さまざまな肌悩みと向き合い、肌のことを知りつくした皮ふ科医が、毎日のスキンケアに役立つポイントや肌トラブルへの心がまえについてアドバイスします。※dプログラムは、敏感肌の方のご協力によるパッチテスト等を行いながら開発されています。

意外と知らない?紫外線対策

紫外線によるダメージが毎日積み重なると

肌老化の7割は、紫外線による光老化です。紫外線を全く浴びていなくても年齢とともに生理的老化は起こりますが、日に当たりやすい手の甲や顔には光老化も加わります。露出しにくい太ももや腕の内側の肌と比べると、その違いは明らかです。
紫外線にはA波(UVA)とB波(UVB)があります。A波は、B波より弱いものの波長が長く、皮膚の深いところまで届き、肌に弾力を与えるコラーゲンやエラスチンを破壊するため、シワやたるみを引き起こします。A波より強いB波は、表皮に炎症を起こし、細胞を傷つけます。細胞内にあるDNAには自己修復機能もありますが、くり返しダメージを受けるとそれが働かなくなり、がん化する場合があります。DNAを守るため、紫外線を浴びるとメラニン色素が作られ、それが肌を黒くし、やがてシミになるのです。

本当に効果のある紫外線ケアとは

屋外では、太陽からの「直射光」だけではなく、直射光が大気中の分子に当たって散乱した「散乱光」、直射光が壁や地面で反射した「反射光」と、3方向からの紫外線を浴びることになります。晴れた夏の日中は、直射光の1.5倍の散乱光が地表に達しています。反射光は反射面の状態で異なり、土や草地では直射光の10%以下、アスファルトで約10%、水面で10~20%、砂浜で10~25%、新雪では80%にも上がります。日傘や帽子だけでは、散乱光や反射光を防げません。サングラス、UVカットの洋服やスカーフ・手袋、日焼け止めなどが有効です。
また、普通の窓ガラスは紫外線を70%くらい通してしまうので、UVカットのカーテンをかける、屋内でも日焼け止めを塗るなどの対策をしましょう。特にA波は天気や季節に関係なく地表に届くといわれるので、曇りや雨の日でも紫外線対策は必要です。B波は7月がピークですが5月頃から急増するので、過ごしやすい季節から夏と同等の対策を行いましよう。

日焼け止めの選び方、塗り方

●選び方

日焼け止めは、スキンタイプ(紫外線に対する皮膚の抵抗力)、使用する場面、使用感など、自分に合ったものを選びましょう。日焼けすると赤くなるだけで褐色にならないスキンタイプの方は、紫外線に対する抵抗力が弱いので、十分な紫外線対策が必要です。赤くならずにすぐ褐色になるタイプ、赤くなるけどしばらくすると褐色になるタイプの方は、メラニン色素が働いているものの、ダメージを受けないわけではないので、やはり紫外線対策は必要です。
日焼け止めには、A波に対する防御能を示すPA(Protection grade of UV-A)とB波に対する防御能を示すSPF(Sun Protection Factor)の表示があります。PAは+~++++の4段階、SPFは最大50+まであり、+の数が多いほど、SPFの数値が高いほど、ダメージを防ぐことができます。日常生活であればSPF20・PA+~++、外出や屋外での活動にはSPF30~40・PA+++、日差しの強い中での活動にはSPF50・PA++++、特に日差しの強い中での活動や紫外線に弱い人はSPF50+・PA++++を目安としてください。なお、PAやSPFが高ければ安心ではなく、段階よりも2~3時間おきに塗り直すことの方が紫外線対策として重要です。
また、日焼け止めに含まれる紫外線吸収剤は、紫外線防御能が高い一方、使用する人の体質によって、まれにアレルギーを起こす場合がありますので、肌の弱い方は紫外線吸収剤無配合(ノンケミカル)のタイプがおすすめです。

●塗り方

製品に書かれた分量を、顔の各部位に少しずつのせて塗り広げます。シミが気になるところや日に当たりやすい頬などは多めに、耳や首まわりも忘れないように塗りましょう。また、BBクリームタイプを日焼け止めを兼ねて使用している方で、推奨量を使用すると白浮きする、ファンデーションが濃くなるという理由から少ない量を使用している場合があります。屋外や強い日差しの中での活動する場合は、BBクリームの前にしっかりと日焼け止めを使用することをおすすめいたします。

紫外線を浴びてしまったら

日焼けをして赤くなってしまったら、擦ったりしないように気を付けて、患部を冷やして炎症を抑え、その後はたっぷり保湿をしましょう。痛みがあったり、水ぶくれができた場合は早めに皮膚科を受診するようにしてください。
日焼け後あるいはダメージ予防として、普段から抗酸化作用のあるビタミンA、C、Eを含んだ新鮮な野菜や果物を摂るようにするとよいでしょう。

教えてくださったのは

意外と知らない?紫外線対策|岐阜県 岐阜市 いちき皮膚科 院長 市來善郎 先生

岐阜県 岐阜市

いちき皮膚科 院長 市來善郎 先生

地域の皆様に信頼される質の高い皮膚科医療を提供することを目標にしております。当診療所が皮膚疾患で悩む患者さまにとって、少しでも助けになることを願っています。患者さまとの対話を重視し、診断、治療については納得のいくまで分かりやすく説明いたします。皮膚のことで少しでも気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。