
風邪は予防が一番大切!忙しい人のための風邪対策のポイント
季節の変わり目は気温の変化に対応しきれず、風邪をひいてしまうこともありますよね。でも、春先は受験や新生活の準備、ビジネスの決算期などで忙しく、休んでいられないという人も多いことでしょう。
多忙な人、大人数が集まるところに足を運ぶ機会が多い人でも、感染対策や健康管理を徹底することで、風邪をある程度予防することができます。今回は、風邪の予防対策についてご紹介します。

加藤メディカルクリニック
加藤浩司先生
風邪は、普段から予防につとめるのが一番
風邪の原因の90~95%はウイルスによる感染で、ウイルスの種類も200以上に及ぶといわれています[1]。軽い風邪であれば数日で治ってしまいますが、炎症が広がると別のウイルスや細菌に感染してこじらせたり、合併症を引き起こしたりするケースも。普段からウイルスへの備えを習慣づけるなどして、予防につとめることが大切です。
基本の風邪対策
まずは風邪を防ぐために取り入れたい、基本的なウイルス対策についてご紹介します。
うがい
風邪をひいている人が身近にいると、くしゃみなどの飛沫に含まれるウイルスが気道内に入ることがあります。さらに粘膜に付着・増殖すると、風邪の症状が現れます。外出から帰ったらうがいをすることで、口やのどに付着したウイルスを洗浄できます。
京都大学健康科学センターが行った試験によると、水だけでうがいをした場合は、うがいをしない場合に比べて風邪の発症率が4割減少したとのことです[2]。殺菌・消毒成分を配合したうがい薬を活用する方法もありますが、のどの粘膜を守っている常在菌を殺菌してしまうおそれがあるとの考えもあるので、まずは水うがいから習慣づけましょう。
手洗い
風邪のウイルスは、手を介して感染することがあります。帰宅後は、うがいとともに手洗いを励行しましょう。
手洗いをまったくしない場合と比較して、「流水で15秒間手洗い」は残存ウイルスを約1%に、「ハンドソープで60秒間もみ洗いをした後、流水で15秒すすぎ」は残存ウイルスを約0.001%に減らす効果があります[3]。
手を洗うときは、爪の周囲や指と指の間、手首なども忘れずに洗うようにしましょう。また、水が使えない場所では、手指消毒液を活用するのもおすすめです。
マスク
満員電車などで不特定多数の人に近づく場合、もしくは、風邪をひいている人の看病などでせき・くしゃみの飛沫を浴びる可能性がある場合、マスクをつけるのも予防対策になります。
マスクを装着するときは顔にフィットするサイズを選び、鼻からあごまできちんと覆って、顔との間にすきまができないよう調節を。万が一、ウイルスを含んだしぶきを浴びてしまったときは、マスクの表面には触れず、耳付近のゴムひもをつかんで外して、手洗いをしましょう。
水分補給や室内の加湿
のどの粘膜を適度にうるおし、すこやかに保つことで、ウイルスの侵入を防ぐことができます。また、空気中に漂うウイルスは、相対湿度40%以下の乾燥した環境で長時間生存することがわかっています[1]。加湿器などを利用して、室内の湿度を50~60%に保つよう工夫しましょう。
特に乾燥が気になるオフィスでは、こまめにお茶や水を口に運ぶ、デスクにポータブル加湿器や観葉植物を置くなどして湿度を保つとよいでしょう。
風邪に負けない身体をつくるポイント
風邪を予防するには、体調を万全にしておくことも大切です。ここからは、体調管理のポイントについてご紹介します。
睡眠・運動・食事などの日常生活に気をつける
寝不足が続くと、身体の抵抗力も下がってしまいます。日頃から十分な睡眠をとり、規則正しい生活を心がけましょう。1日20~60分の有酸素運動など、疲労を後に残さない程度の運動習慣を持つことも、身体の抵抗力を高めるのに役立ちます[4]。
食事面では、1日3回の食事でビタミン・ミネラルなど幅広い栄養を摂取しましょう。特に、ニンジンやかぼちゃなどの緑黄色野菜や卵に多く含まれるビタミンA(β-カロテン)には、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあります。
衣類で体温調節
私たちの身体には、体温を一定に保つ機能があります。しかし、冬から春にかけて寒暖の差が激しくなる時期は体温調節機能がうまく働かず、風邪を誘引してしまうことも。天気予報などでその日の気温をチェックし、衣類でこまめに体温を調節することも大切です。
風邪の予感がしたら休息を
なんとなく身体がだるい、のどや鼻に違和感があるなど、風邪の前兆らしい症状がある場合は、睡眠をしっかりとり、安静に努めることが一番です。夜更かしや過労、過度な飲酒などはできるだけ控えましょう。
風邪は年齢を問わず、人がもっとも頻繁にかかる病気のひとつ。でも、仕事が忙しいときや、受験の直前などはできるだけひかないよう、予防を徹底したいものです。今回ご紹介したうがい・手洗いなどを実践し、ウイルスの侵入を予防しましょう。
なお、インフルエンザの対策については、『見えないウイルスはどうブロックすればいい?正しい対策方法とは』もあわせてご覧ください。
参考文献
[1]福井次矢 監修. 新赤本 家庭の医学 第六版. 保健同人社 2008; 375-384
[2]京都大学健康科学センター 健康コラム. "水うがいで風邪発症が4割減少 世界初の無作為化試験で実証" 京都大学環境安全保健機構 健康管理部門/健康科学センター. http://www.hoken.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2015/03/gargle2007.pdf(参照2019-01-17)
[3]森功次ほか. Norovirusの代替指標としてFeline Calicivirus を用いた手洗いによるウイルス除去効果の検討, 感染症誌 2006; 80(5):496-500
[4]鈴木克彦. 運動と免疫, 日本補完代替医療学会誌 2004; 1(1) 31-40
KEYWORDS
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