季節のトラブル

秋の花粉で顔がかゆい!かゆみのメカニズムと予防方法

暑すぎず寒すぎず、心地よい天候が続く秋。屋外で過ごすには格好の季節ですよね。でも秋に飛散する花粉が、顔にかゆみを引き起こすことがあります。秋はどんな花粉があり、どのようにして肌にかゆみを引き起こすのかを解説していきます。

ひがし内科クリニック
東幸助先生

秋の花粉はいつ・どこで飛散?

春先に多く飛散する花粉ですが、実は秋にも飛散しています。秋の七草の一つであるイネ科のススキ、キク科のブタクサやヨモギ、アサ科のカナムグラなどは秋に注意したい花粉の代表格。これらの植物は、道端や川原・堤防沿い、空き地などに自生しています。

また、春のスギ花粉が秋に飛散することも。スギは本来、夏場に花粉をつくって来春まで冬眠します。しかし、たくさんつくられすぎると10~12月の間にこぼれ落ち、よく晴れた暖かい日などに空中に舞うことがあります。

詳しくは『スギ・ヒノキだけじゃない!花粉症の原因植物の種類と飛散時期は?』や、『もしかしてこの症状…花粉症?秋の花粉の正体と対策』をご覧ください。

花粉が肌トラブルの原因になるのはなぜ?

花粉といえばくしゃみ・鼻水・目のかゆみなど、アレルギー反応を引き起こす物質として有名ですよね。こうした症状が出ていなくても、花粉の季節になると顔の皮膚がチリチリとかゆくなったり、赤みを起こしたりすることがあります。

花粉によるかゆみ・赤みは顔の露出している部分に出やすく、まぶたや頬、あご、首など部分的に顕著になることも。そのメカニズムを知っておきましょう。

きっかけは「バリア機能」の低下

すこやかな肌には、外界から異物が侵入するのを防ぐ「バリア機能」が働いています。バリア機能は、表皮のもっとも外側で外界と接している角層が、外気や紫外線、ホコリ、ウイルスなどからの侵入を防いでいます。

このバリア機能を支えている重要な要素が、角層のうるおいです。しかし、気温の変化や肌あれなどで角層のうるおいが失われて水分量が保てない状態になると、バリア機能が低下します。

すると、さらに肌表面のきめが乱れ、角層がめくれるなどして異物が侵入しやすくダメージを受けやすい状態に。そこに花粉による刺激が加わることで、アレルギー反応を起こしてしまうのです。

乾燥が進んだ肌はかゆみに敏感

かゆみは、身体の異常を知らせるサインです。肌にアレルギー反応が起こるとかゆみを起こす物質が放出され、それを知覚神経がキャッチし、脳へと伝えられるという仕組みです。

かゆみを感じる知覚神経の末端は本来、表皮と真皮の境界付近にとどまっています。しかし、うるおいが失われて乾燥が進んだ肌では、神経の末端が角層付近までのびてきます。そのため、乾燥肌の人はよりかゆみを感じやすくなってしまいます。

かきむしるとさらなる悪循環に

肌がかゆいと強くかきむしりたくなりますが、できれば我慢したいものです。角層をかきこわすと肌がますます乾燥し、バリア機能をさらに低下させてしまうからです。また、いったん肌をかき始めると、周りの皮膚までかゆみが広がってしまいます。

かゆみが気になるときは、冷やすのが一番です。タオルでくるんだ保冷剤や、ビニールに包んだ氷などをかゆい部分に当てましょう。市販のかゆみ止めを塗るのもよいですね。入浴やスポーツなどで身体が温まると、かゆみが強くなることもあるので気をつけましょう。

花粉による顔のかゆみを予防するには?

花粉によるかゆみを起こさないためには、「肌を整える」「花粉に近寄らない」の2点が大切です。

保湿ケアで肌をすこやかに整えましょう

夏の間に紫外線を浴びてダメージを受けた肌は、秋の湿度低下とともに乾燥しやすくなります。涼しくなると汗や皮脂の分泌も減少するため、角層をベールのように覆っている皮脂膜もつくられなくなり、ますます乾燥しがちに。

そのため、秋のこの時期は保湿ケアをきちんと行うことが大切です。肌についた花粉をやさしく洗い流してから、化粧水や乳液を顔全体になじませ、肌の状態を整えていきましょう。

花粉のある場所には近寄らない

肌にアレルギー反応をもたらす花粉から、できるだけ離れることも大切です。秋に多いイネ科やキク科の植物はもともと牧草のため背が低く、スギほど広範囲に花粉を飛ばすことはありません。自生していそうな空き地や道端、河川敷などには近づかないようにしましょう。

花粉が飛散していそうな場所に出かけるときは、めがねやマスクで顔をガードし、花粉が付着しても落ちやすいツルツルとした素材の衣類を着用しましょう。花粉の付着を防ぐスプレーやジェルも用意しておくと安心ですね。

花粉はかゆみだけでなく、肌あれを引き起こすこともあります。花粉の季節のスキンケアについては、『春先の肌荒れは花粉のせい?悪化を防ぐ対策とスキンケア』を参考にしてください。また、花粉を避ける対策については、『今年も花粉飛散のシーズン到来!つらくなる前に知っておきたい対策』をご覧ください。

花粉に限らず、空気中にはごく微細なちり・ホコリ、細菌・ウイルスなどが存在しています。そのため毎日のスキンケアで、肌をすこやかに整えておくことが大切。花粉やホコリの付着を防ぐマスクなどのグッズも活用しながら、一年中、快適に過ごしたいものですね。

  • ツイート
  • シェア
  • LINEに送る
  • はてブ

KEYWORDS

  • 花粉
  • かゆい