日常のトラブル

便秘になると肌あれを起こしやすい?日常的に取り入れたい便秘対策

便秘の悩みは、人には相談しづらいもの。それに便秘のときは、吹き出物ができるなど肌にトラブルが起こることもありますよね。便秘と肌あれの因果関係や、便秘を防ぐ生活習慣のポイントについて紹介します。

Crystal 医科歯科 Clinic International
中島由美先生

便秘とは?

便秘とは具体的に、どのような状態なのでしょうか。慢性便秘症診療ガイドライン2017によれば、「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。また日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」と説明されています。

女性にとって、便秘は日常的に感じやすい悩みのひとつ。ダイエットや冷え性、運動不足…などのきっかけで便秘になってしまうこともあります。また、女性ホルモンの影響で一時的に身体に水分を溜め込んでしまうのも、便秘を起こしやすい要因といわれています。

便秘と肌あれの因果関係は?

便秘が続くと、なぜ肌あれを起こしやすくなるのでしょうか。以下のような流れが考えられます。

腸内細菌によって有害物質が発生

便が大腸内に長時間、滞留していると、便の腐敗が進んで悪玉菌が増えてしまいます。悪玉菌は腸内のタンパク質などを腐敗させ、アンモニアやアミン、フェノール、インドールといった有害物質をつくります。

有害物質は一度体内に吸収されてから、血液を通じて全身をめぐります。血液の一部は汗となり、肌の表面へ。そのとき汗に含まれる有害物質が刺激となり、肌あれを起こすと考えられます。

ターンオーバーに影響を及ぼす可能性も

腸内でつくられる有害物質は、肌のターンオーバー機能にも影響を与える可能性が指摘されています。

詳しい仕組みはまだ解明されていませんが、一説によると有害物質は血流を介して肌に蓄積され、表皮細胞の正常な分化に影響を及ぼすのではないかといわれています[1]。すこやかな肌の生まれ変わりが妨げられることで、乾燥などの肌トラブルが起こりやすくなると考えることができるでしょう。

このように、肌によくない影響をもたらすと考えられる便秘。毎日の生活では、どのように防げばよいのでしょうか。

便秘を防ぐ日常生活のポイントは?

ひとくちに便秘といっても、腸の機能や動きの影響で生じる便秘や、薬の副作用による便秘など、原因はさまざま。ここでは日本人にもっとも多いタイプの便秘である「弛緩(しかん)性便秘」の対処法について紹介します。

弛緩性便秘は大腸の蠕動(ぜんどう)運動(腸が波打つように動いて内容物を送り出す働きのこと)が低下することで起こりやすくなります。予防するには、規則正しい生活や適切な食生活、適度な運動などが大切です。

規則正しい生活を心がける

胃腸など内臓の働きは、自律神経によってコントロールされています。睡眠不足が続くと交感神経が優位になり、胃腸の動きが鈍くなることも。睡眠をしっかり取って身体をリラックスさせ、副交感神経の働きを高めましょう。

毎日決まった時間にトイレに行くのも、排便リズムを整えるのに効果的です。特に胃腸の働きが活発になる朝食後をトイレタイムにするのがおすすめです。

食事面のポイント

食生活では、1日3食きちんと食べることが大切。特に朝食をしっかりとることで、便意のタイミングがつかみやすくなります。ダイエットを続けて食事量が減ると、便のかさが減ってしまいますので注意しましょう。

水分の摂取も、便をやわらかく保つために欠かせません。そのほか、以下のポイントも意識しましょう。

  • 朝の起きぬけに冷たい水や牛乳を飲むと、腸の蠕動運動を促すことができます
  • 食物繊維を多く含む野菜や豆類、海藻をたくさん食べると便の量が増え、排便リズムが整います
  • 善玉菌を含む乳酸菌飲料や発酵食品、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖で腸内環境を整えましょう
  • 適度に脂質(油分)を摂ると、腸が刺激されます
  • 豆類やイモ類、糖分の多い食品などは、腸内で発酵して大腸の運動を促します

適度に運動を取り入れる

便を押し出す力を強めるために、腹筋を鍛えるのもよいでしょう。無理せず鍛えるには、以下の方法が効果的です。

  1. 仰向けに寝て膝を立て、胸元で両手を交差させます
  2. 息を吐きながら肩甲骨から上を床から離し、5~10秒ほどキープします
  3. 息を吸いながらゆっくり元に戻します

2の動作で完全に起き上がる必要はありません。おなかに力が入るのを意識しながら、10回ほど続けてみましょう。

もちろん、日常的な運動もおすすめです。ウォーキングやジョギング、水泳、ラジオ体操など、続けやすいものを選んで始めてみましょう。

おなかを温める・マッサージする

腹部を冷やさないよう、腹巻をつける、お風呂で温めるのもよいでしょう。おなかの上を「の」の字にマッサージすると、便が滞留しやすい大腸を効果的に刺激することができますよ。

便秘薬を使う方法も

どうしてもすっきりできないときは、市販の便秘薬や漢方薬に頼るのもよいでしょう。ただし便秘薬は長期に渡って使用すると、効きめが感じられなくなることも。ここで紹介した方法を中心に試して、できるだけ自然な排便を目指しましょう。

便通は健康のバロメーター。毎日の「すっきり」を習慣化し、健康や美肌をキープしましょう。また、肌あれしやすいときは肌内部から水分が失われ、ターンオーバーの乱れや外的刺激から肌を守るバリア機能の低下を招いている可能性も。スキンケア化粧品で丁寧にお手入れし、肌のうるおいを整えていきましょう

参考文献

[1]飯塚量子. 腸内細菌が皮膚生理に及ぼす影響, 腸内細菌学雑誌 2011; 25(2): 105-106

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