Vol.4
スキンケアやシミに関する勘違い!

シミの原因はメラニンの沈着ではないのですか?

メラニンの沈着だけが、
シミの原因とは限らない。

服部先生
色素沈着を起こすさまざまな症状やシミができるメカニズムについて、ウェブサイトや美容雑誌の記事などを読んで、みなさんよく勉強されていると思います。ところがご自分のシミがどのような症状なのか、どんな要因で生じてしまったのか、誤解されている場合があるようです。一般的にシミとして知られているメラニン色素が増える老人性色素斑(日光性黒子)で来院される患者さまが多いですが、皮膚が何かしらの炎症を起こして赤くなった状態を、シミ(いわゆる老人性色素斑)だと判断し、治療を希望される方もいらっしゃいます。メラニン量が少なくシミ自体に少し赤みがある症状には、レーザーより抗炎症作用があるトラネキサム酸の内服治療やイオン導入が効果的だと考えられます。また患者さまによっては、おひとりで多種類のシミをお持ちの場合もあります。まずシミの症状や要因を見極めて、それぞれにふさわしい対策が必要であることを説明してから治療を始めます。

レーザー治療なら
  どんなシミも簡単に消せますか?

レーザー治療だけで、
すべてのシミは消せません。

服部先生
レーザー治療なら短期間でシミが消せると期待して来院される患者さまもいますが、残念ながら美容医療は魔法ではありません。レーザー治療が合わないシミもあることや、きちんと治して再発させないためにも、美容医療だけでなく、正しいスキンケアが必要であることを伝えています。例えばQスイッチレーザーで老人性色素斑(シミ)を治療した場合、1回の施術でキレイに消えることもありますが、治療後一過性に炎症後の色素沈着が起こり、色が戻ってくる場合もあるのです。そのような症状には、3ヶ月程度の美白剤の外用で改善していきます。また1回では色が取りきれない場合は、再度レーザー治療を行って徐々にシミを薄くしていくので、治療が長期間にわたってしまいます。さらに一度キレイに改善しても、シミが再発する可能性もあります。だからこそ施術後のアフターケアが必要で、特にレーザー治療後には、紫外線対策としての日やけ止めをはじめ、保湿剤や美白剤の使用をおすすめしています。

日やけ止めを毎日塗らなくても大丈夫ですか?

シミの再発予防に、日やけ止めは一年中必要。

服部先生
シミ予防にスキンケアが重要であることは比較的みなさん理解されていますが、冬場になると美白と保湿はちゃんと続けるけれど、日やけ止めはちょっとお休み…という方がいるようです。実は肌内部まで届く紫外線A波は、冬でも夏の半分ほど降り注いでいたり、冬の方が晴れの日が多かったりするので、一年中紫外線対策は必要なんです。それより、出かけない日は日やけ止めを塗らないという方もまだいらっしゃいます。室内でも紫外線を浴びているので、顔を洗ってスキンケアをしたら、すぐに日やけ止めを加えることが大切です。スキンケアの延長線上に、紫外線対策があるべきだと思っています。レーザー治療でシミが消えたからといって、スキンケアや紫外線対策を怠るのは要注意です。

施術後の効果が
  あらわれないことってありますか?

施術後の効果を左右する、
スキンケアの継続と使用量。

服部先生
定期的に治療を続けている患者さまで、時間が経過しても思ったほど効果が感じられないことがたまにあります。そんなときはスキンケアの方法や日やけ止めの使用量、塗り方などを患者さまに確認してみます。特に日やけ止めやBBクリームは、適量を使わないと効果が出ません。実際にいつものように使ってみてもらうと、適量が500円玉大だとしたら、実際には10円玉大しか使っていなかったことがわかります。さらに途中で使用を止めていることさえあります。スキンケアは継続と使用量を守ってこそ効果が出ます。皮ふ疾患の塗り薬といっしょですね。使用する量をきちんと守り、長時間外にいるときは光安定性(紫外線防御効果が損なわれない性能)が優れているものを選んで、きちんとこまめに塗り直しすることを忘れないようにしてください。正しいスキンケアが、美容医療の効果をより高めてくれるのですから。

服部 英子 先生
南青山皮膚科 スキンナビ クリニック院長
服部 英子 先生
東京女子医大卒。皮膚科専門医。
日本皮膚科学会皮膚科専門医。東京女子医大病院、虎ノ門病院、JR東京総合病院等で、皮膚科勤務を歴任。皮膚疾患全般、特ににきび、アトピー性皮膚炎、色素性疾患の診断・治療に実績。
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