約100年前にネーミング
最初は現在の“化粧下地”のような
位置づけ
いまや当たり前に使われている「ファンデーション」という名称ですが、その由来をさかのぼると、1904年、アメリカのファッション雑誌(『VOGUE』)のなかで「ファンデーション・クリーム」と表現されたことが確認できています。ただ、このときのファンデーション・クリームとは、現在の“化粧下地”という捉え方が正しいと考えられています。文献※にも「このファンデーション・クリームは肌の状態を整え、欠点を隠す作用がある」と書かれているのです。
着実に進化してきた
「ファンデ史100年」
そもそも「ファンデーション(foundation)」とは、英語で“土台・基礎”という意味です。当時は白粉(おしろい)で仕上げる前に、肌の色ムラや毛穴をカバーする、ベースメイクの土台として使うのが一般的でした。
1940年代後半になると、「クリームファンデーション」や「液体ファンデーション」といった名称が現れます。その当時、注目の新製品として、絹の繊維を粉々にして混ぜたファンデが登場し、ツヤのある仕上がりが話題となったこともあるそうです。
その後、現在の姿に近い「ファンデーション」が続々と登場し、バラエティも豊富になっていきました。
※参照:リチャード・コーソン(1982)『メークアップの歴史‐西洋化粧文化の流れ‐』 石山彰(監)ポーラ文化研究所(訳)
この記事の回答者

髙野 ルリ子
株式会社資生堂
社会価値創造本部
アート&ヘリテージ室
ヘリテージマネジメントグループ
1992年資生堂入社。
千葉大学大学院自然科学研究科博士後期課程情報科学専攻・学術博士。
「化粧の心理、生理的効用、顔の認知や魅力に関する研究」を主軸とし、
心理学的視点に基づくメーキャップテクニックの解釈や理論化に長年従事。
近年は化粧文化研究に注力。日本顔学会会員、理事。日本心理学会、日本感性工学会会員。
2014年4月より筑波大学グローバル教育院客員准教授。