1000の真実

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1000の真実

ケア方法を知る

敏感肌にとって最適なスキンケア商品の選び方、
最低限行うべきケア法とは?<前編>

できるだけ肌に刺激が少なく、保湿効果の高いスキンケア商品を選ぶようにしている、という敏感肌の人は多いでしょう。とはいえ、それだけを重視していればいいというわけではありません。すこやかな肌を保つために必要なスキンケア商品の選び方や正しいケアのポイントについて、スキンケア製品の安全性にも詳しい藤田医科大学医学部アレルギー疾患対策講座の松永佳世子教授に教えていただきました。

スキンケア商品選びの
第一条件は「肌に合うかどうか」

 石けんやローション、クリームなどの市販のスキンケアアイテムを使うと、肌に刺激を感じることがある、自分に合うものがなかなか見つからない……。
 敏感肌の人の中にはこうした悩みを抱える人が少なくないと思いますが、逆に考えればそれだけ刺激を感じる“センサー”が優れているということ。私は診療のときにもよく、「スキンケア商品の品質が自分の肌に合うかどうかがよくわかるということなのだから、自信をもっていいんですよ」と患者さんを褒めています。

 だからこそ、肌が敏感な人ほどスキンケア商品は慎重に選んでほしいもの。その際の大きなポイントとして、次の2つを挙げたいと思います。

1.刺激の懸念に配慮されているか
2.塗りやすさ、使いやすさなどの機能性はどうか

 1については、肌に刺激を与える可能性のある物質を極力含まないということが条件のひとつになります。
具体的には、香料や着色料、アルコール(エチルアルコール)、防腐剤(パラベン)などが添加されていないもののほうが、肌への負担は少ないと考えられます。  もうひとつ、パッケージなどに「アレルギーテスト済み」「敏感肌の方のご協力によるパッチテスト済み」といった表記がある商品は、アレルギー反応の起こりにくさや肌への刺激性の弱さなどが確認されています。こうした表記があっても、すべての人にアレルギーや肌の刺激が起きないということではありませんが、スキンケア商品を選ぶ際のチェックポイントのひとつにするとよいでしょう。

機能性の高いアイテムで
ケアを「続ける」ことも重要

 おすすめの保湿剤のひとつとして、皮膚科で患者さんに処方する白色ワセリンをベースとした医薬品の軟膏が挙げられます。防腐剤や着色料などの添加物を一切含まず、長時間、肌のうるおいを保つことができます。
 しかしその一方で必要量をしっかり塗ると肌がベタついたり、肌着についたりするといった問題もあります。肌のカサつきや湿疹などの症状がある間は、患者さんはそれを圧しても頑張って塗りますが、症状が落ち着いてくるととたんに塗るのを中止してしまう人が少なくありません。その一因に「塗りにくさ、使いにくさ」があるのではないかと考えます。

だからといって、そのままケアをやめてしまったのでは、せっかく落ち着いてきた肌の状態を維持することができません。
 乾燥による肌のトラブルを防ぎ、肌をすこやかに保つために大切なのは、適切なスキンケアを毎日継続していくこと。そこで重視したいのが、2に挙げた「塗りやすさ、使いやすさなどの機能性」なのです。
 できるだけ短時間で効率よく、肌に塗り広げることができるスキンケアアイテムがあれば、肌のお手入れもぐんと楽になります。ぜひ、次のような正しいケアを続けていきましょう。

洗浄不足だと健康な細胞が育たない!?

 スキンケアの3本柱となるのが、「洗浄」「保湿」「紫外線対策」です。なぜこの3つが必要なのか、肌のしくみに基づいて覚えておきましょう。

 そもそも肌は、からだの内側と外界との境に存在してからだを守る役割を担う、最前線の組織です。肌の最も外側にある角層には、外界のさまざまな刺激物質が侵入しないようにブロックする「バリア機能」と、体内からの水分の蒸発を防ぎ、肌のうるおいを保つ「保湿機能」があります(図1参照)。

※肌のバリア機能についてはこちらの記事もご参照ください。

 そうした重要な働きをもつ角層は、その下にある表皮のターンオーバー(新陳代謝)によって作られます。
 表皮の一番下にある基底層で生まれた角化細胞が変化しながら徐々に押し上げられて角層細胞となり、やがて垢として自然にはがれ落ちていきます(図2参照)。

洗浄を行わないと、本来なら自然にはがれ落ちるはずの古い角層(垢)が肌の上に残ったままになりやすいのです。新しい細胞は、一番上の角層がはがれ落ちることで生み出され、作られていくもの。角層がいつまでもはがれずに残っていると、そのリズムが崩れ、健康な新しい細胞が作られにくくなります。また、もうはがれるばかりになっている角層をそのままにしておくことでバリア機能や保湿機能が低下し、肌の乾燥などを引き起こす場合もあります。
 顔もからだも、泡立てた洗浄剤でやさしく洗いましょう。やさしく洗うことではがれるべき古い角層がはがれます。ただし、ゴシゴシこすって落とそうとするのは、肌を傷める原因になるので禁物です。洗った後は、洗浄剤が肌に残らないようしっかり流しましょう。

 後編では、保湿と紫外線対策についてお話しします。

profile

松永 佳世子

藤田医科大学医学部 
アレルギー疾患対策講座教授

医師/医学博士。一般社団法人SSCI-Net(皮膚安全性症例情報ネット)理事長。1976年、名古屋大学医学部卒業。同大学医学部附属病院皮膚科、名古屋保健衛生大学皮膚科、名古屋大学附属病院分院皮膚科、藤田医科大学(旧称:藤田保健衛生大学)病院副院長、同大学副学長などを経て、2016年より現職。アレルギー疾患の原因アレルゲン解明、診断・病態把握のための検査法開発、治療方法・発症予防に関する研究と、皮膚安全性症例情報を収集し社会に生かす活動を推進している。

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