皮ふ科医に聞く ミニ知識
乾燥やシミ・そばかす、ニキビあと… 肌に関するお悩みはさまざま。気になる紫外線や、アンチエイジング対策など、ふだんの生活でできるスキンケアや肌トラブルへの心がまえについて、第一線でご活躍中の皮ふ科の先生にお聞きしました。

紫外線対策

●紫外線の種類と肌への影響

紫外線はA紫外線(UVA)、B紫外線(UVB)、C紫外線(UVC)の3つに分けられます。C紫外線(UVC)はオゾン層に吸収され、地表には届きません。地表に届く紫外線の9割がA紫外線(UVA)です。
A紫外線(UVA)は、生活紫外線ともいわれ、波長が長い分、肌の奥まで届き、悪影響を及ぼします。すぐに肌を黒くし、シワやたるみの原因になると考えられています。雲や窓ガラスを通り抜けやすいという性質を持っているので、曇りの日も日当たりの良い家の中でもしっかりUVAを防ぐことが必要です。
B紫外線(UVB)は、レジャー紫外線ともいわれ、屋外での日焼けの主な原因です。肌に強く作用して、たくさん浴びるとサンバーン(肌が赤くなる日焼け)を引き起こし、シミやシワの原因になります。

●日焼け止めの「PA」「SPF」とは

PAとは「Protection Grade of UVA」の略で、A紫外線(UVA)を防ぐ効果を表す目安です。肌がすぐに黒くなる、つまり一時的な黒化を引き起こし、長時間かけて肌のハリを失わせるA紫外線(UVA)から肌を守る効果を示します。これまで「PA+」「PA++」「PA+++」の3段階でしたが、測定方法と表示方法の改定に伴い「PA++++」を加えた4段階に分けられるようになりました。「+」の数が多いほど効果が高くなります。
SPFとは「Sun Protection Factor」の略で、B紫外線(UVB)を防ぐ効果を表す数値です。短時間で肌に赤みや炎症を起こさせ、黒化につながりやすいB紫外線(UVB)から肌を守る効果を示す指数です。現在の最高レベルはSPF50+になります。
PAとSPFはそれぞれ数値が大きくなるほど紫外線を防止する効果が高くなりますが、日焼け止めの塗り方が薄かったり、ムラがあるなど、きちんと塗っていなければ、表示されている数値どおりの効果は得られません。

●日焼け止めの効果的な使い方

■からだ

1)容器から直接、肌の上に線状にとります。
2)手のひら全体を肌にフィットさせて大きく円を描くように広げながらなじませます。

■かお

1)手のひらに1円硬貨大を目安にとり(クリームタイプはパール粒1コ分)、両頬、額、鼻、あごの5カ所におきます。
2)ほおや額などの広い部分からはじめ、顔の中心から外側に向かって、顔のすみずみまでていねいになじませます。その後、もう一度同量をとり、重ねづけします。
3)首は手のひらに適量をとり、下から上に向かってなじませます。
※眉間・髪の生え際・フェイスライン・小鼻の脇・耳・えり足部分など、塗り残しがないようにしましょう。効果を保つためには、2~3時間おきに塗り直すことをおすすめします。

●紫外線散乱剤と紫外線吸収剤

日焼け止めには紫外線散乱剤を配合したものと紫外線吸収剤を配合したものの2つの種類があります。紫外線散乱剤を配合したものは、粉末などで紫外線をはね返しますが、紫外線吸収剤を配合したものは、紫外線を吸収し、皮膚まで紫外線が届かないようにしています。紫外線吸収剤は、使用する人の体質によって、まれにアレルギーを起こす場合があるので、敏感肌の方には、紫外線散乱剤を配合した日焼け止め(ノンケミカルサンスクリーン)がおすすめです。

●紫外線アレルギー

日中紫外線を浴びると、肌に湿疹ができたり、肌が赤く腫れてしまったり、かゆみを感じる紫外線アレルギーの方が増えています。紫外線アレルギーの原因は、皮膚の光感作物質が、紫外線をあびたときに光抗原(=アレルゲン)を作ってしまい、このアレルゲンによって皮膚にアレルギー反応が起こるようになります。また、何らかの理由で、一度アレルゲンが肌に生成されてしまうと、紫外線を浴びるたびにアレルゲンが作られることになり、肌に紫外線アレルギーの症状が現れるようになります。かゆみや湿疹が起こってしまったら、皮膚科に相談することをおすすめします。

教えてくださったのは
紫外線対策|長野県 松本市 みこしば皮膚科医院  御子柴甫 先生

長野県 松本市

みこしば皮膚科医院 御子柴甫 先生

患者さまの多くが知りたい情報の提供を常に心掛け、患者さまの立場に立った分かりやすく丁寧な診察をモットーに、健康で快適な生活をサポートします。皮膚でお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。

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