1000の真実

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1000の真実

赤ちゃんの肌を知る

生後半年までの保湿ケアがカギ!
赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の防ぎ方・治し方
第2回 保湿剤の選び方と効果的な薬の塗り方

赤ちゃんの肌やアトピー性皮膚炎に関するさまざまな常識が、昔とは大きく変わってきていることが、最先端の治療と研究を進める国立成育医療研究センター アレルギーセンターの大矢幸弘センター長のお話でわかりました。科学的根拠に裏付けされた正しいケア方法や治療法の知識をアップデートして、赤ちゃんの肌を健やかに保ちましょう。

赤ちゃんにとって適切な保湿ケアは
まず医師に相談し、刺激のないものを

 早い段階からの保湿ケアが、肌のバリア機能を保つうえでとても大事だということは、第1回でお話ししました。
 ただ、保湿剤を塗る場合、赤ちゃんの肌のためにどんなものを選べばよいのかわからないという保護者の方も多いかと思います。 明らかに肌がカサカサしていたり、湿疹が出ているなど症状がある場合はもちろんですが、とくに目立った症状がなくても肌の状態は一人ひとり異なるもの。赤ちゃんの肌にとってどんな保湿ケアが最適なのか、かかりつけの医師などにまず相談してもらいたいと思います。

 一般的に、医療機関で処方される保湿用の外用剤は、白色ワセリンなど油性の成分をベースとした軟膏剤が主流です。基剤が油性成分だけのものは、微生物が繁殖したり、pH(ペーハー)が変化したりしないため、防腐剤やpH調節剤などの添加物を必要としないという特徴があります。また、肌への刺激となる可能性がある界面活性剤や乳化剤などもほとんど含まれません。

 また、肌への密着度が高く、長時間肌の上にのせておくことができるため、ゆっくりじわじわと肌にとって有用な成分を浸透させることができます。
 ただしその分、ベタベタするなど、塗り心地があまりよくないと感じる人が多いのも事実。そのため、肌の乾燥がひどい間はこうした軟膏剤で保湿ケアを行い、症状が落ち着いてきたら、ローションなど使用感のよいものに切り替えるのも方法のひとつです。
 あるいは、忙しい朝は手早く塗れるローションでケアして、時間のある夜に丁寧に軟膏を塗るなど、朝夜で保湿剤を使い分けたり、顔だけは市販のスキンケア製品を塗り、からだは軟膏を塗っているという保護者の方もいらっしゃいます。自分のライフスタイルに合った方法を医師と検討しながら、無理のない方法を見つけて保湿ケアを継続していきましょう。

市販のベビー用スキンケア製品は
肌への刺激が少ないことが必須条件

今は、「ベビー用」をうたったスキンケア製品も数多く市販されています。しかし、生後1カ月以内の新生児を対象に安全性を確認した研究は今のところありません。

 ちなみに、前述の生後1週間以内の赤ちゃんの全身に保湿剤を塗る私たちの研究では、自分たちで配合されている成分について1つひとつ調べ、安全性に問題がないと判断したうえで選びました。結果的に59人の赤ちゃんの肌にトラブルは生じていません。
 市販のスキンケア製品を使う際には、防腐剤など肌への刺激になる可能性がある成分がなるべく少ない、あるいは配合されていないものを選ぶことが第一。詰め替えができるタイプのものは防腐剤の量も多い傾向にあるので、赤ちゃんの肌には避けたほうが無難です。

 なお、「ピーナッツオイルやアーモンドオイルなど、私たちが日常的に食べている食品の成分が使われているスキンケア製品なら、肌にもやさしくて安全なはず!」と思っている人は少なくないようですが、これは大きな間違いです。
 食物の成分を肌に塗るということは、すなわち経皮感作のリスクを高める可能性があるということです。食物だから安全なのではなく、食物だから危険なのだということをぜひ覚えておいてください。

 赤ちゃんの肌に使用する保湿剤が何でもよいわけではないのと同じで、スキンケアもどんな方法で行っても効果が得られるというわけではありません。
 赤ちゃんの肌のバリア機能を高めるスキンケアのポイントと、アトピー性皮膚炎を発症した場合の最新治療については、第3回でご紹介します。

食物アレルギーに関するQ&A

Q アトピー性皮膚炎を発症している赤ちゃんが、離乳食を始めるときに注意すべきことは?

A 清潔にした口の周りにワセリンを塗って、保護してあげて

 口のまわりが荒れていると、そこから食物のアレルゲンが体内に入り、食物アレルギーのリスクが増す場合があります。肌の治療をすることが第一ですが、合わせて口のまわりを白色ワセリンを塗って保護してあげることをお勧めします。
 特によだれかぶれを起こしやすい時期(生後6カ月~1歳半)には、このことを徹底してあげることをお勧めします。

なお、アトピー性皮膚炎を発症した赤ちゃんは、離乳食を食べ始める前に肌荒れの部分からの食品物質の侵入によって(=経皮感作によって)食物アレルギーを発症している可能性もあります。まず、アトピー性皮膚炎を診てもらっている主治医に相談してみてください。

profile

大矢 幸弘

国立成育医療研究センター アレルギーセンター センター長

アレルギーセンター総合アレルギー科診療部長併任。1985年、名古屋大学医学部卒業。国立名古屋病院、国立小児病院アレルギー科を経て、2018年より現職。小児アレルギー疾患を専門とし、診療と研究活動に従事する。日本小児科学会専門医。日本アレルギー学会専門医指導医。日本心身医学学会専門医。『子どものアレルギー アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・ぜんそく』(文芸春秋)を編監修。

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