季節のトラブル

スギ・ヒノキだけじゃない!花粉症の原因植物の種類と飛散時期は?

くしゃみや鼻水、目のかゆみなど、つらーい症状を引き起こす花粉。毎年春に飛散するスギ花粉のせいだと思っていたのに、スギ花粉のピークを過ぎても症状が改善しない、スッキリしない、という人もいるのではないでしょうか。

花粉症の原因植物は、スギだけとは限りません。また、花粉の飛散時期も、春だけとは限らないのです。ここでは、花粉症を引き起こす主な植物の種類と飛散シーズンについてご紹介します。

森本耳鼻咽喉科
森本雅太先生

花粉症の原因植物とは?

厚生労働省ホームページの花粉症特集によると、国内の花粉症患者の約7割はスギ花粉が原因です。しかし、環境省が作成した花粉症環境保健マニュアル(2014年1月改訂版)によると、国内ではこれまでに約60種類もの花粉についてアレルギーが報告されています[1]。ここでは、花粉症の代表的な原因物質と飛散の時期についてご紹介します。

毎年同じ時期にくしゃみや鼻水、のどや目の痛みなどの症状が見られる場合は、その時期が特定の花粉の飛散時期と重なっていないか、確認してみましょう。

スギ

花粉の症状を引き起こす代表的な植物です。北海道南部から九州にかけての広い地域に植林されており、植林面積はおよそ450万haになります[1]。スギは花粉の運搬を風に頼っており、虫や小鳥に花粉を運んでもらう植物よりも花粉を大量につくります。そのため、森林のない都心へ風に乗った花粉が大量に運ばれるのです。

スギ花粉の量は、前年夏の気象条件に応じて増減します。日照時間が多い、気温が高い夏の翌年は、飛散量が多くなる傾向があります。飛散のピークは2~3月ですが、夏場を過ぎて10月~翌年1月にかけてもわずかに観測されることがあります。

<飛散時期>

  • 関東…2・3・4月が非常に多く、5月~6月上旬もやや多め
  • 関西…2月下旬~3月末までが非常に多く、2月頭~4月中旬もやや多め

そのほかのエリアの飛散状況については、『花粉のピークはいつ?飛散の時期を確認して早めの対策を!』をご覧ください。

ヒノキ

ヒノキもまた、国内に多く植林されている樹種です。飛散の時期はスギとほぼ一緒か、ヒノキがやや遅れて飛び始めます。スギ花粉と同じアレルギー誘引物質を持っており、スギ花粉症の人はヒノキの飛散が加わることで、症状が強まることがあります。

ヒノキの花粉量もまた、前年夏の気象条件に影響を受けます。今後はさらに、樹齢の高い木が増えることで、花粉の量が増えることも予想されています。

<飛散時期>

  • 関東…3月中旬~4月下旬が非常に多く、2月上・中旬、3月上旬~5月中旬もやや多め
  • 関西…4月上・中旬が非常に多く、3月中旬~4月下旬もやや多め

ハンノキ(カバノキ科)

日本全域の林道沿いなどに見られる落葉高木で、例年1月~4月に飛散します。北海道では本州のスギ花粉とほぼ同じ頃に飛散するため、スギ花粉症と勘違いされることがあります。

<飛散時期>

  • 北海道…3月中旬~5月中旬に少量飛散
  • 関東…1月中旬~5月下旬/うち3月中旬~4月中旬がやや多め
  • 関西…1月上旬~4月中旬、5月中・下旬、6月中旬/うち3月中旬がやや多め

シラカンバ(カバノキ科)

ハンノキ同様、カバノキ科の落葉高木です。北海道を中心に東北あたりまで多く生えており、白樺(シラカバ)と呼ばれることもあります。北海道ではスギやヒノキの花粉症がほとんど見られない代わりに、シラカンバ花粉症が見られることがあります。

<飛散時期>

  • 北海道…4月中旬~6月下旬/うち4月下旬~6月上旬がやや多め
  • 東北…4月上旬~6月中旬/うち5月下旬がやや多め

イネ科植物(カモガヤ、ホソムギ、ハルガヤ、ススキなど)

イネ科植物の花粉による症状は、初夏に多いハルガヤ、初夏から真夏にかけて開花するカモガヤやオオアワガエリ、秋に多いアシ、ススキ、外来種のホソムギなどで起こることがあります。スギ花粉の時期を過ぎても、まだ鼻水やくしゃみが止まらない、さらに、鼻や目だけでなく皮膚のかゆみがある…という場合は、イネ科植物の花粉による可能性があるでしょう。

イネ科植物の花粉は遠くまで飛散しませんが、水田の脇や河川敷など身近な自然にも多く自生しています。開花シーズンの草むらなどには近寄らないようにしましょう。

<飛散時期>

  • 関東…2月中旬~12月下旬/うち5月上旬~6月中旬が非常に多く、4月中旬~7月上旬、7月下旬~10月中旬もやや多め
  • 関西…1月上・中旬、2月中旬~11月中旬/うち4月下旬~5月下旬、8月中旬~9月上旬、10月上旬がやや多め

キク科植物(ブタクサ、ヨモギ)

夏から秋にかけて起こる花粉の症状は、ブタクサや、ヨモギなど、キク科植物による可能性があります。キク科植物の場合、スギ・ヒノキと同様に鼻や目に症状が起こるのが特徴です。ただし、ブタクサとヨモギの花粉による症状が必ずしも合併するとは限りません。

ブタクサは北米原産ですが日本全国の道端や空き地、土手などによく見られます。また、草餅でおなじみのヨモギは日本全国の道端や野山に分布しています。散歩やジョギングをするときは、こうした場所に気をつけましょう。

<ブタクサの飛散時期>

  • 東北…8月中旬~10月中旬/うち9月上旬が非常に多く、9月中旬~9月下旬もやや多め
  • 関東…7月中旬、8月~12月/うち8月下旬~9月下旬が非常に多く、8月中旬~10月上旬もやや多め
  • 関西…8月下旬~10月中旬/うち9月中・下旬がやや多め

<ヨモギの飛散時期>

  • 東北…8月中旬~10月下旬/うち9月上旬が非常に多く、9月中旬もやや多め
  • 関東…7月下旬~11月中旬、12月中旬/うち9月中旬が非常に多く、8月中・下旬、9月下旬もやや多め
  • 関西…8月下旬~11月中旬/うち9月中旬~10月上旬がやや多め

カナムグラ(アサ科)

カナムグラも道端や林などに多く、全国に分布しています。花粉は少なめですが、空気中に花粉を撒き散らして鼻や目に症状を引き起こすことがあります。

カナムグラ花粉による症状の可能性があるときは、植物が自生している場所に近づかない、家の周囲に生えている場合は、花粉が侵入しないよう窓を閉めておくなどの対策をとりましょう。

<飛散時期>

  • 関東…8月中旬~11月中旬/うち9月上旬~10月上旬、10月下旬が非常に多く、8月下旬~10月中旬もやや多め

なお、スギやヒノキなど主な花粉の地域別の飛散状況については、『花粉のピークはいつ?飛散の時期を確認して早めの対策を!』も合わせてご覧ください。

夏から秋にかけての花粉対策は?

スギ・ヒノキ以外の花粉についても、やはり「できるだけ花粉に触れない」ことが大切です。花粉の飛散が気になる時期は、原因となる植物に近づかないようにしましょう。散歩やジョギングに出かけるときは帽子やマスク・メガネなどで身を守り、家に入る前に衣類や髪の毛に付着した花粉をよく払い落としましょう。

詳しい花粉対策については、『今年も花粉飛散のシーズン到来!つらくなる前に知っておきたい対策』をご覧ください。

花粉による症状がひどくなり、日常生活に影響があるような時は、お近くの医療機関を受診し、症状に合った薬を処方してもらうのもおすすめです。アレルギー外来や耳鼻咽喉科、眼科、内科などで受診できます。

近年は薬局やドラッグストアでも花粉の症状を抑える市販薬が入手できるようになりました。市販薬にはさまざまな種類がありますので、迷ったら薬剤師さんに現在の症状や飲んでいる薬、アレルギーの有無などを伝えて相談しながら選ぶのがよいでしょう。万全の対策で、快適な一年を過ごしましょう。

国内で花粉の症状を引き起こすおそれのある植物は、約60種類にものぼります。主な原因植物について知り、そばに近づかない、家に持ち込まないなどの対策を取ることで、つらい症状を回避しましょう。

参考文献

[1]環境省 "花粉症環境保健マニュアル-2014年1月改訂版- II.主な花粉と飛散時期" 環境省ホームページ. https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/manual/2_chpt2.pdf (参照2019-01-07)

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