季節のトラブル

見えないウイルスはどうブロックすればいい?正しい対策方法とは

毎年大きな流行を繰り返すインフルエンザや、季節の変わり目にかかりやすくなる風邪。こうした病気の原因は、ウイルスによる感染です。見えないウイルスから身を守るには、毎日の生活のなかでどのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。今回は、ウイルス対策の基本についてご紹介します。

加藤メディカルクリニック
加藤浩司先生

ウイルスが引き起こす病気

ウイルスが引き起こす病気としては「インフルエンザ」やノロウイルスによる「感染性胃腸炎」、麻疹ウイルスによる「はしか」などが有名です。「風邪」もまた、200種類以上のウイルスが鼻やのどに感染することで発症します[1]。

ウイルスは細菌と異なり、抗生物質(抗菌薬)が効きません。薬で体内での増殖をある程度抑えることはできますが、ウイルスそのものを撃退することはできないため、休息と栄養を十分にとって身体が自然に回復するのを待つしかありません。そのため、予防対策がとても大切なのです。

ウイルスをブロックする6つの方法

冬から春にかけての時期は、特にインフルエンザや風邪のウイルスが気になりますよね。これらの主な感染ルートには「飛沫感染」と「接触感染」があります。

  • 飛沫感染…感染者のくしゃみ・せきなどの飛沫に含まれるウイルスを、鼻や口から吸い込んで感染
  • 接触感染…感染者が触れたドアノブやつり革を介して、他の人の手にウイルスが付着。その手で鼻や口を触って感染

ウイルス感染を防ぐためにも、「手洗い」「うがい」など以下のような対策を取り入れていきましょう。

外出後は必ず手洗いを

外出先から帰宅したときや調理前後、食事前は必ず手を洗いましょう。石けんを使って、最低でも15秒以上洗います。アルコールを含んだ消毒薬などを活用するのもよいでしょう。

正しい手洗いの手順は、まず時計や指輪などを外してから、流水でよく手を濡らし、石けんを泡立てていきます。手の甲や手のひらをよく洗ってから、両手を組むようにして指と指の間を洗い、親指をねじり洗いします。指先や爪の間、手首なども忘れずに洗ってから十分にすすぎ、清潔なタオルなどで水気をよく拭き取ります。

うがいもセットで行う

うがいのインフルエンザ予防効果は、現在のところ科学的に証明されてはいません。しかし、風邪に対しては予防効果があるとされていますので、手洗いとセットで習慣化しておくとよいでしょう。

うがいをするときは、まず水を含んで口の中で強めに動かしてから吐き出します。もう一度水を含み、上を向いてのどの奥の方で10~15秒ほどガラガラとうがいをして、吐き出します。これを数回繰り返しましょう。

身の回りの消毒や換気

家庭やオフィスでインフルエンザを発症した人がいる場合は、感染者が触れた可能性があるドアノブやスイッチ、机、電話機などを消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウムで拭いておきましょう。閉め切った室内などはウイルスが長時間浮遊していることもあるので、定期的に換気を行ってください。

室内を適度な湿度に保つ

室内の空気が乾燥していると、のどの粘膜の防御機能が低下してウイルスに感染しやすくなってしまいます。加湿器をつけたり、洗濯物を部屋干ししたり、観葉植物を置いたりして、湿度を50~60%に保つと効果的です。

人混みや繁華街への外出を控える

インフルエンザの流行期は、できるだけ不特定多数の人が集まる場所に近づかないことも大切です。特に持病がある人や体調不良の人、妊婦や高齢の人などは、人混みや繁華街への外出を控えましょう。やむを得ずこうした場所に出かける場合は、不織布マスクを着用することである程度飛沫感染を防ぐことができます。

体調を整えておくことも大切

身体の抵抗力が低下していると、ウイルスに感染しやすくなってしまいます。日頃から規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠をとり、栄養バランスの整った食事を心がけましょう。疲れているなと感じたときは、早めに休養することも大切です。

冬から春にかけて感染が拡大するインフルエンザは、ウイルスによる感染が原因です。特に、くしゃみやせきの飛沫に含まれるウイルスを吸い込んで感染する「飛沫感染」と、感染者が触ったドアノブやつり革などを介して感染する「接触感染」の2つに注意が必要です。手洗い・うがい・身の回りの消毒や換気などの対策で予防していきましょう。

なお、風邪の対策については、『風邪は予防が一番大切!忙しい人のための風邪対策のポイント』もあわせてご覧ください。

参考文献

[1]福井次矢 監修. 新赤本 家庭の医学 第六版. 保健同人社 2008; 375-384

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