださいね。

ハギワラ 凄い!シマジさんは本屋も持っているんですよね。

シマジ これは伊勢丹のアイデアです。

立木 自分の本屋を持って自分の本を売ってサインしている作家っておれはいままで聞いたことがない。

ハギワラ 世界中でシマジさん一人でしょう。

木村 ここで原稿もお書きになられていらっしゃるんですか。

シマジ はじめはそう思ってパソコンも入れてもらったんですが実際はメールの返事くらいしか書けない状態です。書こうと思うとすぐお客さんがきてしまうんです。

立木 シマジは何時から何時まで働いているんだ。

シマジ 開店早々は8日間ぶっ続けで朝の10時から夜の8時まで働きました。伊勢丹の若い社員に混ざって朝礼にも出席しました。朝礼は25歳のとき集英社に入社して仮配属で制作部に1ヵ月間お世話になったとき以来、人生で2度目の貴重な体験でした。

立木 挨拶もしたんだろう。ちゃんと出来たのか。

シマジ 「わたしはデパートで働くのはズブの素人です。また生まれついての粗忽者です。それに馬齢も重ねておりますので、みなさんにご迷惑をおかけすると思いますのでご寛恕ください。わからないことがいっぱいあると思いますので、そのときは教えてください」と言いました。

立木 シマジとしては謙虚でいいじゃないか。

シマジ じゃあ、シガーバーのほうにどうぞ。

ハギワラ 広尾のサロン・ド・シマジには何度もお邪魔しましたがあそこのお宝をここに全部運び込んだんですね。

木村 素敵ですね。感動いたしました。今度、女性軍をたくさん連れて参ります。グラスが全部傾いているのが素敵です。

立木 シマジ、ますます狭くなった。ここで撮るのは難しいけどやってみるか。

シマジ 「立木義浩部屋を選ばず」で今日はやってください。これからは資生堂の本社の部屋で撮影するように交渉しますから。

木村 ここはセンスがいいですわ。わたし気に入りました。

ハギワラ シマジワールドが凝縮していますね。これは今東光大僧正の「遊戯三昧」の書ですね。これは柴田錬三郎先生がお書きになった今東光さんの墓にある墓碑銘の原書ですか。おう、これは横尾忠則さんの「うろつき夜太」の原画ですね。あった、開高健さんの「編集者マグナカルタ」だ。いい雰囲気が醸し出されています。これはシマジファンにとって感動ものでしょう。

シマジ ハギワラ、嬉しいことを言ってくれるね。じゃあ、バー・サロン・ド・シマジの定番スパイシーハイボールをご馳走するか。

ハギワラ ここは広尾のサロン・ド・シマジではないですから、ちゃんとお支払いいたします。メニューもあるんだ。ぼくは850円のおすすめサイズでいただきます。

木村 わたくしにも同じものをいただけますでしょうか。

シマジ もちろんです。これは女性にも大人気です。午前中、半ドンを取って一杯ここで引っかけてから出勤する強者の女性もいます。

立木 日本も凄い時代になったもんだ。

ハギワラ その女性はきっとシマジさんの大ファンで「両親と上司は自分では選べない」というシマジ語録を知っていて、また今日もバカな上司の下に行ってくるかって気持ちなんでしょうね。

シマジ どうかな。

木村 ここのコースターはまた素敵ですね。色もナイルブルーっぽくてそれに格言が書いてあるんですね。「美しいモノをみつけたら迷わず買え」ですか。

シマジ 格言コースターは12枚別々の格言で作りました。飲んだ方はみんな持って帰っていくんです。これは人間は気に入ったら何度も会えますが、モノは買わないで迷っているうちに、すぐなくなってしまうものです。木村さんもいままでそういう経験があるでしょう。

立木 その結果、シマジのワードローブは溢れ出して壁にまでかけている状態なんだ。木村さんは広尾のサロン・ド・シマジに行ってみた?

木村 いえ、まだでございます。

ハギワラ いろんな美しいモノが所狭しと置いてあります。それからシングルモルトが部屋中に林立しているのは壮観です。しかもすべてのシングルモルトのボトルが抜栓されているのが凄い。

シマジ おれはコレクターじゃないからね。買ったらその日のうちに最低3杯は飲んで味わうことにしているんだ。

ハギワラ われわれシマジさんの担当編集者はみんな勝手に何でも飲んでいるんですよ。

シマジ それはお前たちが払ってくれた原稿料で買ったものだから飲む権利があるんだよ。

木村 スパイシーハイボールってはじめて飲みましたが美味しいですね。

ハギワラ ぼくはシマジさんに教わって以前から飲んでいますが、これはブラックペッパーがよく効いていて出色な飲み物ですね。

シマジ 食前食中には最高の飲み物だとおれは思っている。

ハギワラ シマジさんの行くレストランや焼き鳥屋までこのタリスカーと山崎のプレミアムソーダとブラックペッパー用のプッシュミルが、まるでマーカー付けするようにどこにも必ず置いてあるんですよ。

シマジ スパイシーハイボールはタリスカー10年が最適です。そうそうタリスカーのシニアー・マネジャーのマーク・ロックヘッドがわざわざスコットランドから開店早々ここに表敬訪問してきてくれたんだ。

立木 これくらいシマジが毎日毎晩タリスカーを飲んでいれば喜んでくるんじゃないか。

シマジ でも嬉しかった。来年はこちらから訪ねようと思っているんだ。

ハギワラ そのときはぼくも連れてってください。

シマジ 考えておこう。

木村 ここにはシングルモルトしかありませんね。

シマジ はい、ここサロン・ド・シマジのシガーバーはすべてに特化しているんです。飲み方もストレートとロックは禁止しています。

ハギワラ 開高さんもストレートを愛飲して食道ガンでなくなりましたものね。

シマジ だからちょっと加水して飲んでもらっています。定番はトワイスアップにしてシングルモルトと水を半々にして、氷を入れたシェーカーで振って出しています。水がまた凝っていてスペイサイドのグレンリベットウオーターを使っています。この水で割るとシングルモルトが格別に美味くなります。しかもシェーカーで振ると眠っているシングルモルトが叩き起こされて蘇ります。

ハギワラ じゃあ、それを一杯ラガブーリン16年でいただいていいですか。

シマジ そろそろSHISEIDO MENの本題に入らないと福原さんに怒られそうです。あちらの別室でやりますか。

木村 まずはハギワラさんのお肌のチェックをさせてください。

ハギワラ 怖いですね。昨晩飲み過ぎたから最下位のFが出そうな気がします。

木村 結果が出ました。Cでございます。わたしは長年やっていますが男性のCははじめてです。

シマジ ハギワラ、すげえ、お前、どうしたんだ。

ハギワラ どうしたんでしょう。わたしは古川さんと一緒でいままで男性化粧品は使ったことがありません。

シマジ ハギワラ、今日からSHISEIDO MENを使ったら1ヵ月でBになるかもしれないぞ。1年間でAになったら表彰ものだ。ご褒美にタリスカーの蒸留所があるスカイ島におれが招待してあげる。

ハギワラ ホントですか。じゃあ頑張るか。

立木 取材で撮影が必要なときはおれも誘ってくれ。

シマジ もちろんです。スカイ島は広いよ。

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