
インフルエンザは風邪とは違う?流行前に基礎情報と対策を知っておこう
毎年のように猛威を振るうインフルエンザ。仕事が休めない、受験を控えている…など、家族がかかってしまわないか不安ですよね。予防接種も大切ですが、生活習慣でも対策できるようにインフルエンザについて知っておきましょう。
インフルエンザは風邪とどう違うのか、感染を防ぐ対策、その他に役立つ情報などをまとめました。

弘前小野病院 内科医
成田亜希子先生
知っておきたいインフルエンザの基礎情報
一般的に知られる「インフルエンザ」とは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症のことです。その年によって流行するウイルスの型が異なり、例年11月下旬から12月上旬にかけて流行が始まります。そして1~3月にピークを迎えると、4~5月頃にかけて徐々に患者数が減少していきます(年によって流行シーズンが前後することもあります)。
症状や風邪との違い
「風邪」は主にウイルスが原因となって起きる、鼻や喉などの炎症症状の総称です。インフルエンザも呼吸器に炎症を起こすので風邪の仲間ではありますが、重症化しやすいため一般的な風邪とは分けて考えられています。
インフルエンザに感染すると、38℃以上の発熱や鼻水・のどの痛みなどが現れます。ここまでは一般的な風邪と似ていますが、インフルエンザは「1~3日の潜伏期間後、急激に発症する」「筋肉痛、関節痛、倦怠感など全身に症状が現れる」といった特徴があります。
さらに、子供や高齢者など、抵抗力が下がっている人は重症化して肺炎・脳症を起こすことがあるので注意が必要とされています。
インフルエンザウイルスの種類
インフルエンザウイルスにはA型・B型・C型とウイルスの型によって種類が分かれており、流行しやすいのはA型とB型です。予防接種は、その年に流行すると予測される型に対するワクチンが使用されます。
また、近年は動物に感染したインフルエンザウイルスが変異し、人から人へと感染する「新型インフルエンザ」にも注意が必要です。免疫を持つ人がまだ少ないため、パンデミック(大流行)を起こす可能性もあります。
インフルエンザは自分がかからないだけでなく、周りに広げないことも大切。予防方法など、流行時のポイントを知っておきましょう。
インフルエンザの感染対策
インフルエンザの感染経路は、飛沫感染と接触感染の2種類です。これらに対して予防対策をとることが重要です。
- 飛沫感染…感染者のくしゃみ・せきなどのしぶき(飛沫)に含まれるウイルスを、鼻や口から吸い込んで感染
- 接触感染…感染者が触れたドアノブやつり革に触ってウイルスが付着。その手で鼻や口を触って感染
帰宅時の手洗い・手指消毒
手洗いを励行することで、付着したウイルスを落として感染を防ぎます。手洗いはタイミングも重要ですが、しっかりと石けんを使ってすみずみまで洗うことも忘れないようにしてください。また手洗い後は、アルコールを手指にすり込むように消毒するとより予防効果が高まります。
<正しい手洗い方法>
- まず時計や指輪などを外す
- 流水で手を濡らし、石けんをつける
- 手のひらをよくこすり合わせる
- 手の甲の上にもう一方の手のひらを重ね、手の甲・指の間を洗う
- 指先をもう一方の手のひらの上に立ててこすり、爪の間を洗う
- 親指、手首をもう一方の手でにぎって、ねじり洗いする
- 十分な流水で石けんを流して、清潔なタオルやペーパータオルで水気を拭き取る
- 消毒用のアルコールを指や手のひらにすり込む
流行前のワクチン接種
ワクチンには発症の可能性を低くする効果、発症後の重症化を防ぐ効果があり、生後6カ月以上の全ての人に接種が推奨されています。ワクチンは接種後、免疫ができるまでに2週間ほどかかります。そのため厚労省はワクチンを毎年12月中旬までに接種するのが望ましいとしており、13歳以上は1回、13歳未満は2回接種するのが原則です。
インフルエンザのワクチンは、毎シーズン流行が予測される型に対応したものが製造されます。「去年受けたので今年は行かなくてもよいかな」と考えるのではなく、毎年接種を受けるようにしましょう。
なお、ワクチン接種は健康保険の適用外であり、費用は原則自己負担です。1回あたりの接種料金は、地域や医療機関によって異なります。市区町村によっては助成事業を行っていることもあるので、市区町村のホームページなどをチェックしてみてください。
その他に気をつけるとよいポイント
- 加湿器などを使って部屋の湿度を適切に保つ(50~60%)
- 自治体などが発表する発生情報をチェックする
- 人混みに近寄らない
- 日頃から十分な休息と栄養を取り、身体の抵抗力を高めておく
- マスクや、ウイルスをガードするスプレーなどを使う
『見えないウイルスはどうブロックすればいい?正しい対策方法とは』や『風邪は予防が一番大切!忙しい人のための風邪対策のポイント』もご覧ください。
インフルエンザにかかってしまったときは?
これまでで紹介したように予防しても、万が一かかってしまったら、周囲に感染させないよう気をつけることも大切です。
咳エチケットを守る
咳・くしゃみをするときは、他の人に感染させないよう配慮しましょう。ウイルスを飛び散らせないよう、マスクで鼻からあごまですき間なく覆うことが一番です。もしマスクが無い場合は、ティッシュやハンカチで口・鼻を覆うことも効果的です。ティッシュやハンカチも無ければ、衣服の内側や袖(ひじの内側)で口と鼻を覆うとよいでしょう。
インフルエンザにかかったら会社や学校は?
一般的に発症前日から発症後3~7日間は、鼻・のどからウイルスを排出します。そのため、その期間中は外出を避け、登園・登校・出社を控えるのが望ましいです。なお、学校保健安全法では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」を出席停止期間としています。
冬になると身近でインフルエンザに感染する人も多くなってきます。予防接種を受けておく、日頃から手洗い・うがいを励行する、マスクを着用するなど、自分で対策できる方法を取り入れ、感染リスクを低下させましょう。
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