NUMBER48 名画の女性はファンデをつけているの?NUMBER48 名画の女性はファンデをつけているの?

白粉でバッチリメイクをしています

働かないから日に焼けない…
富の象徴だった白い肌

たとえば、フランス王妃マリー・アントワネットの肖像画を例にとると、その肌は、確かに白い印象があります。
当時は、まだファンデではなく、白粉(おしろい)を使っていたのですが、彼女が生きた18世紀後半は、ヨーロッパにおける化粧の全盛期。白粉をしっかり白くつけたあとに、ほおに紅を濃くつけるメイクが流行していました。当時のファッションは、横幅の広いゴージャスなドレスに、高く結いあげたボリュームのある髪が特徴。化粧もそれに負けないよう、派手にしていたのです。いわば、白い肌もドレスも髪も、どれもが富の象徴財力のある王族や貴族など、限られた人だけの特権でした

エリザベス一世のメイクは
年々濃くなっていった

ルネサンスの美人像は、「象牙のような輝きのある白い肌、ブロンドの髪、広い額、紅い唇」と言われていました。16〜18世紀の名画に残る王族や貴族の女性は、しっかりとお化粧をしていたと考えられています。劇作家のベン・ジョンソンによると、エリザベス一世は歳をとるほど、紅や白粉を濃くつけるようになっていったそう。その理由は、白粉をつけることで、若くて力がみなぎってみえ、「この人に政治を任せても大丈夫!」と思わせるためだったとも言われています。名画からもファンデの歴史と時代性を読み解けますね。

この記事の回答者

山村 博美

化粧文化研究家

回答者プロフィール

東京女子大学文理学部英米文学科卒業。
化粧品会社の研究所で、日本と欧米の化粧文化史、結髪史の研究に従事したのちフリーに。
2016年に『化粧の日本史―美意識の移りかわり』(吉川弘文館)を上梓。
「文化としての化粧のおもしろさを、わかりやすく伝える」をモットーに、
古代から現代までの化粧文化全般、化粧と女性、化粧と社会をテーマにした執筆や講演、
ブログによる情報発信などを行っている。

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