NUMBER41 ベースメイクはいつから始まったの?NUMBER41 ベースメイクはいつから始まったの?

なんと「紀元前」からです

文明あるところにメイクあり、
憧れの「真っ白肌」

ベースメイクの歴史は、驚くほど長く、古代エジプトや黄河文明などの四大文明や、古代ギリシャ・古代ローマ時代といった、紀元前に始まると言われています。古代では白粉(おしろい)は特権階級の人々のステイタスや美しさを強調するシンボルとして使われていました。というのも、庶民は農業や家事など外で働く機会が多くどうしても日焼けします。それゆえ「色白の肌は高貴で美しい」とされる意識が生じ、白粉をふんだんに使い、真っ白の肌を作っていたようです。

白塗りの肌で「クラヤミ映え」

四大文明の頃から世界で使用されていた白粉は鉛製でした。それが日本に入ってきて、平安時代には礼儀として貴族に欠かせないものになりました。皇族や貴族の館は大きい上に軒先が長く、身分の高い人は御簾で仕切られた奥まった室内にいました。室内は薄暗く、肌を白く塗ることで顔がきれいに映えたと考えられます。

江戸時代になると、化粧は都市の庶民にも広がります。とくに江戸時代後期に江戸から発生した化政文化の時代には、江戸の庶民は「粋」の美学を確立し、それまでの濃い化粧とは異なる薄化粧を好み、素肌の美しさを強調する化粧になっていきました。

この記事の回答者

山村 博美

化粧文化研究家

回答者プロフィール

東京女子大学文理学部英米文学科卒業。
化粧品会社の研究所で、日本と欧米の化粧文化史、結髪史の研究に従事したのちフリーに。
2016年に『化粧の日本史―美意識の移りかわり』(吉川弘文館)を上梓。
「文化としての化粧のおもしろさを、わかりやすく伝える」をモットーに、
古代から現代までの化粧文化全般、化粧と女性、化粧と社会をテーマにした執筆や講演、
ブログによる情報発信などを行っている。

READ MOREREAD MORE

この記事が役立った人におすすめこの記事が役立った人におすすめ